To Be Young, Gifted And A Good Band / フリーボ「すきまから」

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フリーボ「すきまから」LP化! ぼくの手元にも届きました。石垣窓さんからライナーの執筆の依頼があった時点では石垣さん吉田奈邦子さんにzoom取材して4千字くらいの想定だったと思うのです。しかし話を聞いてみて、短く構成する気がなくなりました。結果、インタビューは1万字超。ぼくの文章を添えて1万3千字超。長ければいいというわけではなく、切るところのないインタビューだったということだけなのです。

オリジナルのE.H.E.(OZ discのサブレーベル)同様、今回の再リリースも手がける田口史人さん(円盤/黒猫)には、長くなってしまったんですが(想定の3倍)と、おそるおそる入稿したのですが、まったく問題なく受け入れてもらいました。さらに、ぼくの取材が当時のフリーボの心境と行動を内側からフォーカスしたものになったので、田口さんが90年代半ばの音楽状況と制作の経緯とを書いて(1万字)、両面から「すきまから」という稀有な作品を浮かび上がらせるものになりました。このリリースがきっかけでもしかしたらネットで記事が出たりするようなことがあるとしても、このライナーノーツ以上の密度はなかなか実現できないんじゃないかと自分でも感じてます。

LPの完成直前、田口さんからのメールに「いまライナーを組み立てています」という文面があり、感動しました。ライナーノーツってペラ1枚に印刷されて投げ込まれたりするものです。字数が多いから豆粒みたいな級数で詰め込んでしまうパターンもあります。そのどちらでもないものを「組み立てている」ことに、ドキドキしました。

「すきまから」は、当時出たCDを愛聴しているひとも少なくない作品です。だけど。今回のLPは別物です。田口さんが当時感じていた本来のフリーボの音にすべく、宇波拓さんによるリマスタリングが施され、びっくりするほど印象が違います。1996年のフリーボがいかに特異で突出していて、そしてあきれるほど純であったのかを生々しく感じとることができると思います。

発売元の高円寺円盤(現・黒猫)をはじめ、直接卸をした店舗ではすでに販売もはじまっているようです。今日みたいによく晴れた寒い日に、窓を開け放してこの音を聴いてほしいです。26年も前の作品ですが、そんなことは1曲目「すきまから」が鳴った一瞬で、もうどうでもよくなるのです。

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