『時と恐怖』

眠るのが怖い。

真っ暗な部屋の中にいるとまるでこの世界に独りぼっちにされたような恐怖に似た孤独感を覚える。

時の流れは目に見えない。
何もしなくても時間は刻々と削られていく。

自分の鼓動。呼吸音。換気口から聞こえる風の音。テレビの微かな稼働音。
その全ての微かな音が、時が削られていく音に聞こえる。

一度に聞こえる沢山の音。
恐怖が押し寄せてきて鼓動と呼吸が速くなる。
まるで時の流れが速まるようだ。

目を閉じて眠ればよいのだろうか。
しかしそれもできない。
眠ってしまえば一瞬で時は過ぎていく。
時間が奪われ、変化していくことが怖い。

何に怯え、何から逃げているのだろうか。
立ち向かってボロボロになった身体を動かし続けることも限界に近い。
あと4日程眠らなければ解放されるだろうか。
そんなことばかり考えてはまた怖くなる。

考えていてもわからない。
とりあえず今は自分を騙しながら動き続けるしかないのだろう。

明日の恐怖は明後日考えよう。
きっと別の恐怖で明日の恐怖なんて忘れている。

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