見出し画像

The musiciann to the musician vol.15_Makoto Miyoshi(rumania montevideo)

三好真美さん(Vo. & Dr.)、誠さん(Gt.)の姉弟を中心に、1999年4月に「Still for your love」でGIZA studioよりメジャーデビューを果たした5ピースバンド「rumania montevideo」(ルーマニア・モンテビデオ /  通称・モンテビ)。2002年に3rd AL『MO' BETTER TRACKS』をリリース後活動休止となるまで、誰に媚びることもなく、独自のサウンドを自由奔放に展開し、良質かつハイセンスな作品を作り続けてきた、記憶に残る極めてユニークなバンドです。

2019年3月6日、三好誠さんが真美さんと共に再始動に向けて準備中であることをSNSに投稿、12月1日には以前所属していた事務所が運営するライブハウス「hillsパン工場」で再始動後初のライブを実現しました。
さらに誠さんは2021年から元少年ナイフのLitsukoさんとのオルタナユニット「mophing people」を始動。作品リリースやライブ活動など精力的な展開を見せる中、4月29日には『バンドマンライブ by ヒルパンスタイル Vol.2』@hillsパン工場にも出演が決まっています。このイベントにはGARNET CROWのカバーを歌っていることでも注目が高まっている「青いガーネット」も出演。GIZAの黎明期を代表するモンテビの誠さんと、新星として今後期待が高まる「青いガーネット」が「hillsパン工場」主催の同じイベントに出演するとは。歴史の重みを感じずにはいられません。

作曲家としても、自身のバンドの他、ZARD、WANDS、他数多くのアーティストやバンドに楽曲提供をしている誠さん。そのクリエイティブセンスはどんな音楽やアーティストが影響を及ぼしているのか? そのルーツを探る鍵が過去のインタビューに残っていました。1999年8月に発行した「music freak magazine vol.57」の『The music to the musician』をご紹介します。誠さんの人となりも垣間見えるインタビューをお楽しみください。

こちらの記事は、『The musician to the musician』(music freak magazine vol.57 / 1999年8月号)に掲載された内容になります。


1999年6月16日に1stアルバム『rumaniamania』をリリースしたrumaria montevideo。ポップでありながらも、曲のどこかに予想を裏切るコード・チェンジやアレンジを施している楽曲が多く、曲者っぽいパンドという印象を受ける。そのバンドのギタリストでありコンポーザーでもあるのが、三好誠さん。rumania nontevideoに漂っている音楽性は、作曲を手掛けている彼のバックボーンでもあると言える。一体彼はどのような音楽を聴いてきたのだろうか?

ー 取材当日、「絞れなかったんですよ」と言って三好さんは十数枚のCDを持ってきてくれた。さすがにフェイバリットというだけあって、かなり読き込んでいる様子が窺える。アナログ盤あり、CDに入っている歌詞カードがヨレヨレになっているものもありと、一目見ただけでも“音楽大好き少年、三好誠”の素顔が感じられた。ー

三好:昔はお金がなかったので、なかなかレコードやCDが買えなかったんです。だから貸しレコード屋で借りまくりましたね。1枚300円ぐらいで1週間に4枚とか。聴いていたのはその時に流行っていた洋楽が多かったかな。流行っていたっていっても僕の場合はまたちょっと違うかもしれないけど・・・・・。僕が借りに行っていた所は凄いマニアックな作品も置いてあって、レンタル屋では普通ないようなものとか、海賊盤みたいなものもレンタルされていたんです。その時はギターを始めていたので、やっぱりギター・バンド系を借りることが多かったですね。ずっとテープとかで聴いていたけど、やっぱりこれは買いたいって、最近はいっぱい買っていますね。特にここ何年かのものが多いんですけど」

ー rumania montevideoの音を聴いているとマニアックな部分の追求もしているように思えるのですが、その辺はミュージシャンとしてやっぱりそういう作品に興味がいってしまうのですか? ー

