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原子核選択

MRI認定試験対策ノート

原子核に関する出題のまとめです。

★過去問Check★
第１７回（６）核磁気モーメント
第１５回（６） スピン量子数
第１２回（１） 磁性核
第１１回（１） 磁性核
第１０回（４） 磁性核
第９回（１）強磁性の物質（４）磁性核 


問題１　磁性核

（１）NMRで用いられる核種はどれか.

  1. 2 H

  2. 4 He

  3. 12 C

  4. 16 O

  5. 23 Na

  6. 24 Na

  7. 28 Si

  8. 31 P

  9. 40 Ca

  10. 59 Co

  11. 129 Xe

【解答】１，５，８，１０，１１

【解説】
「NMRで用いられる核種」とは磁性核のことである.
したがってこの問題は磁性核を選択する問題である.

原子核の磁性は陽子と中性子に備わった磁気モーメントによるものである.ただし陽子同士,中性子同士で反対方向の磁気モーメントをもつものが2つずつペアになると磁性を打ち消し合うため,陽子と中性子が共に偶数の核種は磁性核になることができない.したがってNMRでは対象外となる.

つまり磁性核を聞かれたら,陽子または中性子が奇数の核種を選択すればよい.

陽子数は原子番号なので,すでに周期表を覚えている場合は数えることができる.また原子の横に書かれている番号は質量数なので,質量数-原子番号(陽子数)＝中性子数の簡単な計算で,中性子数も算出することができる.

★周期表の暗記★

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黄色部分：筆者が大学受験レベルの知識で覚えていた範囲
この設問に関してはこの範囲の暗記で問題ないと考えます


  1. 2 H　原子番号(陽子数)＝1　中性子数は2-1=1
    陽子・中性子共に奇数なので磁性核

  2. 4 He　原子番号(陽子数)＝2　中性子数は4-2=2
    陽子・中性子共に偶数なので非磁性核

  3. 12 C　原子番号(陽子数)＝6　中性子数は12-6=6
    陽子・中性子共に偶数なので非磁性核

  4. 16 O　原子番号(陽子数)＝8　中性子数は16-8=8
    陽子・中性子共に偶数なので非磁性核

  5. 23 Na　原子番号(陽子数)＝11　中性子数は23-11=12
    中性子は偶数だが,陽子が奇数なので磁性核

  6. 24 Na　原子番号(陽子数)＝11　中性子数は24-11=13
    陽子・中性子共に奇数なので磁性核
    ※しかし放射性同位体で安定元素ではないためNMRでは用いられない.

  7. 28 Si　原子番号(陽子数)＝14　中性子数は28-14=14
    陽子・中性子共に偶数なので非磁性核

  8. 31 P　原子番号(陽子数)＝15　中性子数は31-15=16
    中性子は偶数だが,陽子が奇数なので磁性核

  9. 40 Ca　原子番号(陽子数)＝20　中性子数は20-20=20
    陽子・中性子共に偶数なので非磁性核

  10. 59 Co　原子番号(陽子数)＝27　中性子数は59-27=32
    中性子は偶数だが,陽子が奇数なので磁性核

  11. 129 Xe　原子番号(陽子数)＝54　中性子数は129-54=75
    陽子は偶数だが,中性子が奇数なので磁性核

ここで注意したいのが24 Naである.「NMRで用いられる核種はどれか」という設問で過去一度だけ出題され,この引き算の考え方で唯一答えに合わない選択肢である.Na自体は原子番号が奇数のため磁性核となるが,主な磁性核は安定同位体の23番である.(Naの安定同位体は23番しかない.)これだけイレギュラーで暗記しなければならないが,他は引き算の考え方で導き出せる.


★磁性核の丸暗記★

画像2
黄色部分：教科書に記載されている主な磁性核

1H,2H　3He　11B　13C　14N,15N　17O　19F　23Na　25Mg　27Al　29Si　31P　35Cl　39K　43Ca　59Co　63Cu　77Se　79Br　113Cd　129Xe　199Hg




（２）核磁気モーメントが最も大きくなるものはどれか.

※中性子は陽子よりも小さい磁気モーメントを有し, 原子番号:Z, 中性子数:Nとする.

  1. 大きいZ

  2. 少ないN

  3. ZとNが同数

  4. ZとZ+Nが奇数

  5. ZおよびZ+Nが偶数

【解答】４

【解説】

  1. 大きいZ(原子番号=陽子数)だとしても,それが偶数であれば陽子同士で磁気モーメントは打ち消し合うため,磁気モーメントは小さい.

  2. 少ないN(中性子数)だとしても,それが偶数であれば中性子同士で磁気モーメントは打ち消し合うため,磁気モーメントは小さい.

  3. Z(原子番号=陽子数)とN(中性子数)が同数であっても,偶数であればそれぞれ磁気モーメントは打ち消し合うため,原子核の磁気モーメントは小さい.

  4. 「Z+Nが奇数かつ,Zが奇数」ということはNは偶数ということであるが,
    Zが奇数である原子核の磁気モーメントは陽子の磁気モーメントが打ち消されないため大きい.

  5. 「Z+Nが偶数かつ,Zが偶数」ということはNも偶数ということになる.
    ZもNも偶数であるので,陽子の磁気モーメントも中性子の磁気モーメントもそれぞれ対になり打ち消し合ってしまい,磁気モーメントは小さい.



【参考文献】
荒木力,MRI完全解説第2版,秀潤社,2014,16




問題２　スピン量子数が1/2の核種はどれか.


1.　1 H
2.　2 H
3.　23 Na
4.　31 P
5.　129 Xe

【解答】１，４，５


【解説】

画像3
黄…スピン量子数　1/2
※2Hと14Nはスピン量子数1
赤…スピン量子数　3/2
緑…スピン量子数　5/2
青…スピン量子数　7/2



スピン量子数　1
2H　14N

スピン量子数　1/2
1H　3He　13C　15N　19F　29Si　31P　77Se　113Cd　129Xe　199Hg

スピン量子数　3/2
11B　23Na　35Cl　39K　63Cu　79Br

スピン量子数　5/2
17O　25Mg　27Al

スピン量子数　7/2
43Ca　59Co

(スピン量子数は残念ながら,暗記するしかなさそうです.)


問題３　室温で強磁性を示す単体の物質はどれか.

  1. Cr

  2. Fe

  3. Co

  4. Ni

  5. Ga


【解答】２，３，４

強磁性を示す物質は鉄(Fe)ニッケル(Ni),コバルト(Co)の３つである.

画像4



おつかれさまでした！原子核を選択する問題は暗記問題として捨ててしまう方もいるかもしれませんが,周期表を覚えているとある程度解ける問題もあるので,捨てずにぜひ挑戦してみてくださいね。


★過去問Check解答★
第１７回（７）４
第１５回（６）１，４，５
第１２回（１）１，５
第１１回（１）１，５
第１０回（４）１，５
第９回（１）２，３，４（４）１，３，４


※解答は個人見解です。

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