何故、我々はベットやレイズをするのか: No-Limit Hold'em For Advanced Players
最初に
こんにちは、meuです!
普段はSWEとして働いています。
ポーカーは2023年1月にGGの2nl R&Cから始めまして、現在は10nl-25nlで遊んでいます。目下25nlでの勝ち越しが目標です。
ぴーじぇさんにオススメ頂いた"No-Limit Hold 'em For Advanced Players: Emphasis on Tough Games"を読破しました。
中でも重要だと感じた概念・考え方について、まとめていこうと思います。自分の忘備録も兼ねています。
用語の定義
s: スペード, c: クラブ, h:ハート, d:ダイヤ
EQ: エクイティ
何故、我々はベットやレイズをするのか
早速標題についてですが、何故我々はベットやレイズといった行為を行うのでしょうか?
一度ここで考えてみてください!
自分なりの答えは出ましたか?
本書を通じて語られている理由は大きく2つあります:
理由1.は最も基本的な理由だと思います。
相手より強い役ができた時に、より相手からチップを奪いたいのです。
しかし理由2.についてはどうでしょうか?
これは、相手がEQを実現させる前にポットを取りたいのです。
これが一体どういうことか、具体的なシチュエーションで考えてみましょう。
相手のEQを否定する
例として次のシチュエーションを考えます:
6-max cash, ante: none, rake: NL500, ES 200BB
UTG(Hero) vs BB(Villain)
UTG: 2.5BB open
BB: call
flop: 7d5c2c
BB: check
UTG: ?
この時、次のハンドのいずれかを持っているとします。
どれも混合戦略にはなりますが、最も高頻度にベットしたい順番で並べてみてください。
AsAh
As7s
9s9c
GTO Wizardでこのシチュエーションを調べてみます。
調べた結果、
As7s
9s9c
AsAh
となりました。
この意外な結果に、あなたは驚いたかもしれません。
理由について考えてみましょう。
具体的なハンド例
As7s
何故As7sが最も高頻度でベットをするのでしょうか?
純粋に役だけで見ると一番弱いはずですよね。
本書で紹介されていた例ではないので、以下は自分の見解になります:
As7sというハンドはトップペアトップキッカーですが、7-highボードです。
現状は大きいEQを持っていますが、turn/riverで8以上のカードが出て、相手にEQを実現されてしまう可能性があります。つまり、非常にvulnerableなEQです。
vulnerableは「脆い」(=相手に捲られやすい) という意味です
よって、相手にEQを実現されたくないのでベットしたいのです。
その後UTGが 33% pot size のベットをしたと仮定し、この時のBBのアクションを見てみます。
BBはrangeの35.9%でフォールドしています。
フォールドしているハンドの中には「ワンオーバー かつ c無し」一部の「ツーオーバー」が目立ちます。降りてるAXs, AXoもいます。
つまり、flopで 0.33PSB を打つことによって、turnでオーバーカードが出た時にoutdrawされる(=相手に有利なカードを引かれて逆転される) 可能性が大幅に減ります。
これがまさに理由2.「相手のEQを否定する」の一例になります。
9s9c, AsAh
基本的に、理由1. と 理由2. の両方を満たすハンドをベット rangeに優先的に加えていきます。
そのためAA, KK, QQのベット頻度よりも、JJ, TT, 99のベット頻度のほうが高いです。
より高いEV (同様により高いEQ) を持つAAはチェック頻度が高く、特にAcを持っていなければ7割はチェック rangeに入っています。
ここでも同様に、相手のEQを否定したいという動機の強いハンドが、よりベット頻度が高くなっていることが分かると思います。
常にEQを否定すべきか?
結論から言うと、常に否定すれば良い訳ではありません。
銀の弾丸ではないようです。
しかし自分がvulnerableなEQの高いハンドをチェックコールで回してしまうと、例えflop時点で勝っていたとしても、turn/riverでoutdrawされてフォールドすることになるかもしれません。
何故チェックコールするのでしょうか?
本書で紹介されたシチュエーションを見てみましょう。
6-max cash, ante: none, rake: NL500(不明なので仮), ES 100BB
UTG(Hero) vs BB(Villain)
UTG: TsTc 2.0BB open
BB: 3 bet
UTG: call
flop: QsJhTd
BB: 40% pot size bet
UTG: ?
UTGは 50% pot size raise か call どちらを選ぶでしょうか?
このシチュエーションではレイズもコールもありそうな状況ですが、本書の著者はレイズよりもコールを推しています。
turn/riverで最悪なカードが出て渋々フォールドすることはよくあると思いますが、むしろ落ちてくれて幸運である場合があるということですね。
BBが3Betしているので、ナッツストレートになるAKは相手のレンジにあります。また、トップセットのQQや低頻度でJJ, 98s等も相手のレンジにあります。これらのハンドに対してはTTのセットはbehindになっています。
アウツがあるとしても、既にbehindになっている場合、スタックしてしまうと悲惨な結果になってしまいます。セットオーバーセットなら1アウツです。
GTO Wizardでも似たスポットを調べてみます、40% pot sizeはあまり使わなかったので、20%で調べてみました。
混合戦略ではありますが、全体的に頻度としてはレイズよりコールが多いです。
混合戦略なので、レイズもコールもEVは差がなさそうです。
レイズは強いハンド(AK, QQ, JJ, TT)と、valueのブロッカーを抑えたAA, AXs, KXs、range下限に当たる99などが含まれます。
88辺りから頻度でフォールドしています。
参考までに、breakdownとrangesを貼っておきます。
以上まとめます。
結論
我々がベット・レイズする理由は、
1. 自分が勝った時のポットを大きくするため
2. 相手のEQを否定して実現させないため
これら両方を満たすハンドは高頻度にベット・レイズしたい。
ただし、例外も存在する。例えばwet boardなど、ボードテクスチャ次第では高頻度でベット・レイズしないことが良い場合がある。
最悪なturn/riverカードが出ることで相手からバリューを取り逃したり、相手に逆転される可能性はありますが、逆に最悪なturn/riverカードが出たおかげで、自分がスタックされなくて良かったと考えることができる。
最後に
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
今回は、本書を通じて最も大事に語られている概念について紹介しました。
まだ翻訳しながら一読しただけで、まとめきれていない部分が多いのですが、その他の考え方・概念も紹介していければと思います。
続編も執筆しようと考えていますので、もし内容が良かったという方はサポート頂けると嬉しいです!
この行以下は何も書いてないです。
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