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『愛を結ぶ美しい人』

新たな旅路へと進んだ向日葵のような友へ

出会って20年目
覚えてる限り君に手紙を書くのは初めてだろう。
初めての手紙が届かなくなってしまってからであること、こんな所に書いたこと、そして最初で最後の手紙になることを許してほしい。

8/21
突然君の片割れから電話がかかってきた。
間違い電話だと思った。
でも何度もかかってくる。
間違いじゃないと気づいて電波の届く所に移動して折り返した。

「〇〇はあと1日2日で死にます」

何を言ってるのかわからなかった。
一瞬で周りの音が何も聞こえなくなった。
人生で初めて泣き崩れた。
経緯などを言われた気がするがそこからのことはあまり覚えていない。
何度も急にこんな電話してごめんねと言う片割れに謝るな、お前は何も悪くないと言いながらボロボロ泣いた。
関わりのある人達に連絡をしながらボロボロ泣いた。
人ってあんなに涙出るんだなぁ…

充分頑張って戦っているから頑張れって思いたくなかった。
でもそう思うしか無いのが悔しかった。
1秒でも長く生きてくれること、一瞬でも目を覚ましてくれることを祈ることしか出来ないのが辛かった。

なんでお前なんだよって何度も思ったよ。
起きるはずのない奇跡を祈ったよ。
みんなが祈ってたよ。

それでも祈りは虚しく本当に次の日に君が短すぎる旅を終えたことを知らされた。

悲しくて悔しくて、信じたくなくてまた泣いた。
でもね、沢山沢山頑張った君がもう痛い思いも苦しい思いもしなくていいんだって思ったら少しホッとした私がいたよ。
沢山沢山褒めてあげたいって思ったよ。

あの日電話があってから沢山の人に連絡をして、幼稚園からの子達と昔の話をしたんだ。
誰と話してもみんな同じことを言うんだよ。
どの思い出にもあの双子がいるよね。って
色んなことに巻き込まれたけど嫌な思い出1個も無いよね。って

私も君達双子には沢山振り回されて巻き込まれたなぁ笑
いつも2人で喧嘩して君が泣かされてさ、私の所に来て〇〇がぁ、〇〇がぁって泣きながら訴えてきたよね。
それでも私も嫌だと思ったこと無かった。
やらかしや喧嘩全て含めて君達の良さだったのかもしれないね。

うちら子ども達はまーたあの双子喧嘩してるよ、やらかしてるよ、仕方ないなぁって笑ってやれてたけどさ
もちろん先生達はそうも行かないわけで。
いつも喧嘩したり、やらかしたり、勉強が苦手な2人だったから誤解されたり怒られたりは日常茶飯だったよね。
大人には君達の良さはわからなかったんだね。

だからこそ、私は沢山の先生方に最後に君に会いに来てほしかったんだ。
真っ直ぐ過ぎるくらい一生懸命に生き抜いた君を沢山沢山褒めてあげて欲しかった。

沢山の先生方が来てくれたね。
20年ぶりくらいに会う先生もいたね。
褒めてもらえてたら良いな。
実際会ってたらきっとぴょんぴょん跳ねて喜んだだろうな…

あんなに色んな人に会いに来て褒めてあげてくださいって言ったのにさ、会いに行きたくないって泣いてごめんね。
会ったら現実になっちゃうから怖かった。
最後に会わなければ悪い冗談って思ってて良いんじゃないかって。
本当は会いたくて褒めてあげたくて仕方なかったのに逃げようとしてごめん。

でも今は会いに行って良かったと思ってる。
君という人が23年という短い人生の中でどれだけの人に愛を与え、愛されていたかを知ることができたよ。
関わる全ての人にとって大切な存在になってたんだなって思うとそんなすげえ奴の友達でいられることが誇らしいよ。

真っ直ぐすぎるくらい素直だったからきっと損することもいっぱいあったよね。
でもその真っ直ぐさに沢山の人が救われていたんだと思う。
君の大きな才能だね。

そんな素敵な才能を持つ君をこんな早く見送らなきゃいけないことが本当に悔しい。
なんでこんな早くいくんだよ…

お通夜でさ、片割れ頑張ってたよ。
君が生きた証を、戦った証を一生懸命みんなに伝えようとしてた。
世界一破天荒という言葉が似合いそうな奴だったのに。
必死に強くあろうとする姿や「一番嫌だった」と心の声を漏らしながら泣く姿は心が締め付けられて辛かった。

私も君という素敵な存在が思い出になって心の奥の方に仕舞われていってしまうなんて嫌だよ。

20年経っても30年経っても喧嘩してて欲しかった、そう時が進んでくと思ってた。
でももうそれは叶わないんだね。

片割れを残していくこと。
きっと1番の心残りだったよね。
みんなも私も残されたあいつが心配だよ。

だから最後に君の顔を見た時にも言ったけどさ

あいつのことはみんなで守る
君を心の中の思い出にはしない

この2つの約束は絶対に守るから。

この先何年、何十年経って
あいつとみんなと一緒に
君との思い出を、君の生きた証を思い出して
あいつがまた笑えるまで待つから。
その時は君も側で笑っててほしい。

私は良い奴でも何でもないからさ
君の分まで生きるからなんて言えない。
だって私がどれだけ頑張って生きても君の人生を生きたことにはならない。
私は君だけに君の人生をまだまだ生きて欲しかった。

君が羨ましくて羨ましくて戻ってきたくなるくらい楽しいことしてがむしゃらに生きるよ。
月命日は大好きだった納豆3パック一気に食ってやるよ。
羨ましいだろ?食べたいだろ?
だからさ

いつでも戻っておいで。

そしたらこんな早くいってしまったことも全部全部許してやるからさ。

まぁ、そんなことは無理なのももう大人だからわかってる。
だからせめてそっちで楽しく笑っててくれ。
そこからあいつのこと守ってやってくれ。

そして、次会った時にはあいつを最大限の力で強く抱きしめてやってくれ。

私からの願いはそれだけ。

この半年間辛かったよな、痛かったよな。
君は計り知れない程の痛みや苦しみを乗り越えてたんだと思う。
よく頑張ったな。
次会った時は死ぬほど抱きしめてやるからそっちで待ってて。
探すのたいへんだからあんまり遠くへ行くなよ。

最後に

新たな旅路へと進む向日葵のようだった友へ

沢山の花を包み込む
優しく温かい陽の光となれ

行ってらっしゃい。大好きだよ。



君が新しい旅を始めて昨日で1ヶ月
まだ思い出して苦しくなって涙してしまうよ
手紙を書くのも時間がかかってしまったけど
どうか君のもとへ届きますように。

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