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歴史上の偉人も、人間だ

城平心良『報国の人々』

私は、アマチュア最強のコワシニストを目指している。その一環として、月に一度Amazonで「井上毅」を検索している。

そんな定期毅サーチに引っかかったのが本書だ。

とりあえず普通の値段だし、井上毅の名がついた本なので買ってみた。

中身は井上毅と伊藤博文を主人公にした歴史小説だった。

物語で歴史を見ると、頭に入りやすい。
なかなか良い買い物をしたと思う。

井上毅先生に関して言うと、今まで読んだ本では、帝国憲法や教育勅語などの成り立ちに関わった人物として出てきたり、思想や人生について学術的に触れられていることが多かった。
なので、物語の中の毅先生はまた違った魅力を持っていた。

明治から100年以上たった今、憲法と言うものは「歴史に立脚していなければならない」「歴史から発見するものだ」ということは分かっている。(世間的な常識ではないかもしれないが)

しかし当時は、様々な、本当に様々な意見がある中で、どのような形にするべきなのかを必死に模索して、文字通り命をかけて作り上げたものだと言うことがよく分かった。

最も印象的な場面は、最終盤の「憲法誤記事件」だ。

自分にとって、歴史上の人物の中で最も尊敬すべき人物と思っている毅先生が、こんなにも重大なミスを犯すとはショックだった。(今見ると些細なミスかもしれない)

偉人としてではなく、人間井上毅を想像できるような本だ。

尋常ならざる偉業を成し遂げた人物も、挫折や自己嫌悪に陥ることもある。
いわんや、自分のようなちっぽけな人間をや。

とにかく、自分にできることを。そんな小さな決意を新たにさせてくれる一冊。

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