見出し画像

The musician to the musician vol.6 DARIA KAWASHIMA

現在活動休止中のFEEL SO BADのボーカルである傍ら、作曲家としても、ZARDをはじめ、最近ではSARD UNDERGROUNDなど、数多くのアーティストに楽曲を提供し続けている川島だりあ。
今年2月に開催されたZARD 30周年 Year Anniversary Live『ZARD What a beautiful memory 〜軌跡〜』にゲスト出演。自身が作曲した「あの微笑みを忘れないで」をはじめ3曲でコーラスに参加し、圧倒的な歌声とステージングでヴォーカリストとしての健在ぶりを発揮、存在感を示した。
ロック魂溢れる彼女のヴォーカルはどこから生まれたのか? そのルーツを探る過去のインタビューを振り返る!(music freak magazine vol.24 / 1996年11月掲載号より)

■LED ZEPPELIN
 私が一番初めにロックに触れたのは、テレビで観たランナウェイズだったんだけど、本当にのめり込んで聴くようになったのは「天国への階段」が入っているツェッペリンのアルバムからですね。小学2~3年の頃、兄貴が初めて私を部屋に招いてくれて(当時、兄貴の部屋は立ち入り禁止だったんです!)その時に聴かされたアルバムがこれ。特に「天国の階段」がグッと訴えかけるものがあって、これをきっかけに兄貴の部屋にあったディープ・パープルとかキッスとかを聴くようになりました。いまだにこのアルバムは突然聴きたくなりますね。

『Led Zeppelin IV』/LED ZEPPELIN
70年代を代表するハードロックバンド。この4thアルバムはこれぞLED ZEPPELINの最高傑作との呼び声も高く、「Staireway to Heaven」(天国の階段)はロックを芸術の域にまで高めた名曲。今作を抜きにして現在のロックは語れないと言っても過言ではないだろう。

■UFO
 UFOは、いろんなお友達から教えてもらって、高校ぐらいに知って、はまりだしたのはもっと後になってからかな。ヴォーカリストのフィル・モグの声がすっごく好きで、決してテクニック的に素晴らしくはないんだけど、でもこの人の声は最高ですね。私はこのアルバムの「High Flyer」(M-4)という曲が好きで、自分のレコーディングの時はこのアルバムを持ち出して練習するんです(笑)

『No Heavy Petting』/UFO
孤高のギタリスト、マイケル・シェンカーが在籍したことで有名なブリティッシュ・ハードロック・バンド。活動としてはマイケル加入以後の70年代中期、クリサリス時代が最も充実した作品を残している。1976年にリリースされた今作は、当時日本でもUFOが最も認知度を上げた時期であり、ヒプノシスの衝撃的なジャケットワークと共に話題を呼んだ。

“ハードロックバンドとして彼女が認められるバンドは、彼女の言葉を借りると「バンドはメロディが絶対大事! シンガーだったらパワフルじゃなければダメ。そして音的にはヘビーなほど良くて、メロディアスなほど良い」ということだそうだ。
そして、現在の彼女のお気に入りHR/HMアルバムが以下の2枚!”

■MEGADETH
 最近、聴いているアーティストでは、メガデス、パンテラ、アンスラックスというのはいつも外せません。この辺はFEEL SO BADの音楽性にすごく近いというか、もう聴きすぎるくらい聴いてますね。メガデスは昔のもすごく好きなんだけど、マーティ(G.)が加入してからの方が私は好き。それにデイブ・ムスティンは愛してます(笑)。ライブも良かったなぁ。

『YOUTHANASIA』/MEGADEATH
メタリカを解雇されたデイブ・ムスティン(Vo.&G.)と、デイヴィッド “ジュニア” エレフソン(B.&Vo.)の二人を中心に1983年に結成。幾多のメンバー・チェンジを繰り返し、元ハワイ/カコフォニーのマーティ・フリードマン(G.)とニック・メンザ(Dr.)を迎えた『Rust in peace』(’90)を発表後、『破滅へのカウントダウン』(’92)、『YOUTHANASIA』(’94)を含めた三作品は彼らの人気を不動のものとし、美と破壊という劇的なコントラストの表現に成功している。

