見出し画像

レザー年表

MOTHER’s DIAMONDのコレクションは完全受注生産です。
ご来店いただきサンプルをご覧ください。
ギフト・プレゼントのみ承っております。

明けましておめでとうございます。
本年も何卒宜しくお願い致します。

今回は皮革の歴史について書いていきたいと思います。
とても長いです。

・100万年前 皮として利用されていました。 
火の使用が始められると煙にマイルドな鞣し効果があることが発見されました。

・50万年前~20万年前 皮革の身に着けていた形跡があります。
肉を掻き下ろし叩き揉み、煙で燻すことで鞣し効果があることが発見されました。

・35,000年前 男は腰巻、女性は革のスカートの着用していた絵が残っています。
寒い地方では上着やズボン、革ベルトの使用していた形跡が残っています。

・紀元前80世紀 これまでの鞣し方に加えて防腐加工、ラードを塗布した後があり、衣服や狩猟道具として用途が拡大しました。世界最古の油鞣しです。

・紀元前50世紀 非常に長持ちする革服を着ていた。
この当時から毛皮や皮革は王の権力の象徴、富裕層のステータスシンボル、ファッションとして重要でした。

・紀元前30世紀 メソポタミア チグリスユーフラテス川、エジプト周辺で鞣し技術や皮革加工技術が発達し、植物のタンニンで鞣しや染料を行うようになりました。植物タンニンでためすと赤くなるため赤鞣しと呼ばれています。

・紀元前30~20世紀 オランダやタクラマカン砂漠から1枚の皮で作られて靴がみつかりました。

・紀元前20世紀 タクラマカン砂漠(新疆ウイグル自治区付近)棺が牛皮で覆われていました。その他の箇所も革で覆われており、魔除けの意味もあったと考えられています。

・紀元前25世紀 エジプトで現存する最古のサンダルがみつかりました。
アルミニウム鞣し(ミョウバン鞣し)=白鞣し 不安定で水洗いすると色落ちします。
鞄、財布、帯、ベルト、本の装飾品、工芸品が作られていた痕跡があります
この後、ヨーロッパに広がっていきます。

・紀元前20世紀 古代ギリシャにプロの鞣し業者の存在が確認されています。
鞣し剤としてミモザの樹皮、クルミ、ザクロの皮、どんぐりなどが使用されていました。この時からミモザは鞣し剤と使われていました。
・紀元前17世紀~10世頃 殷代で甲冑として革が使用された記録があります。

・紀元前10世紀 日本の縄文弥生時代では履物、盾、などに使われていました。

・紀元前8世紀 ギリシャでは牛皮、やぎ、いたちを使用が始まりました。

・紀元前7世紀 ローマ帝国で軍事用皮の重要性が認識されました。

・紀元前6~3世紀 ロシア南シベリアのバジリク古墳では皮革の衣類が発見されており、スキタイ人(現在のクリミア半島付近)や中国大陸で鞍が使用されていました。

・紀元前2世紀 現在のトルコで羊皮紙が開発されました。聖書の写本用に使われていたようです。

・AD1世紀 中国でも羊皮紙が開発されます。

・AD3世紀 エジプト、コプト人が「引っ掻き技法」を開発し、ヤギの革の表面に装飾をつけました。

・AD4世紀 エジプト、アラビア半島で金の装飾を施しました。卵白を接着剤として模様や文字がかかれました。
日本では百済(くだら)の工人が渡来し皮を縫製する技術をつたえました。(日本書紀)
フランスの修道院でラクダの毛皮を身に着けて禁欲修行に勤しんだ。

・AD4世紀末 高麗より革工が渡来、奈良の大和郡山市にすみ革を製造しました。
大型の牛や馬の皮を使用する様になり熟皮高麗とよばれました。

・AD4世紀末 ローマ帝国の皮革の製造技術は高く細工や装飾のある革靴が開発されていました。
ローマ帝国の崩壊とともに皮革製造技術や知識は中央アジアからヨーロッパに全土に広がっていきます。

・AD5世紀 中国で革製の鞍が盛んに作られていました。この時代に中国で作ら鞍の代用品が正倉院に保管されています。

・AD6世紀 日本の古墳時代 北方遊牧民に由来する革袋を模倣した須恵器が見つかっています。当時の革袋は水を入れていたようです。

・AD7世紀 官位の制が出来たため、礼服に革の帯が使われました。ちなみに日本に中国で作られた羊皮紙が渡りましたが以前から紙が普及し日本ではあまりはやりませんでした。和紙の製造に力をいていたためです。
正倉院に保管されている履物の底には牛革が使われていました。当時の雅楽などの娯楽と共に蹴鞠も有名ですが、蹴鞠の鞠は鹿の皮で出来ています。

・AD8世紀 この時代職業ギルドがすでに認められていました。
この頃、西ローマ帝国カール大帝は革手袋をしていた記録がありました。革手袋が権力者の象徴として扱われ、この時代以降、領主や騎士に贈り物として主従関係を緊密にするために使用されていた記録がいくつもあります。
またカワウソやテンの皮革を使い防具として使用していました。
カトリック聖職者の間では祝福の象徴と宗教的な権威を表す意味していました。
赤=修道院長と司教、紫=高位聖職者 黒=司祭、 ミサの時は白と決められていたようです。

