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望月慎の経済学・経済論 第一巻

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(「経済学・経済論」の2017年6月~2017年9月の記事をまとめたものです) 財政破綻論批判、自由貿易批判、アベノミクス批判から通貨論(金融システム論)、ケインジアンモデル概説… もっと読む
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#金融

なぜ日本は財政破綻しないのか?

「日本財政破綻論」は現代日本で極めて根強い風説です。 経済評論家の多くが、多少の違いはあれど日本財政破綻論を唱えています。 代表的な存在として浅井隆がいますが、彼は早くも1996年に「97年の逆襲 国家破産か、超食糧危機か」という著作を上梓しています。他にも、2000年に著した「2003年、日本国破産 警告編」、2005年に著した「小泉首相が死んでも本当の事を言わない理由」、2010年に著した「2014年日本国破産 警告編」などで繰り返し財政破綻論を喧伝しています。 他

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財政政策の指針 ―公共的側面と総需要的側面―

読者からの質問で、「では、望ましい財政政策とは一体何なのか」というものがありました。 そこで、「財政政策は、どのような観点、哲学で決定されていくべきなのか」ということについて、簡潔に述べていきたいと思います。 ①財政政策の公共的側面 ②財政政策の総需要的側面 ご関心のある方はぜひご購読願います。 ※※※このコラムは、望月夜の経済学・経済論 第一巻(11記事 ¥2800)、望月夜の財政論まとめ(7記事 ¥1600)にも収録されています。※※※

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「お金」「通貨」はどこからやってくるのか?

ATMから現金を引き出して店頭で物を買う、通販を預金振り込みで利用する、クレジットカードで買い物をして後日口座から引き落とされる……。 私たちはこういった様々な形で、「お金」「通貨」を購買に利用しています。 しかし、我々が利用しているお金(貨幣、money)は、元々はどこからやってきたのでしょうか? 「中央銀行がすべて作ったのだ」あるいは「中央銀行がすべての源である」という主張もありますが、実はそれは大いなる誤解です。 (こうした誤解は、「中央銀行が貨幣を完全にコントロー

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「お金」「通貨」の実態・正体

前記事である「お金」「通貨」はどこからやってくるのか?では、今私たちの手元にあるお金がどのような経緯で生まれ、そして消えていくのかについて詳細に解説しました。 その説明を聞いたとき、かつての「お金」「通貨」へのイメージと随分違う印象を受けた人が多かったかもしれません。 特に、「市中銀行が貨幣を発行する」というくだりでは、「これって”詐欺”じゃないの?」という印象を受けた人が少なからず居たのではないかな、と思います。 実際、信用創造(銀行借入・貸出による貨幣創造)について

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「誰かの黒字は誰かの赤字の原則」→「財政"黒字"の危険性」

「もしAからBへ資産が移動すれば、Aの資産は減り(Aの赤字)、Bの資産は増える(Bの黒字)」ということは、容易に理解できることと思います。 これをさらに、「金融資産・負債の生成」という段階にまで掘り下げて適用して考察することで、金融システム全体の大まかな構造理解に至ることが出来ます。 また、タイトルの通り「財政"黒字"」(赤字ではなく)の経済上の危険性についても理解することが出来るのです。 以下の章立てで論じていきたいと思います。 ①「誰かの黒字は誰かの赤字」「誰かの

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JGP(一定賃金雇用の無制限供給)は経済を救えるか

現在、日本経済は1990年代から続く20年来の不況(長期停滞)に悩まされています。 世界経済も、リーマンショック(世界同時金融危機)の余波を未だ脱し切れてはいません。 また、仮に今後こうした不況から脱することが出来たとしても、脱するまでに多くの人々が経済的被害を受けたことは払拭できません。 なぜ不況は起きるのでしょうか。 ミンスキーの金融不安定性仮説にもあるように、金融資本主義経済は、「バブルとその崩壊」というサイクルを不可避的に持ちます。あるバブルの崩壊を別のバブル

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ケインズ経済学モデル概説…IS-LM、マンデルフレミングモデル、AS-AD

「ケインズは死んだ」と喧伝されるようになって、既に長い年月が経過しています。(ロバート・ルーカスが『ケインズ経済学の死』というスピーチをしたのは、1970年代のことだそうですので、死が宣告されてから実に40年もの年月が経過していることになります) ケインズの死として表現される事象には色々なものがありますが、大まかに言えば 「『名目総需要が経済において問題になる』という考えが、新しい理論において否定された」 「したがって、金融財政政策が経済に対して有効であるという考えも否

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