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高所恐怖症の人は、絶対に見れない映画「FALL/フォール」。

公  開:2022年
監  督: スコット・マン
上映時間:107分
ジャンル:スリラー

高いところから下を見下ろすと、なぜか、身体がひゅん、と縮み上がるような不思議な感覚に見舞われたことはありますでしょうか。

東京タワーであるとか、スカイツリーとか、xxタワーと名前のつく建物に登って、町を眺めるだけで、動けなくなるひともいることでしょう。

映画「FALL/フォール」は、そんな、ひゅん、とした気持ちが連続的に味わうことができてしまう作品です。

ロッククライミングが趣味の主人公ベッキーは、夫を亡くしてしまいます。

失意のどん底にいる彼女に、親友の女性が提案してきたのは、600メートルを超える鉄塔に登る事。

動画配信者として6万人のフォロワーがいる友人ハンターは、再生数を稼ぐために、肌の露出も多めに動画を撮り始めます。

鉄塔に登るまでの間は、いかにもな前段からはじまります。

夫を失った悲しみに暮れる友達を、救い出そうとして、鉄塔に登ったはいいけれど、降りられなくなる。

でもまぁ、結局最後は、いい感じに助かるのだろうと思いながらみるわけですが、一度見始めると目が離せなくなります。

ギシギシと音を立てる鉄塔にのぼるだけでも、悪いことが起きそうな予感がいたるところにある。

当然、この作品は鉄塔の上で降りられなくなるサバイバルものとなっているので、結果はわかっているわけですが、何をやっても、とにかく、高くて怖い。

「FALL/フォール」は、自分がそこにいるわけでもないのに、自分のことのように恐ろしくなります。

ストーリーも実にシンプルです。

不要なものはほとんどなく、わかりやすいストーリーと、そんな場所で発覚する、女の友情問題であるとか、絶体絶命のピンチをどのように乗り越えていくのか、というスリル。

ハシゴがここまでキレイに無くなっていると、たしかに降りれないなぁと思わされる説得力。

早く助かってくれないと、見ているこちらが、映画から気持ちが離れなくなってしまいます。

現代において遭難するシチュエーションというのは難しいものです。わざわざ雪山にいくわけにもいきませんし、ジャングルの奥地にいくわけにもいきません。それは、製作費としてもそうですし、設定としても無理がでてしまいます。

ドローンがあったり、ケータイがあったり、配信者であったりと、現代的な要素がしっかりあるのにも関わらず、こんな強引な友達がいて、こんな趣味なら、こんな特別なシチュエーションの遭難があっても不思議ではない、と思わされる力強さがこの作品にはあるのです。

ちょっとした伏線がしっかりと効いていて、鉄塔を上るまでの間も、登ってからも、ハラハラしっぱなし。

単純なストーリーラインに、よくこれだけのものを詰め込めたものだと感心する出色の出来となっています。

色々なものが溢れている世の中ですが、本当に大事なものに気づいた主人公が、最後どのように鉄塔から降りていくのかも含めて、最後まで見逃せない作品となっています。

ラストの音楽も、なんとも不気味

最後まで、ひゅんひゅんが止まりません。


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