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『どうする家康』第4回が『エヴァンゲリオン』だった件

※注意
この記事はNHKの大河ドラマ『どうする家康』及びアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のネタバレを含みます。
また、両作品に関して独自の解釈と思われる可能性があります。
ご了承の上、拝読してくださるようよろしくお願い申し上げる所存うんぬんかんぬん









◇『どうする家康』は大丈夫か?

『どうする家康』の第一話の感想は「なんじゃこりゃ」であった。

岡田さん演じる信長が真っ赤な服を着て「白兎」と耳元でささやいている。これが信長……?
登場人物全員が、どういう動機で、なぜそのような行動に至るのか、サッパリワカラナイ。

ごめんなさい。ネガティブな感想から入ってしまって。


しかし、『どうする家康』の第4回の放送を見て、私の中ではドラマの続きが一気に楽しみになった。ようやく私の中で、話というか、登場人物の個性が固まってきた。
第1回から第3回は、固まっていないまま見てたので、「よくわかんねぇな」と感じてしまったのだろう。
おそらく、今年の12月ごろ最後まで見終わって、ここ初回~第3回の部分を見ると楽しめるのだろう。
長編物はたいていそうである。



さて、記事の主題にあるように、『どうする家康』と『エヴァンゲリオン』になんの関係があるのだろうか。

おそらくなんも関係ない。
ないのだが、自分が『どうする家康』の第4回を『エヴァンゲリオン』というツールを使って解釈すると、割と頭の中が整理できた気がするので、文字に起こしてみたいと思った。



◇妄想のきっかけとなる、色のデザイン


大河の第4回を見てエヴァっぽいなと最初に思ったのは、「赤」と「青」の対比である。

織田信長が若かりし頃の私服は「赤」
一方、今川家の当主の私服は「青」

なるほど、信長がわけわからん赤い服着て相撲をとっていたのは、この対比をわかりやすくするためのデザインか!とか感じた。知らんけど。

そして、弱気な主人公・家康はどちらに味方をするかで揺れる。

あれ?赤と青の間で揺れる主人公…?

そう、これは『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 』そのものではないか。

エヴァQからは赤の「ネルフ(NERV)」と青の「ヴィレ(WILLE)」の対立が描かれている。
そして主人公の碇シンジがどちらを味方に引き込むかで、ネルフとヴィレの思惑が錯綜しあう。

そういう意味で両者は共通しているな、と思ったのが妄想のきっかけである。

2つの組織の対立と板挟みにあう主人公という単純な構造では物語は面白くならない。そこに、様々な立場のキャラクターが存在するからこそ、物語は面白い。

では、現段階で『どうする家康』に出てくる主要キャラクターを、無理やりエヴァのキャラクターに当てはめて、キャラクター同士の関係性を分析してみよう。


1.徳川家康=碇シンジ

物語の主人公だ。
弱気で自分で決定する力がなく、重要な決断をなかなかできないで迷ってしまう。だが、立場上自分が判断せねばならず、その判断は多くの人に影響を与えてしまう。

弱気な一方、人を大切にする心があり、誰かを助けたいという気持ちでなら、精神を削りながらもなんとか頑張れる。

テーマカラーは、家康は一応「金色」としておこう。
普段着は「青」っぽい印象だが、戦に来ていく鎧は「金色」だ。

織田が「赤」・今川が「青」とくれば、3つ目の色は何か。
色の三原色的には「黄色」であろう。
しかしそこは「神の君」とも呼ばれている家康である。ひとつ豪勢に「金色」になっているのは主人公にふさわしい。

一方シンジのテーマカラーは「紫」だ。
初号機の色である。
ネルフの「赤」とヴィレの「青」。
赤と青を混ぜると紫である。この構造もよくできているし、紫も高貴な色のイメージがある。

両者の性格、および赤と青に対するテーマカラーの設定には共通する部分が多い。

エヴァはシンジの成長の物語だ。
徳川家康の成長もぜひ見守りたい。物語序盤は「こんなやつが主人公かよ」とフラストレーションがたまる部分もある。しかし、物語が進むにつれて成長した主人公を見ると、物語序盤のたよりない主人公もまた違ったふうに見れるだろう。


