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『Far:Changing Tides』レビュー「まったり系かと思いきや、超忙しいワンオペ船乗りゲー」

結論

 作り込まれたジオラマ的なグラフィックで、忙しく操船作業するゲームと聞いて興味が湧く人にはおすすめ。ストーリー性やバトル重視の人には正直、おすすめできません。

長所

(1)ジオラマ的な作り込まれたグラフィック

 本作のグラフィックは本当に見事の一言。凝ったジオラマのような作りをしており、開発側のアーティスティックな感性の高さには感心させられます。

(2)船乗り気分が味わえる

 本作は序盤で船を手に入れたら船の操船や燃料管理がゲームプレイのほとんどになります。船がなんらかのギミックに毎回止められるので、そのたびにちょっとしたギミックを使ってなんとかする必要があります。その辺りのマネジメントやギミック、道を切り開くことを楽しめるようであれば本作は魅力的に映るのは間違いありません。

短所

(1)ストーリー性が薄い

 主人公は一切喋りませんし、エンディングまで他の人物に会うこともありません。さらに世界観を掘り下げるような資料的なものもなく、世界観やストーリーは全部、プレイヤー側が想像してくれというスタイルになっています。

(2)やたら忙しく、雰囲気を楽しむ余裕がない

 本作はぱっと見、癒し系ゲームのように見えますが、実際はかなり忙しいゲームです。船が止まるとゲーム進行が止まるので、プレイヤーはワンオペでひたすら操船しなければなりません。旅を210分未満で完了するというタイムアタック実績の存在もプレイヤーの焦燥感を高める要因になっていますし、水上はともかく、海中は燃料が切れると船が動かなくなるので詰みになってしまうのも面倒でした(この場合、ちょっと前のチェックポイントに戻って燃料を探すなりしてやり直す必要があり)。この手のゲームは殺伐としたゲームの気分転換でプレイしようとする人も多いと思うので、ここまで実績なり、ゲーム性をガチガチにする必要はあったのか疑問ではあります。

(3)ゲームとしての刺激が少ない

 ゲーム内容の説明としては船の管理と障害となるギミックの排除、これだけです。気になるストーリーがあるわけでもなく、途中から何のためにこのゲームをやっているんだろう?と目的意識の欠如を感じてしまいました。

★まとめ

 芸術性は100点だと思いますが、ゲーム性は低め。個人的な意見としてはガチガチにプレイヤースキルが必要な実績は排除して、ひたすら雰囲気を楽しめるゲームにした方が良かったのではと感じました。グラフィックを筆頭に開発側のこだわり自体は素晴らしいとは思いますが、筆者は正直、途中から本作をプレイする目的意識を見失ってしまい、心の底から楽しめませんでした。逆に言えば、タイムアタック実績など、各種やり込み要素が好きな人にはおすすめできますので、ゲームにおいて何を重要視するか、また何が好みなのか自問自答してから本作に手を出すか判断すると良いと思います。

 また、本作の定価は2000円超えなので、割高に感じます。何故なら実績コンプを狙わない場合、ボリューム不足だからです。できればセール時に購入した方が良いでしょう(今月でゲームパス対象から外れます)。


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