三好:でも、僕の友達とかはみんな買っていて、これ、いいよね”っていう話とかをするんですけど。まあ、知らない人は一つも知らないっていう感じだったりしますけど、自分の中ではマニアックって意識はないし。行く所に行けば大量に置いていたりもしますから。ジャンル的に言うと僕の好きな音楽はアメリカですね。やっていることはイギリスっぽいとか言われたりもするけど・。好きなのはアメリカ、あ、イギリスっぽいアメリカかも(笑)



■TOM WAITS『MULE VARIATIONS』(トム・ウェイツ『ミュール・バリエーションズ』)

1973年にアルバム『Closing Time』でデビュー。本人がルイ・アームストロン グとエセル・マーマンによる“地獄のランデブー”と形容するそのしゃがれs声と独特の節回しは、一度聴いたら忘れられない癖がある。1978年頃から映画の端役にも登場しはじめ、特にフランシス・コッポラ監督作品に多く出演している。
『MULE VARIATIONS』は、1999年4月にリリースされた、実に6年振りの全体書き下ろしアルバムである。

 大学時代の友達でマニアックな奴がいて、ある日「トム・ウェイツがいいよ」って言われて。その時はあまりにもパッと聴きがつまんなかったんです。なんか枯れている感じがして。この人は年が年なだけに、この人自身のイメージがカッコイイじゃないですか。だから音楽もカッコイイんじゃないかって錯覚しながら聴くのもあったりして(笑)。“酔いどれ詩人”とかって言われているけど、CDを聴いても英語で歌っているから実は何を言ってるのか分かんないんですけど、雰囲気が伝わってくるんですよね。でも、僕はこういうおじさんになろうとは思わないですけど(笑)。妖し過ぎますよね。音自体に集中してないんですけど、かけていたら止めたくなくなるっていうのがこの作品です。僕が作品を聴く重要なポイントは、音楽よりもどっちかっていうとイメージです。

■THE FLAMING LIPS 『CLOUDS TASTE METALLIC』
(フレミング・リップス『クラウズ・デイスト・メタリック』)

3ピースバンドでリーダーであるWayne Coyne(Vo.&G.)は、10歳の時にオリジナル・パンドとしてTHE FLAMING LIPSを作っていた。1980年にMicheal Ivins(Ba.&Vo.)と共にオリジナルを中心としたバンドに生まれ変わる。インディーズでは1986年から4枚のアルバムをリリースし、その後1992年にアルバム『HIT TO DEATH IN THE FUTURE HEAD』でメジャー・デビュー。

 これはアメリカのバンドです。1985年ぐらいからやっていると思うんですけど。昔はうるさいギターの感じだったんですけど、この『CLOUDS TASTE METALLIC』辺りからいい感じになってきて。何がいいかっていうと映画音楽っぽいんですね。聴いていて広い風景が見えて来るという。映画音楽が好きだったら映画音楽を聴いたらいいやないかって思うんですけど。なんかストリングスとかがこの作品から入っているんですけど、手作りでやっている感じがして。その辺にある機械で世界を作り出しているなって。それと基本はギター・バンドっていう所。ギターのノイズとか、ギターの面白いのとかも使っていて。(曲をかけながら)よく聴くと扇風機みたいなパタパタした音が入っていたりと細かいのに、音はダイナミックに感じるし、なんか生々しいですね。メンバーー人一人がマニアックなんですよね。ライン録りみたいなギターがあって。どうやってるのか分からないんですけど。電池がなくなりかけのエフェクターみたいな音で。
 さらに面白いのが、この4枚組(ZAIREEKA97年10月リリース)なんですけど(笑)。4枚を同時再生して初めて成り立つという8曲入りのアルバムなんですよ。1枚には歌とドラムだけとか。(CDをかけながら)この始めのしゃべりで頭を合わせるんです。これを買った時、一応ジャケットの表にはそのことが書いてあったんだけど、英語だから分かんないじゃないですか。で、4枚組ってどんなんだろうって聴いたらこんなのでビックリしました。僕はハードディスク・レコーダーを持っていたので聴けたんですけど、普通の人は4枚同時なんて聴けないですよね。この間、スタッフの人ともやったんです、同じ機種のCDラジカセを並べて。1つのリモコンを押すと全部同時に動いて。感動的でした。このバンドはハマります。じっくり聴いてしまいます。
 (別のアルバムをかけて)これの1曲目もかっこいいのでちょっと聴いてください。家でこれを聴いている時に友達が来たんですけど、これにはベンディングみたいな上物が入っているので「音悪いな」って。「いやいやそうじゃなくって、これがいいんだって」って(笑)。この人達はあくまでもポップ・ミュージックの中でやっているっていうのがあって、それでギリギリ僕とも接点があったのかな。

