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ゆめ 2023.11.23

・誰かが車で迎えに来る。知らない男性。細身で無精髭が生えている。白い車に乗っている。
「お願いします」と挨拶して助手席に乗る。男性は何も答えない。
国道を南へ向かう。夜遅い時間のようで外は真っ暗だったが、目的地に近づくと昼になる。父方の祖母の家に行くようだった。あー何かきっと面倒事だ。土地の相続放棄の件か、米寿か何かを私が企画しないといけなくて呼ばれたか…
祖母の家に近づく。最後の信号待ちのとき、あろうことか便を漏らしてしまう。人の車なのに。バレないように片付けないと、と慌てて、「すみません、そこの民家で大丈夫です」と、国道左手にある民家に入ってもらう。
民家の庭には大型犬が2〜3匹飼われていて、犬嫌いの私は、失敗したな…と車から降りられない。
民家からおじいさんが出てきて「何ですか?何事?」と驚くので、「あっごめんなさい…ちょっと道を間違えたかな〜…へへ、すぐ出ていきますね」と誤魔化しながら、漏らした便をティッシュで片付ける。
運転手の男性に「ごめんなさい…うんち漏らしちゃって…」と謝ると、「いいよ、適当に片付けてくれれば」と言われる。
よく見ると助手席は便座になっていて、ちょっとウォシュレットを汚しただけだったので、トイレットペーパーで拭き取り、ドアノブの横についていたレバーをひいてジャーッと流した。流れた便は車のマフラーから外に排出される仕組みだった。道路や後続車は大丈夫だろうか。
そこから歩いて祖母の家に向かう。すぐそこだった。到着すると既に親族がみんな揃っていた。「送ってきてもらったの?」と聞かれて、そうだよ、車の中でうんち漏らしちゃったよ、でも下痢だったから大丈夫だったよ。と報告した。

・ホームセンターにいる。夫や両親はどこか別のコーナーにいる。ふらふらしていると元彼Yに遭遇する。私は「あっ」と叫んで腰を抜かし、尻もちをついてしまう。Yは一瞬躊躇い、ため息をつくように笑って「ほら」と私に手を差し、引っ張り起こす。
そのままなんとなく離さず手を繋いだまま歩く。家族に見られたら困ると思ったが離さない。「ずっと会いたかったんだよね」と会話する。「もう昔には戻れないけどね…今何してるの?」とYに聞くと「BBQにハマってるから、ここにも肉焼きにきた」と言う。ホームセンターの一角がBBQスペースになっていた。
「よかったら食べていきなよ」とYは料理を始める。周りは満席で、会いてる七輪に肉を乗せる。隣には両親がいる。うわっ気まずいなと思うけど無視した。
母が「あんたたちのこと無理に別れさせて、早く結婚させたから…」と隣で言う。「仕方あんめ。さっさと出てってもらわねーとダメだっぺがら」と父が言う。両親にとって私は何だったんだろう、と思いながら、Yが焼く肉を眺めている。オリーブオイルを軽く塗ったステーキだった。この人はいつも、私が好きそうな食べ物を練習して作ってくれたな、とぼんやり考える。
食べ終わると2人で香水コーナーに移動する。向こうの棚までいっぱいに香水やコスメが並んでいる。ホームセンターとは思えない品揃えにわくわくする。ANNA SUIに懐かしくなったり、廃盤したVivienne Westwoodを見つけて2人で大喜びした。唇に塗るタイプの香水があって、凄いねこれ!と言うと、Yはそれを買って、「いま俺の前だけで塗ってみてよ」とプレゼントしてくれた。どういう意味だろう、と思いながら受け取り、塗ってみる。苦い味がした。

・学校の教室にいる。高校だろうか。次こそは失敗しないと心に決める。
(夢の中では度々、高校に2度通ったことになっている。高校時代不登校になったので人生やり直すために再び入学したことになっている)
おーい、と友達が呼んでいる。高校時代仲良かった友達Sだった。卒業して仲違いしてしまった。私の未熟さ故だった。でもきっとこの頃から私に我慢していた。それを分かってしまっていた。
「今日は予定あるから、別で帰ろうね。ちーちゃん達と帰るのかな?」
やんわり距離を置く。Sは「じゃあまた」と去っていく。これで良かったんだ。私は机の中の教科書やノートをかばんに詰める。自宅で予習復習がしたいと思った。今回の高校生活はうまく行きそうだと思った。
廊下に出て、他のクラスの様子も眺める。階段を飛び降りてみたりする。ひと通り歩いて教室に戻ると、テレビがついていて、スウェーデンの子どもたちが雪の上で、クワトロ・フォルマッジピザに蜂蜜をかけて夢中で食べている映像が流れていた。蜂蜜に大喜びする姿が子ぐまのようで可愛かった。手袋が蜂蜜でべたべたになって、子どもたちの父親が「なんてことだ!ママが怒るぞ!」と言いながら子どもを抱えて運んでいく。
私もそろそろ帰ろうと思った。鞄を持って立ち上がり玄関に向かう。友達Sが他の友達と靴を履き替えているところだった。少し何か話したが、邪魔にならないように別のところで履き替えた。私の靴は買ったばかりでタグがついたままだった。恥ずかしくてこっそりタグをちぎった。

