まともの才能

毎日学校に行けて、毎日仕事に行けて、毎日まともに過ごす事が出来る。そんな才能を持っている人が羨ましい。まともの才能を持ってる人はいいよな。才能が無いせいで何をやっても上手く出来なかった人間を見て、努力不足だって言えるし。自分が恵まれた人間であることも自覚せず、今の自分は努力で出来たものだって、他人もそうだって信じることが出来る。それを人に押し付ける事が出来る。羨ましい。悪気の無い悪意。
自分もある程度は頑張ってきたと思う。なんで自分にはまともの才能がないんだろう。生来のものって残酷だ。今からでは取り返しのつかないものを思って泣きたくない。自分だってちゃんと学校に行ってちゃんと暮らしたかった。今から頑張ろうにも砕けたメンタルじゃこれ以上動けない。もっと早くなんとか出来てたらなって思うけど、これ以上無かった気もする。
「社会不適合者には何か特別な才能がある」みたいなありがちな実在するファンタジーが一番嫌いだな。何もない自分が馬鹿みたいじゃん。惨めでしかない。そんなの一部の人だけだ。何かがないから、代わりに何かがある訳ではない。なんにもない。自分の手元には怠惰だけ。特別な何かで大成できるような人間だったら良かったのに。そしたらこんなに困ってないのに。でも社会不適合者には何か特別な才能があるタイプの人間って、努力信仰なところがあってちょっと苦手だ。努力で手に入れた才能だと思っていがち。大体が生来の物で羨ましい。
天は二物を与えずと言うけれど、実際二物どころか百物くらい与えられてる人間って結構いるよな。不平等過ぎる。ひとつくらい分けてくれたっていいのにな。

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