イカをさばく仕事

観てた映画の中で一日中ひたすら流れてくるイカをさばくだけの田舎の工場の仕事のシーンがあって、それは映画の中ではなんとなく【貧困】みたいなニュアンスだったんだけど(この仕事、いいなー)(こういう仕事したいなー)(誰よりも上手くイカをさばき続けるぜ)と思って、でも(実際はそんな甘いもんじゃないんだろうな)とか(自分ではこういう仕事が一番向いてると思うけど、自己判断は当てにならん)とか、

ところが、翌日に友達2人にイカをさばく仕事の話をしたら2人とも「私は絶対無理!!!」と言う。「発狂する」とまで言う。
1人は実際似たような仕事をして数十分で発狂してトイレに走って個室で奇声を発し続けて自我を保ったという。本当に保たれていたのかはともかく。

そんな事例を聞いていたら、だったら自分には出来るような気がしてきた。

もしかして、自分が(できる)と思うなら出来るんじゃない?

でも給料がすごく安いとか、パートだけとか、生活が厳しいかな…

と思ってたんだけど都内で求人があった。

未経験歓迎年齢不問正社員月給22万週休2日残業なし、工場で魚貝類をさばくだけのお仕事

あった…

と思ってたら今の仕事が忙しくなっちゃってさらにコロナで全ては意味不明だしとりあえず見送り、もう募集も終わっている。
でも、

あるんだ…

なんか、この先への希望のようなものが確かにそこにあった。

この先への希望、夢? はやっぱり日々を色濃くするもので、あれ以来わりと元気に今の仕事をしている。

だって私には、一日中イカをさばく仕事が待ってる

イカじゃないかもしれないけど

いつの日か私が工場でさばいたイカを食べる人へ


それをさばいたのは、私です。



おわり


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