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自創作キャラと同じ目線に立つ為に蝶の翅を生で食った話

本記事には虫写真、命を粗末にする行動、若干の変人要素が含まれます。

こんにちは、行動基準が楽しいか楽しくないか、面倒か面倒じゃないかの二つしかない餠鳥です。

タイトル通り蝶の翅を生で食べてみたのでツイート群をモーメントにまとめようかと思ったのですが、ついでに補足沢山するかあということでnoteにしました。俺が食えてるから人類皆食える食材(?)かと言われるとそんなこともないので…

事の発端といえば自創作に蝶を生で食べる男(蝶売り)がいて、調べても味の感想はそんなに出てこなかった上に生食してる人は更に少ない、翅だけとか更に更に少ない、という状況になり困ったことでした。そして数少ない感想を聞いても納得出来なかったので食べることにしました。

1.そもそも蝶の翅の成分って?毒?

蝶の翅は触ると粉が手について…というのはよく聞きますよね。そしてその粉は毒だとかも。じゃあ食べちゃいけないんじゃないのか…そう思いますか?

まず、鱗粉は基本毒じゃない。(※例外はある)

鱗翅目(チョウやガの種類)の持つ鱗粉の主成分はタンパク質とキチン質、そして種によって色々な色素が入っているというシンプルさです。これには無添加過激派もにっこり。
(色素に文句言うかもしれないな)

※例外についてですが、いわゆる毒蝶と呼ばれるアサギマダラやジャコウアゲハを始めとした種は翅に毒が含まれている可能性があるため危険です。体内で毒を生み出す仕組みこそありませんが、幼虫時代にアルカロイド等毒素を含む植物を食べ育ち成虫になっても体内に保持しているため死なずとも中毒症状は起きると思われます(触る程度なら問題無いが食うなら流石に大問題)
また、ドクガ科など毒針を持つ種類は触るのも危険ですので、分かるものだけ食べてください。

キチン質の説明を簡単にすると、甲殻類とかが持つ殻を構成している成分です。エビのしっぽはゴキブリと同じ成分っていう話の所以ですね。そんなこと言ったら多分人間もネズミと成分同じですけど。

で、問題なのがアレルギー反応のこと。

鱗翅目含む昆虫類は甲殻類と近縁なのは有名です。見た目も似ているし、実際成分も似通っていて大体同じ生き物と言っても(それぞれの種が好きな人以外は)納得できます。

しかし大体同じということはアレルギー反応が起きるということ。エビやカニにアレルギー反応が出てしまう人は蝶の翅に限らず昆虫全般にアレルギー反応を起こしてしまう可能性が大いにありますので、気をつけないといけません。

あとキチン質は消化できない食物繊維ですので、キャベツ何個分かは知りませんが健康に良いと言えなくもないです。キャベツの代わりに蝶の翅を食べる時代が来るかもしれない。

2.めっちゃ大変な蝶捕獲タイム

蝶の翅は食べても大丈夫だと分かったところで早速捕まえるパートです。

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使ったのはセリアの虫かごと魚あみ。前日に買いました。この日の為だけに。
なんで魚あみかというと、でかい虫あみ持って電車に乗って帰るのが嫌だったからです。でかい虫あみ持って電車に乗るのは流石に恥ずかしい。

受験勉強をしている友人を誘拐して外に引きずり出したところで森に行き道をグルグル。忘れていたあの日の純粋無垢で太陽を疎ましく思わない気持ちを心の奥底に感じながら約30分。

成果。

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は?これだけ?ちっさ。

実は今回は大量に食べるわけではなく、ただ単に色んな種類を1匹ずつ食べる方針だったため種類を見つつ捕まえていたのですが…中々いないもんです。この2種類しか飛んでない。
しかもこんなに小さいものでは満足できるわけがない(というか味分からなさそう)ので、捕獲を続行します。

※無闇矢鱈な捕獲は身近な虫であっても理由がない限り避けましょう。何が起こるか分からないしその責任も取れないので。バタフライエフェクトというやつです(ちょっと違う)

2時間後。

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キアゲハチャン!!!!!!

ようやく捕まえた3匹目です。他にもアオスジアゲハやクロアゲハはいたんですが、早いのなんの。1時間睨めっこして追いかけても無理だったので、休憩がてらコンビニに向かっている道中で食事中のところを見かけ捕獲。人に見られながらやる昆虫採集は結構辛いです。

本当は他の種類も捕まえたかったところですが、気温の高さなども考えて(というか疲れたので)断念。本格的な食べ比べは次回の料理編の時にとっておくとして試食だけしておきます。

3.切るぞ!食うぞ!