校庭では色々な部活動が行われていて活気に満ちていた。同級生の男友達Aが野球部にいる。
「おす!野球部に呼ばれちゃってよぉ」
「野球できるの?バスケしかできないと思った」
「おめーふざけんなよ?俺何でも出来っかんな?見てろよオメー」
そう言うとAはバッティング練習の打席に立ち、先輩が投げたボールをカーン!と見事に打ち上げた。美しいホームランだったが、ボールが飛んで行った方向には公立の幼稚園があるので、園児たちが心配になった。
野球部なら元彼のYもいるかな、と辺りを見回して探す。いた。控えにいる。やっぱりヘルニアが悪化して全盛期のように動けないのかもしれない。もうピッチャーとして投げられないのかもしれないし、独特な構えの美しいバッティングも見られないのだろうか。私は彼のバットの構え方が好きだった。若き日のオビワン・ケノービのような構え方をする。
「お〜い!」とYに手を振ってみる。はじめはニカッ、と笑うだけだったが、私があんまりしつこく手を振るから、くくくっ、と笑って「誰に向かって手振ってんだよ」とこちらに来た。
「バット振らないの?あんな綺麗に打てるのに」
「俺はもう教える側なんだよ。さっきAがホームラン見せつけてたじゃん。あれでいいじゃん」
「見てたんじゃん!妬いてるじゃん!」
変わらないな、と思う。元彼Yは男友達Aが嫌いだった…というか多分、勝手にライバル視していた感じがある。
「まだ部活やってくの?」
「やってくよ。最後まで。やっぱり野球、好きだからね。打てなくなっても」
Yは病気が悪化して左腕が上がらなくなってしまった。分かっててバットを振らないのか質問した自分が嫌なやつに思う。確認したかっただけだった。きっと打席に立てば、女子達がきゃあきゃあと見物に来るだろう。Yは学年で一番モテた。だから控えに留まっている姿に安心している自分もいて、ますます嫌になった。
「明日は一緒に帰ろう」そう言いながら別れたが、なんとなく叶わないことはわかっている。

「見てたよ〜!もっさり、Yのこと大好きじゃん」
同級生のKがいつの間にか隣にいる。彼女は同じ部活だった。小学生の頃は仲良しだった。卒業してものすごく綺麗になった。頭が良くてスポーツもできた。今、彼女のインスタではブランド品の写真やキラキラしたネイルを更新している。
うわー!Kちゃん!久しぶりだ!会いたかった!一緒に帰ろうよ!と誘う。家の方向が一緒だった。
「最近どうしてる?」
「酒ばっかり飲んでるよ」
「私も!毎日ワイン飲んでる」
「一緒じゃん!ワインしか勝たん!てかここまだ学校なんですけど!どんな話題だよ」
校舎の給食パントリーがあった場所が、なぜか鮎の塩焼きや団子、魚の干物が売られているお店になっている。香ばしい匂いがする。
「うわー食べたくなる!でもダイエット中だから!無視無視」
「Kちゃん細いじゃん…てか見てよ、干物、めっちゃ外に干してるじゃん。あれで美味しくなるの?真似できるかな?朝に干しときゃ、夜ご飯に食べられるってこと?すごい楽なんだけど」
校舎の隅に、魚や団子など、いろいろな食べ物が干してあった。ここからも芳しい香りがする。
「やめときな〜…ちゃんと管理しないと雑菌こわいよ…」
「だよねー」
さすがKちゃんだなと思う。
話しているうちに校門を出て、十字路に着いた。Kちゃんはそこをまっすぐ行くようで、おや?と思う。前は右に曲がってたような…。そうか、新しい道路が出来たから、通学路も変わったんだ。私も左に曲がらず、まっすぐ行くことになったんだ。
「帰ったら、酒飲もうかな」
「だよね。ワインは何が好きなの?」
「あー…私は360円の安いやつずっと飲んでるよ」
「やっす!!!あははは!!!」
「Kちゃんは、ちゃんとしたやつ飲んでそう」
「全然。ウイスキーのロックだよ」
「さっきワインって言ったのに!」
下校しながら酒の話ってどうなんだろうと思いながらも、笑いが止まらない。
会えなくなっていた昔の友達との時間とか、もう会えなくなってしまった元彼Yとの時間とか、そういうものを噛み締めていた。

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