令和いらねえ釣りはホットケーキ ver.2/2024年1月31日



2024年1月31日。朝、ブライアン・ウィルソン本人の嘆きのポストで、夫人メリンダが亡くなったと知る。なぜか彼女のことを少し近しく感じるのは、何年か前にブライアンの自伝を訳す仕事をしたから。(ビジネス面で)厳しいひとだと聞いたことがあるけど、自伝に出てくる姿も「強い女性」で、まあ、そんなひとだからこそブライアンをユージン・ランディから救い出せたのだろう。ポール・ダノがブライアンに扮した伝記映画では、ポール・ジアマッティがユージン役で、漫画みたいにサイコな演技をしていた。「サイドウェイ」のポール・ジアマッティが好きだから、あの演出はあんまりだと思った。メリンダといえば、夫妻が「ラリー・キング・ライブ」に出たときアメリカにいて、たまたま生放送を見ていた。口ごもることが多いブライアンを制して彼女が代弁するシーンが多かった。「このひとはね、ビートルズのサウンドを彼らが全部自分たちでやってると思ってたんです。ビートルズのうしろにジョージ・マーティンがいたって知らなかったの」とメリンダはラリーに説明した。おいおい魔法の内側をそんなにずけずけと簡単に言うなよ、とそのときは呆れ半分でメリンダを見ていたが、ビーチ・ボーイズのあの稀有なサウンドがブライアンから生まれた秘密を、いちばんうまく解き明かしている発言かもしれないと今では思う。1月が終わる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?