食材が揃ったところでレッツクッキングタイム。と、言っても生で口に入れるので翅を切るだけ。
まず籠に入れた蝶を取りだし、上翅の付け根を挟むように持ってハサミでジャキジャキ。小型のシジミは切った感覚がありませんが、アゲハは翅が大きいので上翅の翅脈(翅の支え)を切る時に確かな感触があり音が鳴ります。案外硬いですが力を入れなければという程でもありません。

片方だけ切って暴れられ翅がちぎれると困るので、両翅を交互にちょっとずつ切っていきます。デッサンをしている時や彫刻を作っている時よりも集中している筆者と、それを「サイコパスw」と笑いながら見ているサイコパスの友人。通報されてもおかしくない。

こんなことをする原因になった自創作の男(蝶売り)は素手で蝶を掴み潰して食べているので本当は手で潰す必要があるのですが、友人の横でそれをやったら引かれそうな気がしたので、これもまた次回です。とにかく翅を綺麗に切り取ることだけ考えて必死に抵抗する蝶と戦います。

そして出来たものがこちらになります。

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まずシジミ2種。翅を切るのは初めてなので上手くいかなかったのが非常に残念です。

では翅をパクリ。

…?

………??

味、無……………。

そう、味、無い。
味が無いどころか、食感もない。なんだか舌に粉が乗っているような気がしなくもないけど、とにかく味が無いし、食感も無いし、飲み込めたかさえ分からない。スーパーで買った食べ物に蝶の翅が混じってても気付かない自信があります。
甘いやら青臭いやら色んな話は聞いていましたが…†完全なる虚無†しか訪れません。悲しい。

続いて皆のアイドルアゲハちゃん。

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本体がめちゃくちゃこっちを見ていますね。蕎麦打ちAVを彷彿とさせます。
翅が無くなるとバランスが取れないのか、暴れようが凄い。

補足すると、昆虫は全般的に感情を持つほど賢くありません。痛みも無く、殆ど反射で動いています。(という説が有力であり筆者の信じる説です)
まあそんなことは本人(本虫)でなければ実際どうなのか分かりませんが…とにかく、人間や犬猫のような目で見ていると損をする可能性が無きにしも非ずな事をお伝えしておきます。あと筆者は虫めちゃくちゃ好きなので色々言われても困る。

では実食…と言う前に、実はつまみ食いをしています。上翅が大きく欠けているのはそれです。食べかけの写真で申し訳ありません。

肝心の味ですが、なんと……ある。

口に入れた瞬間はほんの僅かに粉っぽい舌触りと紙のような無味だけなのですが、噛むと翅脈のシャクシャクとした食感があり、噛む度青臭さが口の中に広がっていきます。

翅の膜は噛みちぎれず、ゴムを物凄く薄く伸ばしたのを噛んでいる感覚。撥水性のツルツルとした紙を食べている…そんな感じです。

ハンバーガーと一緒にうっかり包装紙も食べてしまい噛んでしまったあの一瞬が無限に続く。しかもおじいちゃんが手入れをしていたあの懐かしい畑の風味付きで。ある種の思い出の味と言えるかもしれません。

昆虫は食べるもので味が変わるので、もしかしたら卵から成虫まで好きな餌を与えて世話を見れば翅も変わる可能性がありますが、とにかく野生のアゲハは植物の味がします。そして食べても問題は無い(現在食後24時間以上経過していますが、雑菌のなんやらも大丈夫みたいです。良かった)

ついでに脚も味見しましたが無味でした。

翅を食べさせてもらい、貴重な翅の無い背中の資料写真を撮ったところで本体はアリ達にプレゼント。コロナ自粛が無いブラック労働のアリ達は大変そうです。雨季も長かったし。

4.感想・次回したいこと

余韻に浸りつつ次回やりたいことを考えます。
取り敢えず、今度は生食だけでなく調理をして本体も一緒に頂く予定です。大型の蝶を食べたいですね(まず料理の仕方を学ぶ必要があり、捕まえるのも大変そうなので今年できる気はしませんが…)
蝶の翅は美味しいものではないんですが、別段不味いというわけでもなく、むしろ味が薄いのでキノコや野菜が大嫌いな筆者としてはかなり食べ物として食べられる感じがありました。
なにより蝶の翅を手に取って口に入れる瞬間が物凄く満足感あって素晴らしいです。アゲハは片翅だけ食べて残りは持ち帰ったんですが、もう何枚か持ち帰れば良かったなと惜しみながら食べてしまいました。
食にはそこまで関心がないタイプの人間なので、資料として味が分かれば良かったんですが…この楽しさは何度も味わいたくなります。次の機会が待ち遠しい。



帰ってから描いた蝶の翅を食べることになった原因の男とか


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