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山根流棒術

山根流は沖縄の棒術流派である。開祖は知念三良ちねんさんら(1842-1925)とされる。戦後の継承者は、彼の孫にあたる知念正美(1898-1976)である。

山根流、本土ではあまり馴染みのない流派であるが、沖縄では棒術流派として名高い。実際、沖縄の棒術の流会派の大半は、その起源を遡ると山根流に関係している。

大正時代の新聞記事には、知念三良が本部朝勇と一緒に沖縄県師範学校で演武したことが報じられている(『琉球新報』大正7(1918)年3月21日記事)。このとき招待された演武者たちは、当時の沖縄の空手・古武道界の頂点に君臨する人たちであった。おそらく知念三良と本部朝勇は、お互いに交際もあったのであろう。

本土出身者で最初に山根流を学んだ人は、東大生で『拳法概説』(1930年)の共著者である三木二三郎であったことは、あまり知られていない事実である。三木は昭和4(1929)年の夏に沖縄を訪れ、知念三良の弟子の大城朝恕から棒術を学んだ。

三木二三郎。『拳法概説』より。

『拳法概説』には、山根流の棒型のうち、周氏の棍、佐久川の棍、白樽の棍が図解付きで紹介されている。

比嘉清徳と知念正美、1960年代

ところで、武芸館の比嘉清徳先生は、上原清吉の初期弟子であったが、それ以前に知念正美先生にも師事されていた。そして、昭和35(1960)年に山根流の師範免許を初めて授与されている。この免許状には「山根流家元 知念正美」との署名があり、その下には花押も署名されている。

比嘉清徳の山根流師範免許、1960年7月1日

知念正美氏が出した師範免許はこれ一枚だったそうである。ある有名な古武道の大家が知念正美氏に師範免許を出してほしいと頼んでも、彼は出さなかったという。この事実は、山根流を正式に指導できる資格は比嘉清徳先生の武芸館のみだということを意味している。

参考文献
伊舎堂博和『神道流夢幻の術―武聖比嘉清徳の神技』文芸社、2004年

出典:
「山根流」(アメブロ、2017年2月17日)。


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