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本当にあった虫歯の話

これは僕が実際に体験した事なのですが…
今からちょうど1年前…

キャラメルを食べていると、右上の前歯あたりがズキっと痛くなりました。
「あ‥そういえば…高校の頃の虫歯の検査で要注意って出てたな……」クチャクチャクチャ

心の中でそう呟くと同時に、冷や汗が脇ををツーっと伝って行きました。高校卒業から7年が経っていたのです…

「これはとんでもないほどの虫歯に成長してるかもしれない」クチャクチャクチャ

聞いたところによると虫歯が悪化しすぎると神経までやられてとても治療が痛いらしいのです。
僕はとても怖くなりましたが、
恐る恐るキャラメルを食べ続けました…

「いたい…いたいよ…」クチャクチャクチャ
僕は最後までキャラメルを食べきり、ミルクを飲み干し、意を決して近くの歯医者を調べました。

なんと徒歩圏内に歯医者があり、電話をするとすぐに診察できるという事で歯医者に向かいました。

歯医者に着くと、美容室でシャンプーする時の椅子と母親が同じであろうリクライニングの椅子に案内されました。
お医者さんに事情を伝えるとおもむろに椅子が倒れました。ウイーーン、ガッ、ガタッ
(あっやっぱり母親おんなじだろうなー)
そう思っている内に診察が始まりました。
「口の中見ますね」
「……お願いします」
僕はポーカーフェイスでそう答えました。

恐らく歯医者でしか使わないであろう、シルバーの棒の先に小さいミラーが付いているもので入念に口の中を見てくれました。
「あー真っ黒だなー」
お医者さんは一言だけ呟き、
「レントゲン撮りますね」
と僕をレントゲン室に向かわせました。

「真っ黒だなーって言ってたな…」
僕は恐怖におののきながらもポーカーフェイスでレントゲンを撮ってもらいました。

再び最初の美容室の椅子に案内され、お医者さんが僕にこう言いました。

「富川さん……虫歯ないです」

僕は一瞬何を言ってるかがわかりませんでしたが、なんと虫歯はなかったのです。

(え?でも待って!さっきは真っ黒って言ってなかった!?)
僕は心の中で叫びましたが顔はポーカーフェイスのままでした。

お医者さんはこう続けました。「奥歯の方は真っ黒になってるんですけど、数年ほど前から虫歯の定義が変わって、慢性化した虫歯は治療しない方がいいことがわかったんです。この虫歯は黒いですが超低速でしか虫歯として進行していかないので、今後も生活に支障をきたす事はありません。逆に、ドリルで削り詰め物をした方が、新たな虫歯になる可能性があってダメなんですよ。とても綺麗な丈夫な歯です!」

嘘だろ…
虫歯なのに、虫歯じゃない。
しかも、慢性化している虫歯であるがゆえに、新たな虫歯になる可能性はない。最強じゃないか…

「歯のクリーニングもせっかくなのでやって帰りますか?」

二つ返事でハイと答えました。

お家に帰り、いつもよりピッカピカの歯でキャラメルを噛みながら僕は考えました…クチャクチャクチャクチャ
じゃあ、キャラメル食べた時のあの痛みはなんだったのだろうか…クチャクチャ

僕は再び冷や汗が脇をツーっと伝っていき、そしてミルクを飲み干しました…
もしかするとあれは霊の仕業だったのかもしれません……




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