チョコ

飼っていたうさぎのチョコが亡くなった直後に寝られなくなって書いたもの。忘れたいけど忘れたくなかったので残しておきます。

チョコが死んだ
今日の夕方急にまた寝たきりになったから、私は星野源の深夜1時~3時のラジオを聴いてから寝ることにしていたので、MIU404のBlu-ray買おうかなとか思いながら、しっかり3時過ぎのアフタートーク(YouTube)を聴いて、ようやく寝る前にチョコに水を飲ませたり保冷剤を変えてあげようとした。
チョコの息がヒューヒューいっていたのが、アフタートークあたりでは静かになってたけど、お腹は動いていたから寝てるのかなと思っていた。
でも水を飲まなきゃ死ぬと思って、水をスポイトであげた。飲んだ。そのときにうんちをしているのを見つけて、とってあげた。そしてもう一度水をあげた。今度は飲まなかった。口をぬぐってあげた。そのときに見えた口の色がいつものピンクじゃなくて、おかしいとおもった。胡座の間に寝そべらせていた状態だったから、ちゃんと抱いて飲ませてあげようと思って、前足の下、心臓部分を抱えて、心臓の鼓動が聞こえない、と思った。小動物特有のとてつもない速さのあの鼓動が。手から伝わってこない。でもあったかい。よくわからなかった。
保冷剤を冷たいのに変えて、チョコを横たわらせて、やっぱりお腹が呼吸で動いてないのを改めて見た。心臓に触れる。何も感じない。でもあったかい。じっと見つめる。YouTubeが次の動画を勝手に再生する。チョコを見る。生きていた時に目に焼き付けすぎたのか、動いているように見える。心臓に触れる。なんの振動もない。鼻が白くなっている気がする。耳も真っ白。死後硬直っていつからだろう。まだこんなにもチョコの身体はあったかいのに。
そうして何回も触ったり抱っこしたり心臓を確かめたりしたけど、やっぱり死んじゃったような気がして、でもよくわからなくて、お母さんに言わなきゃいけない、と思った。寝室へ向かう。温かな寝息。起こせないと思った。というか起こせなかった。声がでなかった。何て言えばいいのかもわからなかった。それを口にしたくなかった。リビングに戻る。チョコに触れる。毛並みを撫でる。『うさぎ 供養の方法』でスマホの検索をかける。寝室へ向かう。母のとなりに跪く。寝息が聞こえる。気づいたら4時だった。起こせない。このまま寝てしまおうか、と思う。でも、朝起きてチョコが死んでたら、「あなたが寝るまでは生きてたでしょ?」と訊かれるだろう。私はそれにうんといえるのか、嘘をつくのか。それはできない、むりだ。でも母は私が足音を立てて隣に来たところで起きやしない。4時22分。リビングに戻る。YouTubeの再生を止める。電話にしよう、と思った。母は電話がちゃんと鳴る人だから、目覚まし時計の役割を果たすだろう。電話を鳴らした。不在着信になった。これで起きないならもういいか、と思った。チョコを見つめる。ピクリともしないチョコ。私の手の中のスマホが震える。お母さんだ。出る。『..どうしたん?』喋れない。声がでない。頑張って言おうと思ったその時初めて、涙が出た。今度は泣いてしまって喋れなかった。『...!今どこ?リビング?...チョコ?』母が言う。階段を降りる音がする。お母さんがチョコを見た。「長生きだったねえ」そう言って私を抱きしめる。涙が止まらなかった。
お母さんはチョコを撫でて「もう冷たくなっちゃったね」といった。私は心臓はまだあったかいよ
と思ったけど泣いて話せなかった。お母さんがチョコを抱く。長生きだったね、お疲れ様、といいながら。泣きながら。私はそれを見てまた泣いた。もうチョコの後ろ足は死後硬直を始めていた。チョコの目蓋をお母さんの手が撫ぜても、チョコの目蓋は閉じなかった。

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