【ACボダブレ】BeLAST RUNNER episode:Indigo +テキスト【追加解説1】

本noteでは、コミックマーケット99にて頒布、現在BOOTHにてデータ販売中のボーダーブレイク二次創作SS本、「BeLASTRUNNER」Indigo編におけるストーリー作成の元となった元ネタや、出典記述を補足解説していきます。
ストーリーの展開にも触れるので、基本的に本作読後を推奨いたします。
読む予定のある方、有り難う御座います。
申し訳ありませんが、一旦noteを閉じていただいて、読み終えた後に目を通していただけたら幸いです。
販売ページはこちらから↓↓

https://mrnumber6.booth.pm/items/3561326?s=09


それでは順に解説していきたいと思います。
お付き合い下さいませ。

○ロージー開発計画異聞
赤本内の五行ほどしかないズィーメックのBR企業参画失敗、VIFOS技術の開発と発展に関する記述。
そして10周年記念ムックの力を借りて出来上がったのが、このあまり明るいストーリーとは言えない物語になります。

異聞というのは、いつか本家公式からその話が出るかもしれないと言う保険によるものです。
ちなみに当サークルのモットーは「いつだって心持ちはガンフロ時空」です。
簡単に世界線が歪んだり、異邦人が現れたりもする。
それを本筋に絡めたりはしませんが、会話のネタくらいには使ったりします。
当サークル過去作で、本作の約二十年後のクラン四季彩がF3ブラストへの移行期に際しての出来事を取り上げた「1.33秒の価値」も、その雰囲気でゲーム内のネタや、プレイヤー間で流行った出来事を空気に落とし込んだりもしました。
当然世界観も登場人物等も共有していますので、もしよろしければこちらから読んでいただければ幸いです。
公開URLはこちら、本の構成上シナリオパートは後ろからになっていますので、ご注意下さい。

https://drive.google.com/file/d/1gXVzpfcJfGuBSDgFDxxitOcIFhD2grO5/view?usp=drivesdk


話は逸れましたが、多少の粗は二次創作特有の、ということで大目に見ていただければ幸いです。
とはいえ資料に対して矛盾することは基本的にしないつもりですので、もし公式資料に対する間違いがありましたら、遠慮無くご指摘下さい。

さて、今回のシナリオの軸になったのは全て赤本と称される公式設定資料集シークレットファイル・レッド内、ズィーメック及びVIFOS項目由来の記述になります。

1・過去にブラスト・ランナー製造技術、ニュード加工技術で業界進出へ参画、その獲得に失敗し、経営が大きく傾いた。
2・VIFOSはズィーメック内装甲戦闘部門とベンノ内エアロメカニクスの共同開発。ブラスト・ランナーサイズまでVIFOSを先に小型化したのはベンノ。
3・AE社フォーミュラはズィーメックからの技術提供を受けて開発された。

以上の三点です。

3だけ少し論点がズレますが、共に重装甲機体のシェアを奪い合う企業同士が、そんな簡単に自社自慢の技術を提供するか?という話と、VIFOSがBJFM等を通じて、BR企業協会内の共有される根幹技術として扱われていたとしても、わざわざ社名を出して記述されている所から、独自の提供であったのではないかと推測できます。
なのでそうするに至った経緯を考えることになったのですが、ここで引用したのがズィーメックの業界参入失敗エピソード。
会社が傾くレベルでの失敗は、何故起きたか?
推察するならば、BR業界内の先輩企業であるAEのHGと差別化が出来なかった点。
それ以前に、前身技術であるブラスト・ウォーカーを作成したことがなかった(記述無し)為、ブラスト・ランナーの基礎部分の構築をすることが出来なかったという可能性。
そしてそのまま実を結ぶことなく、軸としていた宇宙開発の頓挫、世界各地を舞台にし拡大していく採掘戦争という莫大なビジネスチャンスを逃してしまったことにより、経営が傾いていったのではないでしょうか?
そしてその後、起死回生の策として乗り出したワフトローダーの開発に、ベンノやDAAIの協力の下で成功。
業績を回復させてめでたしめでたし、とはいかず。
時系列的にはワフトローダーのデビューのほぼ直後、ベンノは共同開発したVIFOSを独自に小型化、そのままブラストの脚部として開発し、世界初となるホバー型ブラスト、ネレイドをリリースしました。
ベンノ特有の機体型番による製造年表記のおかげで推測可能ですが、所謂初期型にあたる機体は45年制作。
時は復興暦40年後半の始まり、エネルギー産業の中心たる採掘戦闘という市場向けの商品を協力会社がリリース。
VIFOSの作成はベンノ社内のエアロメカニクスとの共同開発。
しかしてその空力調整をメインで行ったのはズィーメック。
であればこちらに出来ないわけがない。
であれば乗るしかない、このビッグウェーブに。
だってホバー脚だし。
それにこちらにはゲリラ対策という地場を守るためという理由がある。
自治体や自警団といった組織との連携や、関連組織からの資金援助もあったことでしょう。
通常のブラストではニュード汚染された水場に入るだけで、機体を構成するNCメタルが剥離分解し、亀裂が入りたちまち行動不能になる為、天敵とされる密林湿地帯で活動可能な機体の開発は至上命題でもありました。
それらの理由も相俟って、レッゴーズィーメック!となったのでしょう。
余談ですが本部後半で社員が唱和していたあれは、公式同人誌「コレハマダツカエル」にて、ズィーメックの日本支部広報が口にしていた宣伝が元ネタです。原型は殆どありませんが。