■THE VENTURES『VENTURES SPECIAL SELECTION』
(ベンチャーズ『ベンチャーズ・スペシャル・セレクション』) 

シアトルで中古車を売っていたDon Wison(リズムG.&Vo.)、建築現場で煉瓦職人をやっていた Bob Bogle(B.&リズムG)の2人を中心に、Gery MoGee (Dr.)、Melvin Taylor (リードG.&B.)を加え 4人で結成されたパンド。1960年にリリースしたアルバム『WALK DONT RUN』が爆発的ヒットに。彼らのギター・インストが火付け役となって、日本にも一大エレキブームが巻き起こるが、その明るいサウンドは時代を超えてもなお支持され続けている。

 時代は違うんですけど、ギダーの練習に使ってました。これを聴くとギターを弾きたくなるじゃないですか。合わせやすいし。テケテケテケテケってかっこいいですね、テケテケ自体が。ダサくは思わないですよ。とりあえず僕はモズライト・ギターが好きですし。リバーブのかかったあの音が、いいんだか悪いんだか。あの音で速く弾くとけっこう下手くそに聴こえるんですよね。だからやっぱりベンチャーズの人は上手いんだろうなって。

■GRAHAM COXON 『THE SKY IS TOO HIGH』
(グレアム・コクソン『ザ・スカイ・イズ・トゥ・ハイ』)

1969年3月12日ドイツ生まれ。イギリスのバンドBlur(ブラー) のギタリスト。Blur のメンバーは他に、Damon Albarn (Vo)、Stephen Alexander James (B)、 David. Rowntree (Dr.)。 グレアムがロンドンの大学時代にアレックスと出会いパンド結成への道を辿る。1995年にはブリット・アワードで、ベスト・ソング、ベスト・ビデオ、ベスト・バンドなど計5つの賞を獲得。
今作はグレアム・コクソンの自身のレーベル「トランスコピック」からの1st Solo Album。

 これはブラーのギタリストのソロ・アルバムです。この人はアメリカ寄りなんですけど、空気感がいいですね。レコーディングも1日7時間の録音でたった5日間で終わったって書いてあるし、気の赴くままにやっているって感じで。でも、そうやるんだったらもっとパーソナルなものになってもいいと思うんですけど、最低限のラインが残っているんですよね。僕の周りにはこの人が好きっていう人が多くて、ブラーの中でもグレアムが一番かっこいいよなって。ソロはこれが初めてなんだけど、この前にブラーから出したアルバム「ブラー」の中の1曲「ユア・ソー・グレイト」を彼が歌ってるんですよ。ライヴを見に行った時も歌っていたんですけど、めっちゃ恥ずかしそうだった。「ほんまはやりたくないねんけど.....仕方なくやっている。どっちでもええねんけど、なんやったら歌おうか?」みたいな(笑)。同じギタリストって目で見ると、この人の弾き方と佇まいが何とも言えずかっこいいですね。徹底的に素なんですよね、自然な感じで。

■オリジナル・サウンドトラック「時計じかけのオレンジ」

スタンリー・キュー ブリック監督が 「2001年宙の旅」 に続いて1972年に発表した、性と力に満ちた近未来を描いた衝撃の作品。シンセサイザー処理されたクラシックの名曲や、ミュージカル主題 歌の「雨に歌えば」暴力シーンで使用していたりと、相対するサウンドを使用することによって、より悪夢の世界を増幅させるという効果的な音作りの映画となっている。

