平穏の技法

目をつぶって目の奥の暗闇をみると、自分の人生全てが描かれるキャンバスがある。
心の中で一歩引くと、それが見える。

人生においてキャンバスのサイズは決まっている。
キャンバスの全てを塗りつぶすのもよし、一部しか塗らないのもよい。

心の平穏のためには、 キャンバスを自分自身のペースで塗ることだ。
他人に、他人のペースで自分のキャンバスを汚させてはいけないのだ。

僕が電子機器でプッシュ通知を見たとき、その瞬間に自分のキャンバスのどこかが塗られてしまうのか。
自分のキャンバスを自分自身のみで塗っていくのは難しいが、その努力はできる。

自分で言葉を紡ぎ出し、キャンバスに書いていく、見たもの感じたことを塗っていく。
それは言葉になるかもしれないし、ならないかもしれない。見返しても何もわからないかもしれない。
だから、だからこそ僕は、自分のキャンバスを、自分自身で選び取った経験や書籍や映画、記事、その他で塗っていく必要がある。忙しいのだ。
そのキャンバスを塗りながら、一歩引いて全体を見ることが生きる目的なのだと思う。最後の瞬間に、ああ私は自分のキャンバスを自分自身で塗ってきたのだ。と確認するために。

私は自分のキャンバスの大きさをまだ知らない。
明日塗りつぶされてしまうかもしれない。
だからこそ、

自分自身に自由を、キャンバスに余白を。持たなければならないのだ。

この生き方は間違っていない。自分自身が紡ぎ出した脳がそう判断するのだから、そうなのだろう。
振り返ることができる。キャンバスがあれば。そこに書きしるし、塗りつぶしておけば。
忘れてはならない。自分自身のキャンバスは自分自身で塗らねばならないのだと。