■MR.BIG
 ヴォーカルのエリック・マーティンがMR.BIGで出てきた時に、なんて歌の上手い人なんだろう!って思いました。私はFREEのポール・ロジャースが好きなんですけど、彼らはバンド名にもあるようにポール・ロジャースに影響されているんだなぁと思って共感しましたね。彼は私にとっては歌の先生。MR.BIGとHEARTとUFOは私の歌の先生なんです。あとFREEも……。でも、練習するといっても、好きな曲に合わせて歌うだけなんですけどね(笑)
 このアルバムは全曲好き! バラードチックな曲というか、ミディアムな曲もすごく美しいし、カッコいいアルバムです。

『Lean into it』/Mr.Big
88年に、エリック・マーティン(Vo.)、ビリー・シーン(B.)、ポール・ギルバート(G.)、パット・トーピー(Dr.)の四人で結成。それぞれ過去に実績を持つミュージシャンであり、特にポールとビリーのテクニックは超人級で、ギター&ベース・バトルは結成当初から話題を呼んだ。1stアルバム『Mr.Big』(’89)以降、ライブ盤を含む8枚の作品をリリースしているが、中でもこの『Lean into it』(’91)は彼らの最高傑作とされ、本作収録の「TO BE WITH YOU」は全米No.1に輝くビックヒットを生み出している。

“HR/HMをこよなく愛す、川島だりあ。彼女は一つバンドなりアーティストに魅かれると、アーティストの作品を全て聴いてしまうタイプだそう。その熱き思いが、FEEL SO BADの確固たるバンドサウンド形成に一役かっているのは想像に難しくない。数多くの偉大なHR/HMバンドの影響力の上に、現在の川島だりあ→FEEL SO BADの魅力は成り立っているのだ。
自らも女性ヴォーカリストである川島だりあのルーツには、女性アーティストからの影響も見逃せない。”

■PAT BENATAR
 私、高校の時は「いい音楽は何でも好き!」みたいな時期があって、結構ロックじゃない音楽を聴いていた時期もあるんです。でもパット・ベネターにはロックを感じましたね。あの頃はいろんな好きな女性シンガーがいたけれども、この人みたいになりたいと思ったのは、パット・ベネターだけだったんです。
 このアルバムはライブ盤なんですけど、もう擦り切れるくらい(笑)聴いてます。実際、アルバムと同じ内容のビデオがリリースされているけれど、こっちは何回も見ているうちに、テープが伸びてしまいました(笑)。シンガーとして見ても、彼女はオペラとかをやっていた人なので、歪んだ声と綺麗な声と使い分けて、テクニック的にも素晴らしいと思いますね。

PAT BENATAR
ニューヨークはブルックリンに生まれた彼女は、はじめオペラ歌手を志すが、自分の声はハードロックに向いていることに気付き、女性ハードロックシンガーへ転向。『Heart breaker』収録の「真夜中の恋人たち」(’79)でデビューして以来、「危険な恋人」(’80)、「Live from earth」(’83)など多くのヒットを飛ばし、80年から4年連続でグラミー賞最優秀女性シンガーに選ばれている。

■HEART
 ハートも、最初にヒットした「バラクーダ」という曲は小学生ぐらいの時に聴いていたんですよ。でもすごく好きになっていったのは中学、高校ぐらいになってから。彼女達が『HEART』というアルバムでブレイクして、その頃からズッポリはまってずっと聴いていました。HEARTって、メロディアスだし、ヘビーだし……。一時期、自分自身、歌うことがすごく好きなんだけど、自分の音楽って何だろう?と悩んだ時期があって、その時にこのアルバムを買ってCDをポンとプレイヤーに入れてスタートさせた途端に、やっぱり私はロックをやらなくちゃ!って思いました。
 そんなこともあって前々回の来日公演の時かな。ハートのライブ観に行った時、2列目だったんですけど、思わず涙してしまいました。これでパット・ベネターとアン・ウィルソンが合体すれば私にとって理想のシンガーですね。

HEART
アン&ナンシー・ウィルソン姉妹を中心にカナダで結成。『Dreamboat annie』(’75)でデビューを果たす。後にアメリカ進出を果たし、本作収録の「Masic man」は全米9位のヒットとなり2年近くチャートインしていた。しかし、メンバー間の音楽性不一致やレコード会社とのトラブルにより、しばらく低迷期を迎えるが、85年に発表した『Heart』で再ブレイクし、続く『Bad animais』(’87)からは「Alone」が全米1位、「Brigade」(’91)からは「愛したい」が全米2位となり、ヘビーではあるがメロディアスというサウンドは80年代を中心に多くの人々を魅了した。

