ミーマーになる

ミーマーという単語を耳にしたことがありますか?かなりの確率でないと思います。ミーマーになってしまった私でさえ信じられない状況です。30代後半のいい大人が、働きもせずにのうのうとこんなことをやっていていいのかとも思うですが、仕方がありません。楽しんでやっているので後悔はないです。

今さっきウェブでミーマーを検索してもでてきませんでした。検索エンジンでスタートーページを使っているので、それが原因かもしれません。いい検索結果がでてこないのは百も承知ですが、プライバシーを死守するために断腸の思いで使い続けています。

すると、私が日本で一番最初にミーマーになった人間である可能性が高いです。中学生の頃に、池袋ウエストゲートパークが放送されていて、チーマーに憧れ、友人と三人でオレンジジャーなるチームを作りました。ドレスコードはオレンジ。橙色以外は着ない。チーマーとしての活動は、オレンジ(果物)に顔を描いたあまりかっこよくないロゴを作り、学校の授業中にノートに書いて練習のみ。そんな恥ずかしいことは長く続かず、一週間ぐらいで自然消滅。隣街のチーマーと抗争することなく、平和な十代を過ごしました。

ミーマーとはミームを作る人間のことを指します。それでは、ミームとは何かと言うことを簡単に説明すると、ウェブ上に溢れる写真に言葉をつけ、それを見る人々をハッピーにする行動と勝手に定義します。文章で何かを伝えようとすると、伝わりにくい部分を写真でもって補う感じです。

牛を今まで一度も見たことのない人に、だらだらと、あのさー、牛はさ、哺乳類でね、メス牛のおっぱいからは白い牛乳が出るんだよと説明するよりも、牛の写真を見せたほうが、牛の迫力が伝わります。

想像力の強い人は、その写真に写る勇ましい牛さんの雄姿を目に焼き付けて、あーやっぱり牛はかっこいいと、目を閉じるたびに牛から生きる力:精気を養ってもらったり、行動力が高くて、牛に心を完全なまでに持っていかれた人は、あーもーぅ、本物の牛が見たくてどうしようもなくなり、四六時中ウシのことばかり考えて、ついには上司から、おい牛島、どうしたんだ?最近ちょっとなんかおかしいぞ?相談に乗るから今日ちょっと一杯どう?そして、熱い胸中を信頼できる上司に涙ながらに打ち明け、よーし、それなら応援するから行って来いよ。部長にはうまく俺から話しておくから。そして牛島はついに有給を使い、憧れの牛を探す旅に出て行ってしまうかもしれません。それほどの力を写真:ミームは秘めています。

子どもの頃に新聞を読んで一番面白かったのは四コマ漫画。ミームも四コマに似ています。それを見るだけで、全てを理解できたような気がしました。新聞が21世紀になってなおも長々と存在する理由はまさに、四コマ漫画を掲載するためにあるためだけに存在するといっても過言ではありません。もしくは、窓についた手油を拭くためか、湿った靴を乾かす、テルテル坊主の頭に詰める、焼き芋をくるむ、はりせんを作る時、雪合戦の代わりに、新聞紙を丸めてそれを投げる新聞紙合戦をするなどなど、確かに役にはたちますが、はっきり言えば資源の無駄です。環境保全家の方々の怒りは頂点に達し、新聞愛読者達との戦闘は避けられそうにもないです。

現代社会に生きる我々には時間がありません。だらだらと無意味に長い時間をかけて、米粒より小さい文字を読んだり、けばけばしく発光する画面を見つめ続け貴重な時間を浪費するよりも、パッパッとミームを見た方が断然お得。首も痛くならないし、現代疾患のスマホ中毒から脱却できます。空いた時間は、外に出て散歩でもしてください。渾然広がる大空を見つめながら歩けば、運命の人に邂逅できるかもしれません。


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