 プロになってからは作品の聴き方が変わったというよりは、昔はギター・バンド系の音楽が多かったけど、それ以外のものも幅広く聴くようになりましたね。いわゆる歌物でないものとか、テクノとか。ぜんぜん知らないんですけど、そういうのも面白いなって。映画音楽とかインストとかも好きです。サントラだと「時計じかけのオレンジ」とか(三好さんが持って来たのはアナログ盤!)。これは面白いですね。映画音楽はそんなに聴くっていうほどでもないし、映画自体もそんなに観ないんですけど。好きな作品は何回も観ますね。けっこうB級なものというか、ストーリーは無いけど場面場面が面白いっていう。そういう質感の物が好きです。イランの映画で友達にノートを借りて、それを帰すためにずっと歩いてその子の家を探すっていうのを2時間延々とやっている映画があって(「友達の家はどこ?」)あれも面白かったですね。

ー 好きなアルバムは「メチャクチャ聴く」という三好さん。好きな作品に巡り会うと、そのアーティストの過去の作品に遡りたくなる人が多いと思うが、彼はそうではないタイプだという。ー

三好:コレクターズ的な発想ではないですね。この人が好きだからシングルのB面の曲も聴きたいとかって、そういうのはないですね。
買うポイントですか?  とりあえずCDに付いている帯は信用しません(笑)。あれだけでは分かりませんから。“パワーポップ”って書いていて、どこがパワーポップやねんっていうのが何回もありましたからね。“ジャケ買い”もありますけど、僕は全然当たらないですね。そういう意味では、最初はレンタルで借りて良いものを改めて買い直すっていうのがいいかもしれません。

ー 最後に、近況について教えてもらった。ー

三好:秋にシングルを出すので相変らずレコーディングです。大変なんですけど、これだけスタジオに入り続けているっていうのは、実は幸せなことなんだなって思います。
僕は長時間スタジオに入っていてもぜんぜん大丈夫ですし、家もスタジオみたいなもんですから。スタジオから帰って、まだスタジオみたいな(笑)。24時間体制ですね。音楽から離れようって思ってもやっぱり音楽を聴きますもん。
リフレッシュの仕方ですか?・・フリーマーケット。昨日も早朝から行って来て、ラジオ付きヘッドホンを買いました。右がチューナーで左がボリュームっていう。どうでもいい使えない物とか、戦力にならないガラクタと分かっている物も買ってしまいます。
(スタジオに渋いディストーションが置いてあったのでそれについて聞いてみると)これは去年ぐらいに買ったんだけど、これの価値が分からないおじさんがやっている店で買ったんです。ギターを売っている所ではなくて粗大ごみを売っているような店にあったんですよね。これはディストーションでボスのDS-1。「5個で1万円ぐらいで全部買わないと売らない」って言われて。でも、これがもう売ってないのでこれだけが欲しかったから 「これだけでいい」って言うと、「じゃあ3千円でいいか」って。安いじゃないですか。その時点では鳴るかどうか分かんなかったんだけど、使えたので。そういうのが楽しいですね、フリーマーケットは。

ー これだけ忙しく仕事で音楽に接していても「やっぱり音楽は欠かせない、生活の一部になっている」という。雑多な音楽の中から、引っ掛かるものや面白い要素を見つける名人のような三好さん。9月15日にリリースされるシングル「デジタルミュージックパワー」で、今度はどんな手の内を明かしてくれるのか、楽しみだ。ー


★要チェキ!!!!!

2023.04.29(月祝) 『バンドマンライブ by ヒルパンスタイル Vol.2』

<出演>
Lafall
mophing people
青いガーネット 
and more...

OPEN 15:30 / START 16:00

TICKET ¥2,400(税込) 前売り&当日共+1D¥600
チケット発売: 3/9(土)10:00〜  hillsパン工場HP(http://livehillspankojyo.com/)予約にて!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?