給付金と定額減税は所得判定基準年度がそれぞれ違います。

 住民税非課税世帯給付金(3万円+7万円)の非課税判定は令和4年所得によります。
 一方、令和6年度税制改正大綱により示された定額減税
 住民税課税者に適用される本人ならびに扶養者一人当たり1万円減税は令和5年所得(6年度住民税)で判定し実施します。(同一の生計配偶者については令和7年度住民税から減税するとなっており非常に複雑な対応となっています)
 そして所得税の本人ならびに扶養者一人当たり3万円減税は令和6年所得により判定し実施します。
 このように判定所得年度が複数に渡っているため、給付金ならびに減税の恩恵を両方に渡って受けれる方がいる一方で、いずれの条件も合致せずに給付金はもらえなく減税対象にはならない方が存在することになると考えます。
 首相官邸のホームぺージでは、
「両⽀援の間におられる⽅への丁寧な対応として
① 住⺠税均等割のみ課税される世帯、新たに住⺠税⾮課税となる世帯には、地域の実情に応じて、住⺠税⾮課税世帯への⽀援と同⽔準を⽬安に⽀援を⾏う必要がある。
② 定額減税の恩恵を⼗分に受けられないと⾒込まれる所得⽔準の⽅々には、地域の実情等に応じ、定額減税や他の給付措置とのバランスにおいて可能な限り公平を確保できる適切な⽀援を⾏う必要がある。」
としています。
 ①により令和4年が住民税が課税で令和5年に住民税が非課税となる世帯、令和5年が住民税の均等割りのみ課税される世帯に10万円給付したとしてもなお対応が必要な面があります。
 たとえば令和4年・5年は給与所得者で住民税・所得税が課税されていても退職して令和6年は所得税が非課税となる方など、住民税の定率減税1万円しか適用されない方が出現する可能性大です。
 この方を救済するためには②の条件により別途本人ならびに扶養者一人当たり3万円の給付を行うこととしなければなりません。しかしながらそれを地域の実情等に応じて市町村が実施したとしても令和6年所得税減税の適用有無を把握しなければならずそれは令和7年になってしまいます。
 本来はすべての方に支援を行うとの主旨で住民税非課税者と所得税非課税の住民税課税者に給付金、所得税課税者には定額減税と
国民全体にその恩恵が渡る計画のところ、制度的には所得年度の違いがあり全体をとらえることが非常に困難になっています。
 国民に公平に支援を行う主旨からすれば、二重に支援を受けれる方が存在することと、支援が十分に受けれない方がいることは問題だと考えます。

 市町村によりこれらの方を個別に救済するとなると基準日の相違等により住所異動や世帯構成の変更があったりして、また新たな課題も発生します。
 該当する人数は少ないかもしれませんが、公平性をうたうのが政治とすれば救済するのが政治の責任と理解しています。
 蛇足になりますが以前述べた、どうしても全体に支援を実施するなら一律給付金としての対応を勧めましたが、給付金と減税の合わせ技はやっぱり複雑で無理があると考えます。

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