■MADONNA
 私は19歳の時にデビューして、その頃は私もダンスが好きで、マドンナのことを単純に「いいじゃない」っていう感じだったんですけど、今は人間として尊敬出来るアーティスト。彼女は完璧主義者というか、体鍛えることもそうだし、恋愛に関してもそうだから(笑)。音楽では単純なコード進行なのに、こんなメロディができるんだぁという。そういう意味ではすごくロックに近いと思いますね。アルバムはやっぱり「ホリデイ」が入っているこのファースト・アルバムがすごく好き。それで、いつも私はFEEL SO BADのライブの前は、マドンナのレーザーディスクを見て、ひと踊りしてから行くんですよ(笑)

MADONNA
1983年のデビュー作『MADONNA』から「Holiday」を含む4曲を大ヒットさせ、2ndアルバム『Like a virgin』(’84)ではプロデューサーにナイル・ロジャースを迎え、驚異的な大ヒットを生んだ。また、『Erptica』(’92)発表時には写真集「SEX」、映画「BODY」への出演、そして女児出産と多方面に話題を呼び続けている。シンプルなサウンドに巧みなメロディセンス、ダンスへの強いこだわりは実に印象強い。

“パット・ベネター、HEART、MADONNA、どれも川島だりあがプロのアーティストになることを意識し始めた頃(80年代)に大ヒットしていたアーティストばかりだ。しかも、それはポピュラー・シーンの中でロックという存在がメジャーになっていく過渡期でのサウンドである。HR/HMサウンドが彼女の音楽ライフの基礎を作ったとするなら、これらの女性アーティスト達は、より彼女自身の現実に近いフィールドで同次元の共感を残しながら影響を与えていったアーティストと言えるだろう。
そして、FEEL SO BADの川島だりあが最も共感するアーティストが出現した。それがジョーン・オズボーンだ。”

■JOAN OSBORNE
 ジョーン・オズボーンは本当に素晴らしいアーティストだと思います。というか、持って生まれた声自体にすごく憧れるし。私は歌うとハスキーじゃないので、こんな声に生まれたかったと……(笑)。それにギターを弾きながら歌を作っている感じがして好き。私には真似できないことですから。実は私、アラニス・モリセットもすごく好きだったんですね。でも、この前ジョーン・オズボーンのライブに行って、偶然本人に会わせてもらったんですが、メンバーの人やスタッフよりも一番!親切な人で、それでもうジョーンが最高!になってしまいました(笑)
 私はラジオの取材で、最近気に入っているアルバムは?という質問に対して、このアルバムを推薦していたんです。そのことを彼女に伝えたら、彼女が「日本のコンサートが成功したのも、だりあのおかげだわ」と言ってくれて、そんなことはないけど、なんか好きになってしまいました(笑)

以上、今回はFEEL SO BADのヴォーカリスト・川島だりあがCDの溝が見えるまで!? 聴いたアーティストのアルバムを紹介。しかし、この他にもライブを意識し出したら、影響を受けたアーティストはエアロスミスやヴィンス・ニール在籍時のモトリー・クルーが登場するなど、かなりHR/HMミュージックには精通している川島だりあ。
FEEL SO BADのハードなグルーヴサウンドの背景には、こんな彼女やメンバー達のロックにかける大いなるフリーク魂が存在し、だからこそ彼らのロックは本物のテイストを堅持し続けるのだろう。

♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪

★川島だりあがゲスト出演した
『ZARD What a beautiful memory 〜軌跡〜』ダイジェスト映像


★川島だりあが作曲を手がけた、SARD UNDERGROUND 2nd Sg「これからの君に乾杯」
★川島だりあが作曲を手がけた、SARD UNDERGROUND「オレンジ色」
(from 1st Original Album『オレンジ色に乾杯』)

★川島だりあが作曲を手がけた、SARD UNDERGROUND「君には敵わない」(from 1st Original Album『オレンジ色に乾杯』)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?