【連載】研究最前線⑧「インフルエンザに対するmRNA医薬品のアプローチ」
こんにちは。株式会社ARCALIS(アルカリス)です。
私たちの手がける「mRNA」という研究領域についてご紹介するこの連載。
今回は、「インフルエンザ」に対するの研究動向についてまとめていきます。
1.インフルエンザに対するmRNAワクチン開発
モデルナ社は2022年6月7日、季節性インフルエンザワクチンの候補であるmRNA-1010の第Ⅲ相臨床試験において、最初の被験者へ投与を実施したと発表しました。
mRNA-1010はWHOが推奨する4つのインフルエンザ株の赤血球凝集素(HA)糖タンパク質がコードされている新規mRNAワクチンの候補となります。
A型インフルエンザウイルスのH1N1系統
A型インフルエンザウイルスのH3N2系統
B型インフルエンザウイルスの山形系統
B型インフルエンザウイルスのビクトリア系統
インフルエンザウイルスの表層にあるHAタンパク質は、インフルエンザウイルスに幅広く対処するために重要となるターゲットです。
モデルナ社は、早ければ2022-2023年に北半球のインフルエンザが流行するシーズンに合わせてmRNA-1010の有効性確認試験を実施できるよう、開発を進めています。
さらに、A型インフルエンザウイルスにより広く対処できるよう、HAタンパク質を追加したmRNA-1011及びmRNA-1012を開発中です。
また、ウイルスが抗原性を回避する可能性を低減するために、HAタンパク質及びNAタンパク質の両方を含むワクチン候補である、mRNA-1020及びmRNA-1030も開発中です。
加えてインフルエンザ、COVID-19及びRSウイルスを起因とする複数の呼吸器感染症を、1つのmRNAワクチンで対処することを目標としています。
2.まとめ
今回は、「季節性のインフルエンザウイルス」に関するmRNAをターゲットとした開発事例を紹介してきました。
mRNAを使った医療の可能性は広く、さまざまな研究開発がなされています。次回以降も、さまざまな研究開発の動向をお伝えしていきます。
ARCALISでは、mRNA医薬品の創薬支援・CDMOサービスをご提供しております。協業・ご依頼に関しましては、下記よりお気軽にお問合せください。