マガジンのカバー画像

望月慎の経済学・経済論 第二巻

13
第一巻以降に発表した経済学・経済論noteと、マニアック経済学論の方に発表したnoteをまとめました。 第一巻はこちら→ https://note.mu/motidukinoyo… もっと読む
¥3,000
運営しているクリエイター

2018年2月の記事一覧

失業率の構造、完全雇用、残業代の経済学

今回は、雇用・労働に関する諸概念について検討していく。 日本の失業率を考える場合、国際比較に基づいて、「日本の失業率は国際的に見て低い」ということはよく知られているところと思う。 (データブック国際労働比較2016より引用) しかしながら、失業率の単純な国際比較では、各国の景気動向や成長動向、雇用システムの良し悪しを評価することはできない。 失業率の構造を理解することで、そうした短絡的な誤解を未然に防ぐことが出来る。 また、国際的に見て失業率が単に低いことそれ自体が

有料
200

一般的貯蓄と経済学的貯蓄の意味の違い

貯蓄と言われて思い浮かぶのは、普通なら銀行預金でしょう。もう少し意味を広げても、保有証券(株式etc)あたりでしょうか。保有不動産(持ち家etc)まで貯蓄だと解釈する人は稀かもしれません。 一般的な貯蓄は、上記のように、金融貯蓄(その中でも特に銀行預金)のことだと理解されがちだと思います。 一方で、経済学的貯蓄は、実は金融的貯蓄と一致するとは限りません。経済学的貯蓄では逆に、不動産のような実物の保有を、より確実に貯蓄だと見做すのです。 こうした貯蓄の意味合いの齟齬は、経

有料
200

主流派経済学の諸概念についての批判的検討

今回は、主流派経済学の三つの概念について概説し、批判を加えることにする。 その三つの概念とは、「ミクロ的基礎づけ」、「フリードマン・ルール」、「ラムゼーの最適課税理論」だ。 ミクロ的基礎づけは、ミクロ経済学に整合的なモデルを基礎にマクロ経済学の理論を構築すべきであるという指針で、基本的に政府による介入の無効性(及び有害性)を導出する構造を持っている。 フリードマン・ルール(注:k%ルールとはまた別物)は、名目金利がゼロになることが経済厚生上最適であるとする理論だ。こうし

有料
300