長崎旅 3 ・もはや長崎ではない(2023.08)
イカ
旅行最終日、唐津から出発。
唐津は完全に佐賀県やん。
昨日は有田、伊万里、唐津と焼物の町を経由してきた。せっかくなら、もっとゆっくり時間を取って焼物を見てまわれたら良かったんだけど。
でも、ひとつの旅にいっぱいミッションを詰め込み過ぎると、時間も取れないし薄っぺらい体験になってしまうことも経験済みなので、旅行を計画するとき、そのさじ加減がいつも難しい。
今日はとにかく「呼子イカ」なのだ。
唐津城も虹の松原も行かずじまいで「呼子イカ」なのだ。
「呼子イカ」に出会う旅。それは宿から近い唐津大手口バスセンター(バスターミナル)から呼子行きのバスに乗ることから始まる。食いたいなら乗れ。終点が呼子であることを確認し、何時何分に着くかをわかっていればいいのだ。
呼子へ向かうバスの中ではイカのことを考えながら、同時に戻りの手段を考えていた。
西唐津? 唐津? それともバスセンター経由で天神まで行っちゃう?
唐津から30分、呼子バスターミナルに到着。
復路を決めかねていたので、スーツケースを持ち歩いていた。
ターミナルにちょうど入る大きさのコインロッカーがあったので放り込む。
「呼子朝市」という小路を通り、両側に並ぶお店の商品にチラチラと目をやりながら「あぁ美味しそうだなぁ」といった表情を作り、ささやかな愛想を振りまきスルーしていく…
目的は「呼子イカ」なのだ。
のんびり15分ほど歩いていたら、見えてきた「河太郎」。
呼子という町は、東松浦半島の突端に位置している。
その突端のさらに突端にあるお店だ。
店の前の発券機で整理券を取る。12番だった。
3組前になると自動音声の電話がかかってくる仕組みになっていた。
我々と同じ魂胆で、開店前からたくさんの人がイカを求めて群れ始めていた。加えて、駐車場も車が増えてきた。
11:00開店。
開店5分で電話がかかってきた。
店の前にいる群衆をすり抜け店に入っていく。
店内のど真ん中に大きないけすがあって、それを取り囲むようにして4人がけの席が用意されていた。「イカの墨がかかるかもしれません」という注意書きがあった。
活造り定食を注文した。
ほどなくして主役以外が乗ったお盆が運ばれてきた。
満を持して、イカ登場。
足がときどき軽く波打っていた。
イカの視線が気になり始めた。こっち見られてる。
視線に負けないように、透き通って歯ごたえのある刺し身を、大事に大事に1本ずつ箸でつまんで食べた。贅沢している感が次第に薄れてくると、それが2本になり、束になっていく…。
刺し身をたいらげると、一度回収されてゲソ揚げにして持ってきてくれた。これがまたウマかった。
ごちそうさまでした。
お会計…
こんなに人気店で有名店なのに、クレジットカードが使えないなんて。
いや、謙虚にいこう。
とうとう呼子でイカを食べてしまった。
活造りに対するハードルが数段上がった気がする。
金印
結局、呼子からは往路と同じバスで唐津バスセンターに戻り、唐津駅から筑肥線で海岸線を見ながら福岡市内へ入ることにした。
そのまま天神か空港まで行ってしまっても良かったのだが、
「"金印"見て行くか」
という思いつきで、福岡市博物館に寄り道した。
寄り道と言っても歩くのは勘弁だ。となると路線バスに乗って行くことになるわけで、かなり意識高めでないとめげそうになるルートだ。
福岡市博物館ステキ。館内中央が広大な吹き抜けになっていて、半円形の天井も高いので、まったく圧迫感がない。
東京国立博物館の正面階段と同じような階段をのぼって2Fへ。
階段のぼった右側の特別展示室では、ジブリの特別展をやっていた。こちらは大盛況。当日券は完売と書かれていた。
常設展示はその反対側。この人口密度の違いは何だ。国宝頑張れ!
常設展示室に入ると、まだ気持ちの準備が全然できていないのに、いきなり金印が待ち受けていた。
もうラスボス登場ですか!
このあとに続く展示を見ていくと、だいたい歴史の古い順に並んでいるんだと気がつくのだが。
この国宝、
写真撮影OKという太っ腹。
歴史の勉強って真面目にやらなかったけど、教科書に載っていた国宝とか、重要文化財の建築物とか、人物肖像画とか、その実物を目の前にすると、どうしてこんなにミーハーになっちゃうんだろうか。街で思いかけず芸能人を見てしまったときと、なんら変わらんね。
結局、初っぱなから納得行くまで写真撮って、博物館の展示をひと通り見て、最後また金印の前に戻ってきて、もう一度写真撮っては連れの撮ったのと比べてあーだこーだ言いながら退館するパターン。
金色の芸能人ですわ。
じつは我が家には、実物大の金印ハンコが2個もあるのだ。
もしや、それはタレントグッズでは…
長崎の旅、佐賀の旅、福岡の旅はおしまい。
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