攻撃の重さ

おはようございます、株式会社モーションアクター代表の杉口です。

昨日がキレについてだったので、今日は「武器の重さ」の表現について書いてみようと思います。

武器ではなく、キャラクター自体が大きくて重量感のあるキャラクターを演じるときは、実際に体の大きなモーションアクターがキャスティングされることが多いのです。

動きの肝所を理解して効果的に演じることが出来れば、私のような中背中肉サイズの人間にもある程度演じることが出来ます。(ちょっと自慢しましたww)
逆に言うとガタイだけで好き勝手にやっても、やはり狙った表現は難しかったりします。

女性が女性のアクションをやるよりも、男性がディフォルメして演じた方がそれらしく見えるときがあるのと同じですね。もちろん逆も然りです。


でも今日はキャラ自体の大きさではなく、自分に対して大きなモノを扱う場合のお話です。
例えばKoeiさんでアクターを担当させてただいた戦国無双シリーズ、三國無双シリーズ、進撃の巨人、比較的最近だとプラチナゲームスさんのアストラルチェインなどをキャラクターに対して大きな武器を扱う事もよくあります。



さて、これらを効果的に演技、演出するにはどうすれは良いでしょうか???。

例えば大きな剣を持ったキャラクーがいたとして…例えばベルセルクの主人公ガッツなどをイメージしてみましょう。

彼が剣を振るとします。自分が気にするところは大きく3つあります。
攻撃始めのリアリティ、攻撃途中のスピード、攻撃終わりの崩し方。

まず一つ目は攻撃始めについて。通常であれば剣を出来るだけ体の重心に近づけ、担ぐように剣をあげてから重力に任せて地面まで叩き落とします。

腕から先に動くという事はあり得ず、下半身を使って重心を物体の下に潜り込ませ、体を固めて足と腰でまず剣を動かし始めます。なんでもそうですが、0→1にするときが一番エネルギーを使うのです。

そうやって剣が攻撃目標に向かって動き始めたら、ようやく胴体や腕を使ってコントロールを始めます。この時も、キャラクターのパワーに対して武器がどれだけ重いかによって、あっさり振り上げることもあれば、頭が武器と反対方向に傾く位まで引っ張りながら持ち上げることもあります。 
この辺りは担当するクリエイターさん達のオーダーを聞き、バランスをみます。



次に剣を振るスピード。これもとっても重ければ重力に任せる以外の事は出来ず、落とすだけになります。でもガッツが超パワーを発揮するバーサクモードであればどうでしょう??
重力に任せて…なんて悠長なことは言ってられず、自分で加速させて敵をぶった斬るでしょう。
実際には振り下ろすときのスピードも、60キロの体重の人間が自分の何倍もの物体をそんなに加速させるなんて事は不可能なのですが、そこはまあファンタジーとの兼ね合いと言うことでww



最後に攻撃の収め方。自分にとって重いものを持っているわけですから、当然ビタッとは止まれません。剣を止めた後に胴体だったり腕だったりがまだ動いている。頑張って止めようとしてる場合もあれば、無理に止めずに力を流して振り抜いたり回転してることも。
突き系の攻撃だったら、足もつんのめっているかもしれません。
まさに昨日書いた「キレ」とは正反対のことが起こります。モーションアクターは狙ってこれを表現します。


これらのことをキャラクター、パワー、クリエイターのこだわり所など、などさまざまな要因をバランスよく馴染ませて最適解を体で示すことになります。

若かりし頃、この辺りのノウハウがなくていつも上手く出来ず、落ち込みまくってた自分を指導してやりたいですねww

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