さて、ここで本書におけるターニングポイントです。
このまま行けば、苦心しながらもホバー脚開発に挑戦していた訳ですが、対ゲリラ用とは別に、もし汎用性のある二脚型を作っていたら?という仮説です。
AC版をプレイしたことのある方、取り分け古いバージョンでのプレイを経験された方はご存じかと思われますが、ホバー脚部は二脚型に比べて転倒しやすく、ブースターの消費が激しく、滑るように稼働し、戦闘におけるステップ移動が基本的に出来ないため、ピーキーな仕上がりになっています。
ぶっちゃけて言えば、二脚から入ったプレイヤーには操作しにくいのです。
それを実際の問題として考えれば、ホバーじゃない脚の方が、採掘戦争という巨大市場でシェアがとれるのでは?と考えた方々も、企業にはいらっしゃったことでしょう。本書の黒幕がまさにそれですね。
しかしながらズィーメックは過去の失敗の例が示す通り、その実現へと至るための技術を持ち合わせていなかった。
ここでPS4版で二脚型が登場していることに繋がります。
PS4版のロージーは、復興暦世界において、本書の舞台の数年後に生み出されたエクシードブラスト、所謂チップ搭載可能な拡張機能と、約20年後に誕生するF3機能(ニュードディフレクター・予備弾数・加速)があるからこそ、その個性を主張し、リリースからそのシェアを確保し続けてきました。
ただしそれらの機能がまだ存在しない、本書の時間軸である復興暦の世界ではどうでしょう?
特に特徴である巡航加速が存在しない、HGよりもさらに遅い脚部は、シェアを確保することが出来たでしょうか?走れるからこそのブラスト・ランナーが、果たしてそれでよかったでしょうか?
それが出来なかったからこそ、この時点では二脚型のロージーは産まれなかった。
それが答えだと思います。
世界線は明記されていませんでしたが、10周年記念資料集に記載されたホバー・二脚の両モデルが存在したというのも、F3技術が完成した頃にようやく、説明が付く内容になります。
もしも早期にF3技術が完成していたのなら、タイバーたちは破れ、ロージーは二脚型をメインとしてリリースされ、市場に出回っていたことでしょう。
それこそ、パラレルワールドであるPS4世界のように。
そもそも他のホバー機体やワフトローダーの存在が確認されていないあの世界に、VIFOSという技術が芽吹いていたかどうかも怪しいのですが。

長い回り道をしてしまいましたが、本書の物語では、技術を持ち合わせていなかった二脚推進派は同じ重量機体を取り扱うAE社の新型デュアルスラスタートその搭載機――時期的に言ってランドバルクです。
その試作モデルを奪い、足りない技術を埋め合わせたというお話でした。
エピローグでも語られましたが、ズィーメックはAEに謝罪し、データ盗用の件を、当時ノリに乗っていたVIFOSのデータと脚部に関する運用データをセットにして引き渡すことで示談が成立した、という結末を迎えます。
これはその後に始まる「エアロン・エアハートの逆襲」と呼ばれる怒濤のリリースに繋がる(特にHGはロージーを参考にしたような重装甲と挙動を両立させた安定型であるG型をリリースしている)形にし、その先で手に入れたVIFOSのデータを元にして、最速のホバー機体であるフォーミュラを編み出したという公式設定の流れに帰着する、というものを、ギリギリまで考えて何とか捻り出しました。
実にコミケ開催10日前です。難産でした。
テキストで省いてしまったところもあるので、合本版作成の際には、うまく組み込んでみたいと思います。
想定よりも長く語ってしまいましたが、次のnoteへ向かいます。

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