令和いらねえ釣りはホットケーキ ver.2/2024年7月7日


2024年7月7日。朝10時半羽田発の飛行機で広島へ。西条にある、ぱっきゃまらどというお店で行われるDJパーティー「YOUNG DONUTS」にお呼ばれして。空港に、主催の高石くん、nagatakaさんが車で迎えに来てくれた。nagatakaさんは、はじめまして。車に乗り込むやいなや、高石くんが「西条は日本酒の三大名産地なんです。京都、奈良、西条……」。不勉強にして、そんなことまったく知らなかった。10月の週末に行われる「酒祭り」には、全国から酒好きが集まり、まる一日、いや二日の間ひたすら飲み続けるのだそう。「西条に朝向かう電車のなかがすでに酒臭いんですよ」と。そりゃすごい。そんな話をしながら山間から田園を抜けてきたら、街並みに煙突が見えはじめた。それがいろんな酒造の煙突だった。どれもレンガを積み上げた形状はおなじで、酒造の名前が縦に描かれている。旗の代わりなのかな。確かに全国三大酒どころを名乗るだけあって、数も多い。青空に映えて壮観だった。

西条駅の近くで車は角を折れて住宅街へ。想像したら街並みと違う。事前に調べて見ていたぱっきゃまらどの色鮮やかなペイントが壁に施された外観や店内からイメージしたのは、山のふもとあたりで独自のサイケ感をムンムンと発する一軒家的なありようだった。でもこれ、完全に住宅地のなかじゃないですか。それがごく普通の家がひしめくなかに、忽然と現れるのだからおののいた。ドアも住宅にありがちな、ごくありきたりなしつらえ。だが、そこから世界が変わる。これはつまりリアル「どこでもドア」か。ようこそ、音楽とお酒と駄菓子のワンダーランドへ。それはあっちとこっちの世界の遮断じゃなくて、くぐり抜ける楽しみのための通路の提供。その先の場所では、大人はお酒を飲んでレコードをかけるDJで踊り、子どもたちは10円20円の駄菓子を買って走り回る。おもしろいな、ここ!

イベント「YOUNG DONUTS」ではSTEREO RECORDS山岡くんも交えたトークとDJをした。ひと通りみんながかけ終わった時間帯、もうすこし続けてもよさそうだったので、高石くん(DJ名はキャベツ太郎)を誘ってB2B。そこに店主の森下さんも参加。ナッティ・スクワーレルズをあんなふうにDJするんだ。すごくためになった(真似するかも)。住宅街なので、夜9時くらいには宴は終わり。そこから10数人で打ち上げに。高石くん以外はみんな今日初めて会ったひとたちなのに、やたら楽しかった。気が合うとか話が合うとかでもない。たぶん、みんなあの「どこでもドア」をくぐった場所にいるからだろう。

ホテルに帰ってテレビを点けた。都知事選の選挙番組。結果は残念。都知事選に重なったのはたまたまだろうけど、「虎と翼」から考えることは多い。「戦前=無知・悪」ではなく、そこにあらがった知性と不屈があったことを描いたし、「戦後=自由・平等」ではなく、激動のなかで(豊かになっているとしても)ぬくもりから見過ごされそうな人間の心理を見つめている。主人公の寅子を絶対的な正義に置かない。あんなに仕事ができる寅子でも家庭人としては欠点しかない。思いやりのありかは表面からはいつも見えにくい。松山ケンイチ演じる桂場がいい。目をこらそう。でも今夜は寝る。

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