MINAMATA-ミナマタ-(原題:MINAMATA)

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総合:★★★★☆
 ┝構成 :★★★★★
 ┝演出 :★★★★★
 ┝映像 :★★★★☆
 ┝音楽 :★★★☆☆
 └独創性:★★★☆☆

ー基本情報ー
監督:アンドリュー・レヴィタス
出演者:ジョニー・デップ、真田広之、美波など
製作年:2020年
 
★おすすめポイント★
①ジョニー・デップが主演としてだけでなく製作として参加。
②世界トップレベルの俳優と日本トップレベルの俳優が共演。
③写真の影響力を学べる。

▼あらすじ

1971年、ニューヨーク。アメリカを代表する写真家の一人と称えられたユージン・スミスは、今では酒に溺れ荒んだ生活を送っていた。そんな時、アイリーンと名乗る女性から、熊本県水俣市にあるチッソ工場が海に流す有害物質によって苦しむ人々を撮影してほしいと頼まれる。
(公式サイトのSTORYから引用)

▼構成

ユージン・スミスが暴行といったどんな障害があろうと使命感を持って水俣病に苦しむ人々を撮影するストーリー、そして必死に企業の腐敗に立ち向かう市民の苦しいストーリーが同時進行さている。いくつかの視点から水俣病の残酷さを学べる作品になっている。ちなみにユージンとアイリーンの関係性の変化もあるが、そこまでフォーカスはされてない。

▼演出

ユージン・スミスが撮った水俣病患者の娘と彼女を抱える母親が一緒に入浴する写真と最後に公害の恐ろしさを写真と共につたえるテロップの数々。劇中の最後に出たモノクロの写真はユージン・スミスの代表作。本来は被写体の申し立てで公開はされてない写真だが、映画化にあたり、著作権所有者のアイリーンさんは許可した。モノクロの美しさが伝わる写真だが、当然のように哀愁漂う写真だ。エンドロールの始まりでは世界中で起きてきた公害の写真がどんどん出てくる。観客に公害の恐ろしさ、そして身近に起きてもおかしくない事を訴えているように思えた。

▼キャラ

ジョニー・デップが演じるユージン・スミスは非常に傷ついている。彼は戦争写真家として「ライフ」等の雑誌に投稿。だが太平洋戦争の沖縄戦で重傷を負い、PTSDを発症した。そして酒浸りの生活に陥り、家族とは疎遠になってしまった。そんな時に舞い込んだ仕事は日本で公害に苦しむ人々の撮影。彼にとって日本は辛い思い出だったはずなのに資料を見て彼の写真家魂に火がついた。彼の行動をよく思わない企業の人が彼を金で買収しようとするが、それをきっぱり断った彼のかっこいい一面も見ることができる。強い武器を持って悪人を成敗するヒーローのように、彼もヒーローだった。

▼その他

特殊メイクで演技しているイメージが強いジョニー・デップが伝説のカメラマンを演じ、彼のオーラが役の中に消え、そして製作者として参加した彼の本作に対する熱い思いが伝わる。さらに言えば、ジョニー・デップと海外映画出演経験ある豪華俳優陣との共演で圧倒的な安心感をもたらしてくれる。「ラストサムライ」の真田広之、「マイティ・ソー」シリーズの浅野忠信、「硫黄島からの手紙」の加瀬亮、「哭声/コクソン」の國村隼といった映画ファンなら知っているあの有名作品の出演者が勢揃い。個人的な感情をもってすればこれは奇跡だと言いたい。

▼この作品が好きな人へのおすすめ作品

演技派、ジョニー・デップを楽しみたければ、
→ギルバート・グレイプ(原題:What's Eating Gilbert Grape)(1993)

公害問題を扱った作品。
→ゴジラ対ヘドラ(1971)

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