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歌ってみたのマスタリングの考え方(音圧とは?) #2

この記事を書きながら震えている萌悠-moyu-です、寒い!こんにちは!!

前回の記事では「14LUFSしか音量を出せぬ」というお話をして、

そこからどーすればいいの?をもったいぶって書かなかった気がします(卑怯)

どーすればいいのっていうのに、3種類の方法があると言いましたが、まず、1つめは、ズバリ!

低音を潰さない事!

です。

これは何故かと言うと、
僕の推測でしかないというか数字に現れているのが、

niconicoの時代、2012年頃のじっぷすさんの楽曲がYouTubeに投稿されているのですが、
ラウドネスをどれだけ下げているのかを数値化してくれる機能みたいなのがYouTubeにあって(これは色んな方が記事に書いているので割愛します)

それを見てみると、-10db以上ラウドネスが下げられていたのです。
トゥルー感情欠損やムシクイサイケデリズムなんかは4〜5LUFSくらいの音であったことがわかりますね。

これがムシクイサイケデリズム
これがトゥルー感情欠損


ということは、音圧の高い楽曲が良いと言われていた2010年代前半の音圧戦争と言われていた当時のniconicoには、ラウドネスに14LUFSなどのリミッターがなかったのではないか…?

ということです。
(この辺のマスタリングをYouTubeでやるのが難しいってことはまた別の記事にしますね)

しかし、最近は14LUFSというリミッターがある中でいかに音量感を出すか、という音作りになっていると思うのです。

代表的なのはDeco*27さんのヴァンパイアで、モニター環境で聴くとかなりずしずしと低音が鳴っていることがわかります。


この低音域の音というのが、音量感につながっています。
バスドラムのような低音を強く響かせることによって音圧のあるズシッとした質感を出してるんですね。

アナライザーで音の大きい部分をスクショするとこうです。

アナライザーだとやりずらいので、Ozpne9のmatch EQを使いました。
2020年ごろに外国の有名エンジニアさんによってリマスタリングされたとあるJ-pop曲です、この曲と比べてヴァンパイアは極端に低音域が大きいですね。

こんな感じで、波形が低音に寄ってることがわかります。

ヴァンパイアのラウドネスは-4.5LUFS程度なので、元の曲はCD基準値の10LUFSくらいだということが分かりますね。

-6くらいかなと思っていたら-4.5だった…

何が言いたいかというと、この時代のボカロ曲のマスタリングは、

低音にコンプをかけない、ことがミソになります。

マスタリングをするやり方は10人いれば10通りありますし、今はOzoneがやってくれたりしますが、ほとんどのやり方でどこかしらコンプレッサーをかけるかな、と思います。

ただ、音を小さくして整えてくれるコンプレッサーというのは全部の帯域にかかるわけで、低音も小さくしてしまうわけです。

そして、ボカロ曲で配られているカラオケ音源は、低音域がパッツパツなんです。

そこを潰すと何が起きるかというと、

低音域もコンプがかかり音が小さくなることで。スッカスカな音になって音圧がむしろ下がるという現象が起こります。

なので、2mixのマスタートラック(これもコンプとかサチュを人によってかけたりかけなかったりしますが僕は色々かけたりします)のコンプも、マスタリング段階のコンプも全て、

低音にサイドチェインのハイパスフィルターをかけた状態にします。

こうすることで、パッツパツの低音域をそのまま活かして、それ以上の音域をしっかり整えることが出来ます。

BLAのVLAFET
このつまみ!!1Khzまでハイパスできます!!
PAのMC77
このつまみ!!666Hzまでハイパスできます
PAのshadow hillsさん
このつまみ!!こちらも666Hzまでハイパスできます
TBTECHのCenozoix compressor、何でもできる神コンプです
EQがついていて、ハイパスできます。

こいつを耳で聴きながらズヒズヒいわないとこ、それかつまみをマックスまでひねってハイパスします。

たったこれだけです。簡単でしょ?

EQで低音を上げればええやんと思うでしょ?

違うんです、パッツパツの低音域をブーストしても音が潰れて小さくなるだけなんです(僕はそもそもEQをあまり頼りにはしないのですが……)

ということは音圧が低く感じるのですね。

なので、逆に低音域を天然のまま残しておいて、中音域と高音域を整えることによって、

音量感を感じる、バランスの良いマスタリングになる訳です。

これやると、音圧……音圧……っとならず、
マキシマイザーも高いのなんて要らないし(正直フリーのFrontierいいんですよ……)
音量出すためにあれもこれも何でもかんでもかければ良い訳では無いのです。

ただ、これだけなのですが、例外なパターンというのが2種類あって、1つ目は先程言った音圧戦争の頃の音源、そしてもうひとつありますが、それは次回の記事で描きます!

ではでは、また!失礼します!

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