北西アフリカに済むイスラム教徒(ムーア人)がスペインを征服しイスラム国家を設立し首都をコルドバとしました。アラビア人がコルドバの業者に染色、塗金の技術を伝えたため革がコルドバ革と呼ばれブランド化されました。植物タンニン鞣しでした。

・AD8世紀中ごろ 中国の羊皮紙がイスラム帝国に伝わりました
720年 日本書紀に革の記述が確認されています。4世紀ごろに大和朝廷で革が製品の一部として使われていると書かれてあります。

・AD9世紀 醍醐天皇が作成を命じた「延喜格式」に宮中で使われた革製品の記載がありました。
中央が地方の特産物を買い取る品目の中に鞣された鹿革があり、馬や牛の革も含まれていました。

・AD11世紀 コルドバ革がヨーロッパに普及し上流階級で重宝された。靴などに使われたようです。
スペインはキリスト教国家に変わったがムーア人は皮革の製造を許された。

・AD12世紀 ギルドがイギリス、ドイツ、フランスで始まります。ギルドとは親方、職人、徒弟の小規模手工業です。

・AD13世紀 羊皮紙がイタリア、フランスに普及,  ギルドがヨーロッパ全土に普及
フランスのギルドではガラスの木枠に鞣しを施した窓を大聖堂に寄贈した記録が残っています。当時はガラスの希少性が高く貴族の持つ施設や王政の公共施設のみ使用されていました。ギルドの地位が高いことが想像できるエピソードです。

・AD14世紀 羊皮紙がドイツに伝わりヨーロッパ全土に普及しました。また革の用途も拡大し様々な道具が作られるようになります。王冠ケース、書類ケース、印章ケースなどです。
また当時、騎士から恋人にキレイに装飾された革のケースまたは革張りの木箱を贈る習慣がありMinnekastchenと呼ばれ、宝石入れとして使用されていました。

・AD14世紀後期イギリスではリチャード2世という王がギルドの規約を定め自らも会員なりました。
イギリスは鞣し技術が高く品質の高い革を製造していました。

・15世紀末 金箔押しの革がヨーロッパの貴族や教会の壁として使用される。

・AD16世紀 フランスのフィリップ2世(敬虔なカトリック信者)によりムーア人は迫害されスペインから追放されスペインの皮革産業は衰退していきました。
この時代ヨーロッパ各地で革製品が大衆にも広がっていきます。様々な種類の革、靴、財布、ベルト、貴婦人や修道者むけの手袋、騎士用の靴などが流通していました。

エリザベス女王1世の時代にイギリスで商人の組合が革の販売会社を設立し、革の販売を開始しました。当時、イギリスの革は世界で1番と言われていました。

1588年 ポルトガル領インド副王が豊臣秀吉に宛の書簡が羊皮紙でした。また
1592年~1620年 朱印船貿易のために作られてアジア、日本の航海図も羊皮紙です。

1603年以降 江戸時代に入ると革製品は武士の間で特権階級として権威の象徴として取り扱われました。同時期に15世紀後半に開発された金箔押しの革がヨーロッパから輸入され、日本では金唐革と呼ばれ日本に輸入される。細かく裁断され小物として作られることや、屏風として使われることもありました。
・AD17世紀 軍事用から一般用に用途が拡大したこともありヨーロッパで需要の拡大に伴い皮の供給が追い付かなくなりアジア、アフリカから輸入するようになりました。かかとのある靴の人気が出てきました。またこの時代から機械化が少しずつ始まります。

モッロコ革の隆盛 16世紀にフィリップ2世に迫害されムーア人の職人がモロッコに渡り山羊の革を使い作られました。コルドバの革の発展版にあたりコルドバより良質な革として取引されるようになりました。

・AD18世紀 ヨーロッパは植民地のアメリカから原皮を輸入していました。

・AD18世紀中ごろ イギリスで産業革命が起きました。

・AD18世紀後半 フランスのギルドが解散 職業選択の自由を国が定めたためです。
また製鉄、建築、造船業の発達とともに最も鞣し剤に使われていたオーク材が手に入らなくなり植物性タンニンの入手が困難になっていきました。様々な鞣し剤が試されるようになります。

・1760年 スコットランドのパースから手袋加工業者がアメリカに渡り現地の産業発展に貢献する。

・1864年 ミモザはオーストラリアから南アフリカに移植され南アフリカは世界最大のミモザエキス供給国となる。

・1867年 パリ皮革製造機械が発表され世界に普及した。(日本は初参加)

・1870年 チェストナットエキス(フランスで発見)、ケプラチョエキス(アルゼンチンで発見)。

・1873年明治6年 ウィーン万博 革製の文庫と姫路革が日本から出展されました。

・1875年 日本に文明開化が起こり西洋のものを率先して取入れる流れが起きます。

・1883年 日本に鹿鳴館が出来ました。

・AD19世紀末 鹿鳴館でパーティーをする際は金唐革で作られた財布などの小物が貴族の婦人の間で使われました。

・20世紀初期 イギリスは世界中から原皮を輸入します。原材料は他国から仕入れ、国内で製品に加工し輸出していました。当時のイギリスの鞣し業者は裕福で資金力があり時間をかけて良質な鞣し革を作ることが出来ました。厚物の革には植物性タンニンが浸透させるために1年以上かかることもあるため資金がないとできない職業でした。

以上が近代までの革の歴史です。
ダイアモンド、ジュエリー、ガラスと昔から共通点があって書いていて勉強になりました。

2024年1月5日
MOTHER’s DIAMOND
BRAND MANAGER

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?