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葬送のフリーレンはデンケン推し

昨年末、なんとなくPrime Videoで見始めた『葬送のフリーレン』という作品が面白くて、サンデーうぇぶりで追いかけたり、単行本を買ったりしているところです。

単行本をリアルタイムで買うほどハマるのは多分NARUTO以来かもしれない。文豪ストレイドッグスも一時期買って読んでいたが、なんとなく離脱してしまい手放した(文豪を元にしたキャラクターよりも、本物の文豪のほうが好きだったというのが大きいかも)。

『葬送のフリーレン』をざっくり説明すると、かつて勇者たちと魔王を倒した長生きの魔法使いの女の子が、普通に寿命80年くらいの我々人間と交流しつつ、人間食って生きてる怪物から人間たちを守りながら、あんなことやこんなことがあったなぁ〜と思い出をたどる旅をする物語です。

この作品の好きなところは、何といっても淡々と物語が進んでいく空気感ですね。時間の流れ、人との関わり方、感情表現など、在るがままの様子が描かれています。アニメだとBGMの音楽も無印良品みたいな感じで(何というジャンルなのか分からない)お洒落でとても良い。王道の少年漫画みたいに「オレはオメェをぜってー許さねェエエエエ!!!!!」みたいな激情シーンはあんまり無い。静かに討ちます。

登場するキャラクターも皆魅力的です。皆、過去に色々あって何かを抱えたまま生きてきた、という様子が淡々と示唆されます。旅の途中で出会う人たちもそれぞれ何か事情があって、しかし寄り添うわけでなくただ事実として、時々手助けをしながら旅を続けます。

旅の途中、色々な事情で主人公たちは「一級魔法使い」という資格が必要になり、試験に参加することになるわけですが、魔法試験にはたくさんの魔法使いが参加しており、魅力的なキャラクターがたくさん登場します。その中に、私の推しであるデンケンという名の老魔法使いが参加しています。

今回は私の最推しであるデンケン様について好き勝手書こうと思います。

(※ストーリーに触れる部分がありますので、アニメ派の方、これから手に取る方はネタバレにご注意ください※)












私の推しであるデンケン(当初2級)は宮廷に使える魔法使いで、国をも動かす権力を持ちながら1級を取得していなかったらしく、序盤から注目を集めている描写があります。この辺が個人的にはちょっと疑問だったけどね。現代で言うと皇居で天皇陛下に仕える立場だろうか。それ2級でええのか?まぁデンケン様のことだろうから何か色々考えがあったのかもしれない。

デンケンは「血みどろの勢力争いに勝ち抜いてきた」という実力や背景を作中で何度か強調されており、まるで要注意人物のような描かれ方をしていた。その当初の様子と、実際の活躍のギャップが、私のデンケン様萌えの始まりでありました。

あれだけ周囲から「あのジジイ多分やべぇぞ」「姿を表した裏ボス」「権力者の気まぐれ」みたいな言われようだったのに、試験中は仲間の能力を活かしつつ堂々とフリーレンに立ちはだかり、ボッコボコにされても諦めずに、最後は殴り合いで一次試験を勝ち上がった。魔法試験に拳で殴り合い。「腹を括れ。男だろうが。」そう言いながら服を脱ぎ捨てる覚悟がめちゃくちゃ格好良かった。この記事の序盤で「少年マンガみたいなシーンはあんまりない」って言っちゃったけど完全に少年ジャンプだ。

二次試験では唯一、スタートの時点から全員の協力を訴え、その根底にはお互いを利用し合う意図があったとしても合理的であったし、脱落する受験者の姿に心を痛める描写もあった。あの時デンケンに耳を傾ける参加者の少なさに個人的にはがっかりした。あんたら何デンケン様無視しとんのよ。私なら絶対飛びつくけど。

試験が終わった後も、落ちた受験者を気遣ったり、ドーナツを買ってあげたり、お菓子を買ってあげたり、ご飯をご馳走したりと、なんか普通に面倒見のよさを発揮している。食事は楽しもう、やることないし金の使い道もないし、と言って、試験で出会った受験者たちとそれなりに楽しく過ごしていた。最高だ。ただただ優しいし、時間を楽しむ方法を知っている。労わる気持ち、慈しむ気持ちもある。現代のろくでもねぇ老害議員とは大違いだよ(問題発言)

さて、試験も終わってしばらくした後、いよいよデンケン様が主人公となる『黄金郷のマハト編』がはじまる。

デンケンの故郷は魔族マハトの呪いにより黄金に変えられてしまっており、その範囲は徐々に広がっていて危険なため1級魔法使いの資格を持たなければ周辺地域にすら近付くことができなかった。若くして亡くなった妻の墓参りに行く、そのためだけにデンケンは1級魔法使いの資格を取得し、1級取得の特権として呪いを跳ね返す魔法も与えられ、淡々と準備していた。

戦いのなかでデンケンは若い頃の記憶が何度も蘇り、その中ではいつも最愛の妻が笑いかけている。病弱で死と隣合わせだった妻を守るためのお金や権力、それだけのために頑張ってきたのに、デンケンが勲章を授与されたそのとき、妻は亡くなってしまった。
それから故郷に帰れない気持ちになってしまったこと、記憶のなかの妻や墓前だけでは自らを「儂(わし)」ではなく「俺」と呼ぶこと。黄金に変えられてしまった故郷に妻の姿を思い浮かべること。ひとつの変わらない愛によってここまで孤独に生きてきたこと。そういうものを背負ってデンケンは戦い、故郷を取り戻し、妻の墓前で優しく笑う。随分昔に死んだ妻を未だに想っているからこそ、無意識に心のどこかで淡々とマハトを討つ準備をしてここまで強くなったのではないかとも思う。

涙腺が崩壊する。

あと…これだけ良いところを紹介してから言うとアレだけど、単純に三白眼の人が好きなんだよね。若い頃のデンケン様、憂いを帯びてるし三白眼だし最高。髪を後ろで結んでるのもいい。長髪好きなわけじゃないけど、「なんか忙しくて髪切る余裕もないしべつにいいか」みたいな感じで結んでるところがいい。奥さまも好きになるよ〜。奥さまも可愛いし。

というかデンケンと奥さまって元々親戚なんだよね。奥さまの父上がデンケンのこと「親戚の子ども」って言ってたから。奥さまの父上が権力者で屋敷に住んでたけど、デンケンの故郷はもうちょっと離れてたので、何となく親同士が兄弟(あるいは兄妹とか姉弟)で跡継ぎなどで妻の父上が都市に出たのではないだろうか。というわけでデンケンと奥さまは従兄弟だったのかなと勝手に推測している。従兄弟同士で結婚する文化があると遺伝子が近いからか身体が弱い子どもが産まれることがあるとか聞くよね。でも従兄弟だったら「妹の子ども」とか言うかな。「親戚の子ども」という言葉の距離感だと、はとこあたりが妥当かもしれないね。
まぁ全部想像ですけど。

黄金郷はいろんなしがらみとか、人が生きていく難しさみたいなものも絡んでくるのだが、デンケンの一途な愛情と墓前での笑顔は、影の歴史のすべて何の価値もなかったのではないかと思うくらいに尊いものだった。

もうちょっと色々書きたいけど、細かく説明して積極的にネタバレしたいわけでもないし、これくらいにしておきます。デンケンさま最推しですが、私がただの老け専ってわけじゃないこと、みんなもきっとデンケンが好きになるということが伝われば嬉しいです。


(追記)
ユーベルとヴィアベルも好きです。
三白眼だから。

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