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Operation Rise of Dallin "ダリンの夜明け作戦"

3/15、レヴォニア地上軍がダリン国境に集結しているという情報が入った。
そこから情報局は目に見えて慌しくなり、我々のチームにも準備命令が出た。ダリン周辺は私が生まれる前からの領土問題で常に小競り合いが絶えない場所だったので驚くことはひとつも無かった。
そして3/21、レヴォニアはその戦端を開いた。


チームがダリンに入ったのは5/3午前7時頃だった。
我々が関与した証拠を残すな、いつも通りの上からの指示だ。

偽りの身分が必要になる。今回の設定はこうだ。
・ダリン紛争のリアルな情勢を取材しにきた、TV局クルー
・WHOからの派遣医師
今回のチームは総勢12名との”大所帯”のため別々の経路と身分が必要だった。

車両を複数台手配し、各々が陸路で入国した。
私とチームメンバー3人はTOYOTA製のバンに乗って入国したが、道は悪く、朝からスタックしたりで散々な思いをさせられた。
今思えば、4WD車を手配しておくべきだったと後悔している。

「現地に馴染むために、”軍人”らしい所作はしないという決まりだった。
当然だ。分かるやつが見ればすぐにバレる。私はあくまでTV取材のカメラマンを演じ続けた。結果順調に物事は進んだんだ。この時は。」
※アイバラキ・ハヤト隊員談

現地の前哨基地に到着し、モンブラン司令官に軽い挨拶を行った。
司令官はチームに対して、どこか冷たい当たりだったが、今回の作戦立案等の責務を考えると納得がいく。
誰が見てもプレッシャーを感じている顔だった。
チームは早速準備に取り掛かった。

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※現地でのSOTF-212


ダリン入国前、上からチームに降りてきた指令は”HVTの殺害または捕縛”であった。
※HVT(High-Value Targets) 高価値な対象

チームはダリン入りするまでの間に毎夜打ち合わせと訓練を行っていた。
「当初はHVTについての情報が少なすぎた。人なのか道なのか、建物なのか、ありとあらゆるパターンを思案したが決め手に欠けたし、限界を感じた。方針を決めるにはHVTが何なのかを知る必要があった。」
※デミー・ローレン隊員談

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※SOTF-212の一部隊員


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※夜間訓練を行うSOTF-212


チームの苛立ちが伝わったかどうかは知らないが、しばらくして、上からHVTの情報が開示された。
HVTは敵の指揮官であると。
また、HVTの殺害・捕縛は副次的な任務であるとも伝えられた。
主となる任務は5/4に行われる「例外的な人道作戦」を成功させることだと。
「例外的な人道作戦」はダリンの民間人を、航空輸送機を用いて国外に脱出させるといった内容だ。
「例外的な人道作戦」を行うのにあたり、FARPを構築する必要があった。
※FARP(Forward arming and refuelling point) 前方警戒給油ポイント
要するに、”FARP構築”、”民間人脱出”を円滑に行うため、我々チームは敵指揮官の”排除”を命じられた。
我々はこの一連の作戦を「Rise of Dallin」”ダリンの夜明け作戦”と名付けた。

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ウトロムスク陣営は”CJTF-211”と”SOTF-212"の2隊で構成されていた。
”CJTF-211”の任務はFARPの構築と防衛であった。また”CJTF-211”は我々”SOTF-212"の任務内容は共有されていなかった。
司令官のみが我々の作戦内容を知っている状況だった。

そう、”特殊作戦”だ。

ダリン入り前のチームメンバー全員の顔は険しかった。
今の情報だけでは難しすぎる。
筆者はこの時、映画「ゼロダークサーティ」のクリスプラットを思い出していた。嫌がるカナリア軍団だ。

敵指揮官の殺害・捕縛となると、入念な準備がいる。
しかし、現地での敵の数、展開等どれもわからないことだらけだったため、
ありとあらゆるパターンを想定して準備する必要があった。
当然、作戦実行不可の可能性も視野にいれていた。何事にも限界がある。
しかし、やらなければならない。精鋭部隊がやらねば誰がやるのか。俺たちはデルタだ。やり遂げなければならない。

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※基地で打ち合わせを行うSOTF-212

入念な打ち合わせを経て、プランA~Cを立案した。

これらのプランが上手く嵌るなんてことは誰も思っていなかったが、現地での状況に合わせて柔軟に対応できる考え方が必要だったし、そうせざるを得なかった。

「ありとあらゆる情報を整理し、その場に合わせて即座に順応できるよう、プランA~Cといった形で考えをまとめた。今回の任務は一筋縄ではいかないことは誰にでも明らかだった。」                   ※ピージェイ・ワン隊員談















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