ボウリングの衰退
誰もが知っている娯楽「ボウリング」。家族や友人などでワイワイ楽しめる手軽なスポーツです。
ボウリングはスポーツの中では珍しく「歴史あるプロ組織」があり、プロボウラーが存在します。今でこそ日本にはJリーグやVリーグなどプロスポーツが増えていますが、昭和時代からあるプロスポーツは相撲、野球、ゴルフぐらい。ボウリングは実は凄いスポーツなのです。
また、あまり知られていないですがボウリングは国体競技でもあり、アジア大会でも「ボウリング」が正式種目の一つとなっています。日本代表が派遣されています。
このボウリングは残念ながら現在衰退する一方
時代の変化と言ってしまえばそこまで。スキーやドライブなどと同じく昭和の娯楽が、スマホでエンターテインメントが楽しめる時代に生き残るのは厳しいのかもしれません。
また、ボウリングの特殊な点は「ボウリング場」に行かないと試合はおろか練習すらできないこと
他の球技であれば、一人でも壁に当てて練習したり、素振りをしたりもでき、二人いればパスやラリーの練習ができるがボウリングにはそれが無い。
ボウリングを日ごろから練習しようとすると、筋トレをする、フォームの確認をする、最大限頑張ってマイボールを自宅でクッションなどに投げるのが関の山。兎にも角にもボウリング場に行かないことには有効な練習ができない
そんなボウリングは1970年ごろに急にブームになりました。それ以前の1960年時点ではボウリング場そのものは日本にほとんど存在していなかったにも関わらず、1970年頃に一気に3,500軒以上のボウリング場が日本にできたのです。
若者の間でボウリングブームが起きたこともありますが、その背景にはボウリングの本場であるアメリカからボウリングマシンが大量に輸入されたことでコストダウンが実現、日本法人を置くことでメンテナンスの体制も確立されたことも寄与している。
しかしブームが去り1970年代後半にはボウリング場の数は1,000軒ほどまで一気に減少。その後1990年代にボウリングブームの第二波もあって2000年ごろまではジワジワとボウリング場の数は増加、しかし21世紀になってからは減少の一途であり現在ボウリング場は900軒ほどになっています。
この減少傾向は2020年から数年続いたのコロナウイルスの影響でさらに加速
今となっては後の祭りですが、実は東京オリンピック(2020)がボウリングにとっては最後の希望だったことはあまり知られていない。
東京オリンピックには日本からの推薦で競技を追加できる枠がありました。日本は「野球・ソフトボール」の推薦を考えており、その他の競技としてボウリングも最終選考にエントリーしていたのですが残念ながら不採用。ここでオリンピック競技に採用されていれば、国際大会のできるボウリング場の整備や競技人口の増加が期待できたのですが残念でなりません。
また、ボウリングの衰退の原因の一つとしてボウリング場は基本的に単独採算、あるいは多くても2~3つのボウリング場グループであることが挙げられます。
ポジティブに考えると「群雄割拠」ですが、衰退産業であるボウリングではむしろマイナス面の方が大きい。いくつものセンターがグループを作れば資材の調達面やサービス面などでスケールメリットが出てくるのですが、残念ながらそうした傾向はあまり見られません。
唯一の例外が日本ボウリングの雄、ラウンドワン。現在全国に900軒ほどのボウリング場がありますが、そのうちラウンドワンが100軒超を占めているのです。
良くも悪くもラウンドワンがどうなるかが日本のボウリングの未来を決めるといっても過言ではありません。
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