令和いらねえ釣りはホットケーキ ver.2/2024年5月8日


2024年5月8日。こないだのmogumoguで、CDたくさん持っていてDJしたのは、翌日が朝早くから出かけるので、LPレコードたくさん運び込む肉体的な疲労を避ける、という目的もあった。でも、ひさびさにCD棚をまじまじと見るのは新鮮だし、発見も多かった。ここ数年は数えるほどしかCDの新譜なんて買ってないから、棚にあるのは少し前の、いわゆる「近過去作品」が多く、それがやけに記憶を刺激するのだった。カナダのジャズシンガー、ロリ・カレンの「Sexsmith Swinghammer Songs」に目が止まった。2016年のアルバムで、レーベルはあのTrue North。ブルース・コバーンの「雪の世界」とかを出していたカナダの名門で、「まだあったんだ」と、きっとこのCDを買ったときも思っただろう。でも、なんで買ったんだっけ?

ジャケットに写っているのは3人。中央にシンガーのカレン。右側にロン・セクスミス。左側でちょっと演劇的な仕草をしているのがカート・スイングハマー。この3人の共作関係が面白く、セクスミスはいつもなら歌詞も曲も書くシンガー・ソングライターだが、ここでは歌詞のみを提供している。作曲とアレンジはスイングハマーが全て担当した。え、そうなんだ。ロンセクからメロディ奪っちゃうんだ。だが、スイングハマーの作るメロディとアレンジはとてもかわいらしく、気が利いている。歌詞が先なのか曲が先なのかはわからないが、歌も含めた三位一体は、とてもうまくいっている。

この関係性に似たレコードを知ってる。郷ひろみが1975年にリリースしたアルバム「HIROMIC WORLD」。あれは、荒井由実が全作詞、筒美京平が全作曲とアレンジ、郷ひろみが歌という分担だった。そこでもユーミンはメロディを作ることを禁じられていた。まさに同じじゃん。メロディを禁じられたユーミンの言葉は自由に暴走し、「君のおやじ」みたいに、自分だけでは絶対に到達しないだろう地点に行き着いてしまう。そういえば、先日の大阪ユニバースでの坂本慎太郎・イン・キャバレー白馬のフィルム上映で、安田謙一さんがこのアルバムから1曲かけていた。と思ったら、ユニバースを地下に構える味園ビルが年内でテナント営業を終了し、ビルそのものも来年解体されるというニュースが今日流れてきた。こうしてまた楽園が永遠に失われる。あの天井から吊り下げられている球体はどうなるんだ。ジョーとこの件でやりとりしていたら、「坂本さんはこれから大阪ではどこでライブしたらいいんや」と問われ、ありきたりな返事しかできなかった。今思いついたけど、太陽の塔の内部で、とかどうかな。お客さんがどうやって見るかはさておき。永遠にさておき。

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