2.織田信長=ゲンドウ

徳川シンジは「赤」と「青」の間で揺れ動くが、「赤」の君主たる存在である。

徳川シンジが恐れおののく存在である。
…と見せかけて、徳川シンジが尊敬する存在であり、仲良くなりたい存在で
もあり、でもわかりあえない存在でもある、という複雑な関係性である……気がする。

織田軍を赤とするなら、ゲンドウ率いるネルフも赤である。

織田ゲンドウは目的のために手段を選ばない。
一見すると、とても残酷なことをしているし、実際残酷である。
しかし、組織の君主たる織田ゲンドウの本質は残酷性ではないことを見抜くものは少ない。そもそも何を目的として行動しているのか、その情報は視聴者には最初から提示されない。

織田ゲンドウは徳川シンジをとても大切に思っている。
半面、目的のために手段を選ばないリアリスト故、徳川シンジを駒のように扱う。
目的のための駒の一つでしかないのだけど、徳川シンジの成長をどこかで願っちゃってるっていう不器用な部分が、人間として魅力的かもしれない。


3.今川氏真=赤木リツコ?

徳川シンジは「赤」と「青」の間で揺れ動くが、「青」の君主たる存在である。

ここの当てはめ方は難しい。
氏真は今のところクズ野郎っぽく描かれているが、それに当てはまる適任者がヴィレ側にいない。申し訳ないが、とりあえず私にとって一番思い入れのないキャラにとりあえず氏真を背負ってもらおう。

ヴィレの君主はミサトなので。氏真のポジションにはミサトを当てはめたい。
シンジが敬っている存在がミサトであるなら、家康が敬う存在は今川義元のほうだろう。『どうする家康』のホームページを見ると、今川義元の説明が「家康を乱世へと導いた男」となっている。シンジを物語に引き込んだのはミサトだ。ミサトは氏真とはリンクしにくい。

義元の後継者が氏真であるならば、ミサトの後継者となりえるヴィレの2番手はリツコになってしまう。
新劇場版ではリツコのキャラクターまで十分に描かれなかったが、TVアニメ版のリツコはちょっと腹黒い描写もあった。しかし、シンジへの強いライバル心というものは見受けられない。どちらかというとゲンドウに対するこだわりが強かった。しかし、氏真が信長に執着している印象はない。

どちらかというと、氏真は家康に嫉妬狂っている印象がある。
シンジ相手にムキになるキャラといえばアスカだ。だが、個人的にアスカ推しなので、性格がひんまがった氏真のポジションにアスカをはめ込むのも気が引けるし、アスカは青側のリーダー各とは言い難い。

総じて、今川氏真はミサトとリツコとアスカの中間の存在ぐらいだろうか。

今川方が人質をとって家康を引き込もうとしている構図は、シンジにチョーカーをはめたことや、後述するポカ波の存在に類似する部分がある。


4.瀬名=綾波レイ(ポカ波)

弱気な主人公がちっぽけな勇気を奮い起こす、その核になりえる存在。

家康の行動理由として瀬名の存在は大きい。
何なら、瀬名への愛ゆえに、力を持つことに決めたともいえるのが第4回の話であった。ようやく家康が主人公らしくなりはじめたといえる。

シンジもエヴァQでの当初の行動理由は、破で助けた綾波レイ(ファンの間ではポカ波と呼ばれる個体)との再会であったと感じる。

そして瀬名レイは青軍の今川ヴィレに利用されているという構図だ。

シンジはポカ波がヴィレのヴンダー内に綾波が取り込まれているという事実は……あれ?どこで知ったんだっけ?まぁ、確かシンジ視点ではポカ波がどこにいるのかよくわからなくなっていた気がする。
徳川シンジが瀬名レイの居場所を把握しているかどうかによって、ストーリーに分岐がうまれている。

時系列が前後するが、破でポカ波を助けるために覚醒するところとかが、第5回(次回)の瀬名を救出する話ともリンクしてくるだろう。

余談だが、
瀬名のような純粋な性格であるヒロインという存在にに当てはまるエヴァのキャラクターは霧島マナとかだろうか。


5.お市=渚カヲル

徳川シンジを鼓舞する存在となるポジションだ。

お市カヲルは織田ゲンドウに利用されている部分があり、お市カヲルもそのことを理解し受け入れている。しかし、完全に織田ゲンドウに染められることはなく、本当の自分を探している。賢くて性格もよいが、生まれついた環境ゆえに、自分の思うままに生きることを許されない。

徳川シンジと出会い、徳川シンジのことを親身になって考える。そして、その思いを実現させるためには力が必要であると説き、行動を促す。お市カヲルはあくまでも織田ゲンドウの下についている存在である。にもかかわらず、主人公のために行動する。

殺伐とした織田ヴィレ軍へやってきて憔悴していた主人公にとって、癒しの存在で、メインヒロインとはなりえないが、しかしだからこそ二人の特殊な関係性に胸を打たれる人もいるであろう。「エモい」に近い感情か?




