キレというものの表現について

4日目
よーし、よく頑張った。

昨日クラスの生徒さん(ゲームモーションアニメーター)から褒めていただいた「キレ」の話を。

動きがキレるというのはどういうことか?
スピード自体もそうだけど、こと表現の世界では静と動がしっかりと魅せられることが大事な要因の一つになってくると思う。

動き始めの方は理論が分厚くなってしまうので、今日は動きの最後「止まり方」について。

結論から言うと「全部同時に止める」
これに尽きると思う。

全身運動していた各関節、エネルギー、動きを全て同時に止める。見る側の視覚的にも(ユーザー、カスタマー)多くの情報量が急に0になることでびっくりが起こり予想を裏切りる。
処理が追いつかなくなるさせることによって、狙って「キレ」を演出することが出来る。

でも言うのは簡単で行うは難し。それを行うには特に下半身と体幹を軸とした強い筋力、バランスが要求される。収まりが悪くフラっとしてしまっては台無しになるし、最後のポーズを決めた後に腕だけが、もしくは足だけが追いついて来れてなくて、もったいない印象を受ける事もよくある。

事前の動きが激しく、高難度であればあるほど一気に0にすることは難しく、なのでアクロバットを始めとする高度なアクションの中でこれを狙えるようになるには少し時間がかかる。

わかりやすく例えると、例えば100m走のスプリンターに全力疾走してもらって、ゴールでいきなりビタッて止まってください!って言っても不可能。そこまでのエネルギーがあるので当然急には止まれない。もちろん自分もできません。
でも狙いとしてはそういうことを表現としようとしてるのが止まる時のキレ。

中国武術では、「刀は猛虎の如く、目は雷の如し」と言う言葉も聞く。
どれだけ激しい攻撃も見ないで当てるのは達人過ぎる(つまりはウソ)なので攻撃が当たる直前に目(光)が追い抜く。そうすると首を返す動きと攻撃動作は同時に収束を迎え、結果瞬間的に0になり「キレ」として目に残る。

ノールックで敵を倒すのが格好いい場合もあるが、それらはまともな攻撃を散々弾幕として見せた後に演出として活用するのが効果的。 
格好だけをやってもどうしてもダサくなる。

こういった事もシーンやキャラの意図を理解し、必要ならやっておく。
これも優秀なモーションアクターと言える要因の一つだと思う。

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