デキる管制官とは
こんにちは、元航空管制官です。
Twitterでは、管制官の認知度向上に寄与すべく管制官に関する発信をしておりますが、今回は「デキる管制官」について述べたいと思います。
どんな人がデキる管制官なのでしょうか。
仕事をする以上、誰しもがデキる人でいたいですよね。
デキる人の特徴
一つ一つ解説していきます。
常に周りを見ている
サポートできることはないか、周囲の状況を把握している人です。
管制官は一定時間仕事をしたら(「卓につく」といいます)、休憩を取ることになっています。緊張を強いられる状況でずっと仕事を続けると、疲労によりミスを招きかねないので休息が与えられているのです。
休憩はリラックスする時間でもありますので、基本的には自由です。一方、デキる人は談笑していても、周りに目を光らせています。
いつもとなんか違うな、という空気感があったりします。その時は、すかさずその人の元に近寄り、問題がないかを確認します。(もちろん、あからさまに大丈夫か!?と話しかけるとウザがられますので、そっと背後から覗くような感じです)
デキない人は、我関せずです。自分だけ良ければいい。
面倒見がいい人であれば少しは許されるのかもしれませんが、面倒見が悪くて、我関せずの人は最悪です。
冷静
緊急時、悪天時は極度の緊張を強いられます。
20機近く一人で管制している最中で、「MAYDAY MAYDAY MAYDAY, we declare emergency」なんて言われたら、鬼メンタルの人でも正直まじかよ・・・ってなります。
でも、そこで冷静でいるか、パニックになるかが分かれ道。
この冷静さは後天的に得ることが出来ると、私は考えています。それはOJTやシミュレータによる訓練です。
今年の4月から訓練カリキュラムが大幅変更になったので異なるのかもしれませんが、大規模官署のOJTは20機、30機(30機は正直盛りすぎか・・笑)飛んでいる状況下で何回も訓練します。もちろん最初は誰も出来ません。でも、何回かこなしていると出来てくるものなのです。
(もちろんここまでになるには、多大なる苦労はあります・・)
「繰り返し」が自信につながり、機数が多い状況下で緊急事態と言われても、努めて冷静に対処できるようになります。
周囲を笑顔にさせる
どこの組織でも言えると思いますが、シーンとしていて居心地が悪い職場って嫌ですよね。
デキる人はそれを理解しております。管制業務中は真面目でも、それ以外は冗談を言う。
それを理解している次席、主幹、主任がいるチームに所属していると、本当に楽しく仕事できるものです。
後輩の面倒見がいい
後輩の面倒見がいい上司は、若手から慕われます。資格を持たない訓練生は、訓練にも耐えなければならない、あまり悩みを言えない、など結構孤独です。
デキる人はそれを理解しています。積極的に訓練生や若手に声をかけ、リラックスさせようとします。
自分が訓練生の時に辛い思いをしたからこそ、訓練生の力に少しでもなりたい。そう思える人は間違いなくデキる人です。
繁忙時間帯も率先してやる
資格を取ったんだし、忙しい時間帯はしたくない、という人はいます。
人間はラクをしたい生き物ですので、そう思うのは仕方がないのかもしれません。
しかし、それでは間違いなく技量は落ち、管制官としての更なる成長は見込めません。
デキる人は、資格保有後も率先して繁忙時間帯をやります。(ただし、訓練生がしている時は除く)
技量・スキルを磨き、立派な管制官となっていくのです。
緊急時、悪天時の司令塔
これは次席、主幹クラス(ざっと40代以上)の話になりますが、緊急時や悪天時はチームで乗り切らなくてはなりません。
例えば、緊急時であれば、優先順位を決めたり、他部署に連絡したり、書類を書いたりと、一瞬でやるべきことが大量に出てきます。
その時に、司令となるべき人がいるかいないかで、大きな差を生みます。
「〇〇さん、あれを頼む!」「□□さん、他部署に連絡した?」と、瞬時に状況を把握し、的確に指示を出せる、やるべきことが分かる人は間違いなくデキる人です。
デキない主幹さんは何していいか分からずあたふたしています。若手からすると、まじでダサいです。
【最後に】デキる管制官を目指して
最後までお読みいただきありがとうございます。
管制官の仕事に興味がある人、これから目指す人、先日の試験に合格した人、様々ではないでしょうか。
大規模官署になると、人数も多く、多種多様な人間がいます。
ACC、大規模空港を経験した私が、数ある人間を見てきた中で、デキていた人の特徴をピックアップしました。
これから管制官になる人の参考になれば幸いです。
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