【社会福祉法人】会計事務所は就労支援B会計のどこを見ているのか?

こんにちは。社会福祉法人の会計サイト「もう仕訳ない」と申します。

==更新履歴==
2019.08.01 初版
※第二版にて画像を追加予定
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はじめに

就労支援B型の会計は、他の社会福祉事業と比べて特殊です。

国保連からの給付費収入だけでなく、利用者工賃の原資となる収入も法人に入ってきます。

それらは独立しているわけでなく、就労支援事業収入は給付費収入の算定の基礎になったり、利用者工賃や積立金の計算に使われたりします。

今回は就労支援B型事業を見る際、会計事務所はどこに注目しているのかを公開します。

※各見出しの下に、どの計算資料を参照すればいいのか付しました。参考にしてください。


参考①: 「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」の一部改正について(平成30年3月20日)


□【運営】会計が区分されているか?


<参照> 財務三表、注記など


「指定就労継続支援B型事業者は、指定就労継続B型事業所ごとに経理を区分するとともに、指定就労継続支援B型の事業の会計をその他の事業の会計と区分しなければならない。」


就労支援B型を福祉会計と同じサービス区分で会計を行う場合、「就労支援事業収益」「就労支援事業費用」を用い、明確に会計を区分できるようにしなければなりません。


具体的にはパンの製造・販売や清掃受託、雑貨の出店など、利用者による売上を「就労支援事業収益」に計上しているかどうか、確認します。


そして上記売上に対応する費用(利用者工賃、材料、消耗品など)を「就労支援事業費用」に計上しているかどうか、確認します。


□【費用】利用者一人当たり・一月当たりの工賃の平均額は3,000円以上か?


<参照> 別紙3(⑯)就労支援事業製造原価明細書、別紙3(⑰)就労支援事業販管費明細書など


事業所の指定基準によるチェック項目です。


製造原価あるいは販管費に含まれる「利用者工賃」の金額を利用者数・月あたりに換算して確認します。


指定基準にあるように、平均額は最低でも3,000円なければならないため、重要です。


□【売上】製品の売上金に訓練費等給付費が含まれていないか?


<参考> 事業活動計算書、総勘定元帳「就労支援事業収益」


就労支援事業の売上と国保連などから入金される訓練等給付費収益は区別しなければなりません。


言いかえると、売上に給付費を入れてはなりません。


給付費を混ぜ込んで売上を増やすと、その分工賃として支払うことのできる原資が増えます。


給付費の基本報酬は平均工賃に応じた設定となっているため、工賃を多く支払うほど法人の経営は楽になります。


利用者に支払う工賃を増やすため売上を伸ばし、それによって指導員の人件費がまかなえ待遇も改善される……が正当なWin-Winです。


就労支援事業の売上に訓練等給付費収益を入れてはいけません。


□【費用】就労支援事業の製造原価は適切か?


<参照> 別紙3(⑯)就労支援事業製造原価明細書など


就労支援事業の売上に対応する必要な経費かどうかを判定します。


パンの製造であれば、製造担当の利用者賃金(工賃)、原材料費、外注費、光熱水費、製造指導員等の人件費(後述する条件有)が該当します。


□【費用】就労支援事業の販管費は適切か?


<参照> 別紙3(⑰)就労支援事業販管費明細書など


就労支援事業の売上に対応する必要な経費かどうかを判定します。


パンの製造であれば、販売担当の利用者賃金(工賃)、交通費、消耗品等、販売指導員等の人件費(後述する条件有)が該当します。


□【費用】指導員の人件費が含まれているか?


指定基準に定める人員配置を超えて専ら就労支援事業(生産活動)に従事する雇用契約をしている製造・販売指導員等の人件費は、就労支援事業会計で処理しなければなりません。


人員配置内であれば福祉会計で処理します。また、加算等で評価されている従業員(賃金向上達成指導員など)も福祉事業会計で処理します。


人員配置を超えると、福祉会計ではなく就労支援会計の費用に含めなければならないため、工賃減少の一因となります。


□【運営】売上△製造原価△販管費△積立金の額が0円以下となっているか?


「就労支援事業については、原則として剰余金は発生しない」とされています。


具体的には、就労支援事業事業活動計算書における「就労支援事業活動増減差額」は0円以下となるように会計処理をしなければならない、です。
差額が正の値になる場合、工賃の未払計上をして費用を増やす方法があります。


ただし、上記差額が正の値であっても、当該金額を積立金として積み立てる場合は許容されます。


<特定の目的の支出に備えるため、理事会の議決に基づき、就労支援事業活動増減差額から一定の金額を積立金として計上できる。>


言いかえると、積立を行う場合のみ、次期繰越活動増減差額が発生するということです。


□【積立】積立金(工賃変動積立金、設備等整備積立金)の積立・取崩があるか?


<参照> 財務三表、積立金・積立資産明細書(別紙3(⑫))


就労支援事業は他の社会福祉事業とは異なり、法で定められた積立金が存在します。


財務三表をチェックするときは積立の有無を確認し、残高があったり仕訳が起票されている場合には詳細を確認します。


□【積立】工賃変動積立金の積立額(PL)は基準以内か?


<参照> 事業活動計算書、別紙3(⑯)就労支援事業製造原価明細書、別紙3(⑰)就労支援事業販管費明細書


工賃変動積立金の積立額は「過去3年間の平均工賃の10%以内」に抑えなければなりません。


利用者工賃を過去3年分調べて合計し3で割って10で割ります。これが工賃変動積立金の積立限度額です。


なお、積立回数は期中何度でも大丈夫です。大事なのは単年度の積立(合計)額なので、複数回に分けて積立ても問題ありません。


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