令和いらねえ釣りはホットケーキ ver.2/2024年4月23日



2024年4月23日。すこし前に送ってもらった本「20世紀ジャズ名盤100」。大谷能生さんの新刊で、発売元はイーストプレス。大谷さんとぼくは面識がないので、イーストプレスのどなたかがリストに加えてくれたのだと思う。ありがとうございます。大谷さんとは面識がない、と書いたが、話題のなかの大谷さんとは去年会った。カーネーションの40周年本のインタビューで、直枝さんと大田さんが大谷さんのことを「よしお」と何度も何度も愛情込めて語るので、ぼくも「よしお」を活かしてインタビューに織り込んだ。そんなに愛されているんだから、ぼくも情が移るというか。しけし、どこかで会うことがあったら打ち解けて話せる、ということでもない。磔磔のドキュメンタリーをひたすら編集していた2020年、騒音寺のヴォーカル、なべさんのインタビューで、使うべき箇所を見極めるために都合100回以上見た。そういうことでも情は移ってしまう。21年に騒音寺に取材することになり、こっちはすっかり親しみが湧きまくっているものだから「おひさしぶりです」と言わんばかりの顔であいさつしてしまうのだが、なべさんの返事は「はじめまして」だった。そりゃそうだ。さんざん見ていた過去インタビューの聞き手はぼくじゃなかった。まるっきり初対面。そりゃ困るよね。そういうことがあるから、頭のなかの「よしお」は消して、大谷さんの本をつらつら読んでいる。名盤の常識の更新をアカデミックに宣言する、というのではなく、現代の言葉で語っている。裏表紙側の帯文!

奈良・プリトミの島田さんから、「ミュージック・マガジン」掲載のブレインストーリーのレビューについて感謝のDMがきた。日本流通盤の解説を島田さんが書いているとレビューにも記したから、そのお礼のような。この記述にはわけがある。2022年に急逝したトニー吉田こと、ライターの吉田明裕さんといつだったか話したときのこと。吉田さんが「レコード・コレクターズ」で巻末のアルバムレビューをするとき、必ず解説者の名前を入れていたのが気になっていたので、わけを聞いてみた。答えは、「必要だから書くようしてんだよね。読者は意外と気にしてるものだよ」という意味のことを、もっと彼らしい言葉で。そのことがなぜか頭に残っている。もちろん読者にとっても必要な情報だろうが、書く側にとっても、責任を負うこと、その仕事が認知されることが大事だと言いたかったのではないか、というのはぼくの解釈。最近はレビュー用の音源も、発売前の試聴用リンクやサブスクで、という場合も少なくない。だから、現物を手にしてライナーノーツをだれが書いているか確認するすべがなかったりする。ブレインストーリーは、島田さんが書くことを知っていた。それに、いったんラスト1行残しで書き終えていた。ぼくのつまらない比喩や言い回しの変更、改行の変更でスペースを埋めるくらいなら、必要な情報として島田さんの名前を載せることにした。なので、島田さんからの感謝は、吉田さんにもパスして渡すことにする。

昨日夜9時のニュース見てたら、夏の猛暑を解説する先生がファンキーで笑った。見た目が、ではなく、言葉遣いやアクションがグルーヴィー。近年の猛暑や異常気象の大きな原因は、偏西風の蛇行。本来、北極と南洋の気温差が大きいと偏西風はその間をまっすぐ吹き抜ける。だが、温暖化により両地域の気温差が少なくなると、蛇行してしまうのだそうだ。居心地がよくなるのかな。なんだか人間とか社会とか政治に似てる。周りの態度が暖かいだけ(イエスマンばかり)だと、むしろふらふら蛇行したり、わるさをしてしまうなんて。

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