ここは昔の外国の田舎ではない

昔の外国の田舎だけが好き。
とにかく昔の外国の田舎だけが好き。

伝染病でめちゃくちゃ人が死ぬとか、大雪であっさり遭難して死ぬとか、水が汚ねーとか、とか、とか、そんなことはどうでもいいね。

そんなことを差し引いても、本当に昔の外国の田舎に生まれたかったなァと思う。

わりと本気でそう思ってるせいで現世での生活には全然力が入らない。

何十年もフワフワと彷徨っているだけ。

なにもわからないし、わかっても意味はない。
ここは昔の外国の田舎ではないので。

「美味しいね」と言われて
「うん、美味しいね(でもここは昔の外国の田舎ではない)」

「好きだよ」と言われて
「私も好きだよ(でもここは昔の外国の田舎ではない)」

「楽しいね」
(でもここは昔の外国の田舎ではない)

よく、たとえば30歳超えたバンドマンとか、
「現実をみろ」なんて言われるじゃないですか。

高望みの婚活してる人とかにさ、
「現実をみろ」って言葉あるじゃないですか。

みてるじゃん。って思う。
少なくとも私よりは。

まるで現実を生きながら
(ここは昔の外国の田舎ではない)
と、思っている。

ずっと本当にそう思っているんだよ、ということを、初めて人に言ってみた。

100人中100人が
「そんなこと言われても……」
と、言うだろう。

その人は

「そんなこと言われても……」と言った。


好きだよ。
(でもここは昔の外国の田舎ではない)


ごめんね





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?