令和いらねえ釣りはホットケーキ ver.2/2024年6月22日



2024年6月22日。羽田発午前2時のフライトでインチョンへ。到着は早朝。寝てる間に着いてしまうのはありがたいが、着いてもまだ眠い。とりあえずソウルに向かった。今日は予報は雨中心だが、まだ降ってない。湿気は少なく、日本から着てきたロンTでちょうどいい。てか、昨日の朝からずっと同じシャツだ。そのせいか1日が終わらないまま続いてる感覚になる。教えてもらった情報を頼りに、キンパがおいしいという小さなお店へ。その帰り道、足元に黒い足跡があると思ったら、自分の靴のソールだった! あーん。こないだ買ってお気に入りにしてたニューバランス576のバーガンディ、ソールがペロンと全はがれしてしまった。加水分解か、経年劣化か。いずれにせよ中古のニューバランスについてまわるロシアンルーレットのような宿命。しかし旅は始まったばかりで、当然スペアなんて持ってきてない。どうするよこれ。近くのCU(韓国のコンビニチェーン)で瞬間接着剤を買い、お店の前のベンチで応急処置。はがれたのは右足だが、この分だと左もあやしい。ソウルに来ていきなりこの調子だと先が思いやられるが、考え方を変えれば、こういうトラブルが最初に起きてよかった。明日、フェスを見てる最中にそんなこと(全はがれ)になったらどうしようもなかったんだから。だが、これから自分の足元エースになると期待した新戦力が、いきなり故障がちと判明するとは、スポーツの監督の気分がわかる気がする。すこしでも接着が長持ちするように、靴をやさしくなでた。



雨はやがて本降りになり、靴の不調で行動も制限された。睡眠不足で疲れもある。うまいもんでも食うしかない。カルグクス、キムチチャーハン。古い電気街をリノベしたエリアでコーヒー。お客さんが頼んだメニューを書いた紙をテーブルに刺してお店のアーカイブにする方式、すごくいい。どこかに手本があるアイデアなのかな。同じビルにあるサントラの専門店で、「ウヨンウ」のサントラ2LPを見つけて少し購入を迷ったがやめておいた。今回はリュックひとつで来てるから、レコードは買わない。そして、前回(22年11月)に比べても円は弱体化していて、新譜のレコードは日本よりずっと高く感じる。雨の土曜日でなければ、このエリアはもっとにぎわっているんだろうな。若者向けのしゃれた店と、電気おたくやオーディオマニア、ひまを持て余したような市井のおじさんたちが共存している。そこには都市開発の矛盾も政治や社会の問題も色濃くあるはずだし、ダメダメな面もたくさんあるだろう。東京みたいに有無をいわせず根こそぎ整地してしまういやな感じがあまりない。生活の抵抗力がまだ残ってるというか。新しくそびえたつビルと、生活が染みついた家屋や工場(こうば)のあわいに、「雑」が生き延びることを許されてる。チェックインしたホテルの窓から、車体整備屋(?)の屋上が、車のパーツを羅列した不思議なオブジェのようになっているのが見えた。それもまた、どうしようもなくそうなってしまった生活の成れの果て、なんだろうけど、あるがままにあるよいパワーを感じる。日本に限った話だけじゃなく、悪い意味での成れの果てが多い社会になっているから、よけいにそう思う。イスラエルとか。都知事をめぐるスカム選挙とか。ホテルから30分くらいの場所でウミンくんが展示をしていると聞いていたけど、体力が持たなそう。靴に追い接着剤して、日暮れまで休むことにした。夜は明洞で長谷川さんのDJに行ってみる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?