数字から考える司法試験

はじめに

勉強をしていて感じるのは、今自分は司法試験に受かるレベルなのだろうかということです。しかし、よくよく考えてみると、司法試験に受かるレベルってどのくらいなのでしょうか。
合格した人はとりあえず新司法試験の過去問をまわしてるとはいいますが、それで何が確認できているのでしょう。
結局のところ、その辺が分からないままやっていても、ゴールが見えないので、間違った方向に進んでしまうと不合格となってしまうと思います。
そこで、今回は数字で司法試験を考えて見たいと思います。そもそもの受験者数から、合格点等について見ていきたいと思っております。

受験者数

今年の司法試験受験人数が出ました。
3754人と去年の実際に受けた人数とほとんど変わりません。受け控えた人が多かったので、もう少し増えるのかと思っていたので驚きです。
実際には、この人数からさらに減ると思われるので、合格率はさらに高くなりそうですね。

合格率

去年の合格率は、約39%でしたが、短答合格者のみでみると、約51%でした。
結構多いですね。
予備試験合格者は、全体を通して89%、短答合格者は90%でした。
2,30人くらい落ちています。
ただ、大学生は短答に2人、論文に2人、法科大学院生は、短答に0人、論文に3人落ちているという結果になっていました。
そのため、予備試験に合格した大学生やロー生は、あまり心配する必要はないのかなと思います。
他方、新卒1年目の人の合格率は、59%でした。細かいロー別は、こみんてるさんの記事を見てみてください。

合格点

気になったので、どれくらいの点数を取れば受かるのかを見てみたのですが、合格最低点は780点でした。
点数は、短答の点数+(論文の点数×1400÷800)で計算されているそうです。

去年の短答の最低は93点だったのですが、それに合わせるのもどうかと思うので、平均点118点で換算したいと思います。
この場合、論文の点は379点必要です。一科目あたりは、47点です(短答を最低で合わせると約48点くらいだと思います)。

評価

とはいえ、47点ってどれくらいなのかよくわからないので、法務省の決定を見てみましょう。

まず、答案は、優秀、良好、一応の水準、不良、の4つに分かれます。
具体的には、

優秀 100点から75点 5%
良好 74点から58点 25%
一応の水準 57点から42点 40%
不良 41点から0点 30%

となっています。
採点実感には、この区別が書かれていると思いますが、あれを点数化するとこうなります。
そして、47点は、一応の水準にあたります。
そのため、合格のために目指すレベルとしては、採点実感の一応の水準として書かれていることを答案で表現できるくらいだと思います。

順位ランク

しかし、実際に司法試験を受けた人の話を聞くと、論点が分からなかったという人や論点を落としたという人が多くいます。そう考えると、求められている一応の水準と実際の一応の水準に乖離があるように思えます。
そこで、再現答案で可視化できる評価との関係で考えたいと思います。
順位的には、

A 1000位まで 
B 1001位から1500位まで 
C 1501位から2000位まで 
D 2001位から2500位まで 
E 2500位以下 

と記載されてます。
なので、決定の評価割合と合わせてみると、

優秀:A
良好:A
一応の水準:BC
不良:DE

くらいの感覚だと思います。
また、友人のを見てる感じも、

A 60点以上
B 50点代
C 40点代
D 30点代
E 20点以下

くらいであり、だいたい上と同じだと思われます。
そのため、過去問を解く際には、再現答案の(Cよりの)B・Cくらいが一応の水準だと考えて良さそうです。ということは、C答案くらいかけてればひとまず安心していい気はします。ただ、再現答案は盛って書いてあることが多いので、本番よりも完成度が高い可能性があります。注意してください(自分も再現答案書く時は多分論証とかコピペします…)。

以上からすれば、合格のためには、採点実感の一応の水準をしっかり目指しつつ、再現答案のBCとの距離感をはかるということになりそうです。仮に、C答案に達しないような場合には、もっと他にやるべき事があるんだと思います。
司法試験を道標として使ってみてください。

足切り

司法試験では、最低ラインは25%となっており、それをきる場合には不合格となります。
昨年の最低ライン数は181人でした。
足切りにあっていない人を除くと短答合格者の合格率は55%となります。

※経済法
私は経済法選択なのですが、昨年は18人足切りにあっていました。これは6%にあたります。そう考えると、よっぽどのことをしなければ、落ちることはないのだと思います。

おわりに

司法試験においては、敵を知ることは大切だと思います。しかし、敵を知った後にどうするのかが一番大切だとは思います。
司法試験を解いた時に、一応の水準に達さないレベルなため、基本をもっと勉強しなければいけないのか。他方で、一応の水準ではあるから、より現場思考を磨くために、過去問演習を継続するのか。それを判断する上で、数字で考えることは有用であったと思います。
結局、自分の今いるラインと目指すゴールの距離感が掴めないまま漫然と司法試験を解いて満足しているのではあまり意味は無いです。そのため、ゴールをしっかり認識した上で、合格のためには何が必要なのか、司法試験まで逆算して考えてみてください。

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