6.豊臣秀吉(木下藤吉郎)=冬月コウゾウ

織田ゲンドウを支える存在であり、徳川シンジを支えてくれる優しい存在。しかし思想は完全に織田ゲンドウ側なので、その優しさは完全に徳川シンジのことを思ってのものではないかもしれない。

織田ゲンドウの意志を引き継ぎ、将来的には敵対関係となる。

7.三河=第三村

主人公にとって少しずつ大切な存在となる、守るべき人々。

なぜか、徳川シンジにみんな優しく接してくれる。しかし、徳川シンジはそこで過ごした時間は短く、思い入れは薄い。
しかし、自分の力で守ることができる多くの人々がいることを知り、これも徳川シンジを後押ししてくれる存在になるであろう。


◇エヴァを使って分析した『どうする家康』


ここまでちょっとこじつけの部分もあったかもしれないが、だいたい一致していたのではなかろうか。

第4回で、自分の中では信長と氏真のキャラクターが明確になってきたし、それに付随して他のキャラクターの魅力も固まってきたので、今後ドラマを見るうえでの土台ができた気がする。

今後の『どうする家康』のストーリーだが、まぁ織田信長は死に、秀吉と家康がなんかぶつかったりするのかなぁとかそんな感じであろう。
エヴァでいうなら、序盤でゲンドウが死に、その意志を受け継ぐのは冬月かシンジかという展開だ。これはこれで面白そうなストーリーだ。

今回はそれぞれの作品のキャラクターを当てはめていったが、
『エヴァ』に関しては物語終盤での関係性であることに対して、
『どうする家康』に関してはまだ物語序盤の関係性であるということだ。

家康の物語はまだ始まったばかりで、今回のキャラの対応もすぐに役に立たなくなるだろう。あくまで『どうする家康』の第4回(くらい)の人物相関を解釈するためにエヴァを使ったにすぎない。

『どうする家康』の史実上のストーリーはもうできている。彼らはその運命にあらがえない。我々の知っている史実上の出来事に出会うとき、彼らの気持ちはどのように動き、どのようにお互いの関係性が変化し化学反応をおこしていくのか、非常に楽しみである。


◇大河を使って分析した『エヴァンゲリオン』

今回の分析で出てこなかったエヴァの主要キャラがいる。
マリだ。
マリは新劇場版から登場したキャラクターだが、ヴィレ側につきながらも己の野望も持っている、いわば「第四勢力」だ。この第四勢力の存在により物語はより複雑化し、先の読めないストーリーとなった。
無理やり大河に落とし込むなら武田信玄のポジションか。

個人的には推しのアスカが氏真の3分の1になってしまったのが心苦しい。
しかし、新劇場版でアスカのポジションが旧劇よりも微妙になってしまったのも、大河を分析するとうなずける。
二大勢力の戦いと、その中でも織田ゲンドウと徳川シンジの関係性のにスポットが当たっている。メインヒロインでない存在はキーパーソンになりにくい。

旧劇は、シンジの成長そのものにスポットが当たり、ゲンドウとの関係性は最終的には描かれなかった。むしろ、シンジの心の成長に寄与したヒロインが物語の最後まで生き残った。それがアスカであり、私がアスカに今でも心を惹かれる所以だ。

『どうする家康』もある意味旧劇的な終わりに向かうかもしれない。
家康は、本当は殿様なんかならず、瀬名と二人でゆっくり暮らすことを願っていたようだった。これが物語の最後まで効いてくるのだろうか。
乱世を制した家康だったが、家康が本当に欲していたのは、自分を受け入れてくれるヒロインであった……という終わり方、悪くない。

旧劇で弱虫なシンジの隣にいたのはアスカであった。
弱虫な家康の隣に最後にいるヒロインは誰であろうか。楽しみだ。


あれ?エヴァ語るつもりが大河語っちゃったな。まぁええか。


今回はそんな感じで。













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