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【シチュボ】モノラル音声のバイノーラル化について

簡潔に書けるよう頑張りましたが長くなってしまったので結論から……

  1. シチュエーションボイスの主流はバイノーラルです。

  2. でもバイノーラルマイク収録はコスト的にも技術的にも大変です。

  3. モノラルマイクで宅録して、バイノーラルシチュボ作品を作れます。

  4. 『これからシチュボ頑張っていきたい!』という声優様の自主サークルなどに適したサービスだと思いますので、良かったらお問合せ下さい。

※専門知識の無い方向けに書いている為、一部用語の定義/使い方などが微妙ですがご了承ください。

バイノーラル音声とは

バイノーラル録音(バイノーラルろくおん、英語: Binaural recording)とはステレオ録音方式の一つで、人間の頭部や、その音響効果を再現するダミー・ヘッドやシミュレータなどを利用して、鼓膜に届く状態で音を記録することで、ステレオ・ヘッドフォンやステレオ・イヤフォン等で聴取すると、あたかもその場に居合わせたかのような臨場感を再現できる、という方式である(wikipedia引用)

現在シチュエーションボイスの主流はバイノーラル音声になっています。
音声形式としてはwav/mp3のステレオ音源ですが、イヤホン/ヘッドホンで聴くだけで立体感・没入感を味わえます。(細かい仕組みについては省きます)

ゲームや動画、音楽でも実は様々なところで使われている技術なのですが、近年ではバイノーラルといったらシチュボ!ASMR!みたいなイメージになってきている気がします。

バイノーラル音声を制作するには、2種類の方法があります。
①バイノーラルマイクで収録する
②通常の音声データを専用のソフトウェアで加工する

①バイノーラルマイクで収録する

バイノーラル音声制作の為には通常、バイノーラルマイクでの収録が必要です。
バイノーラルマイクは近年種類が増え、金額/形状/機能性/強みなど、多種多様になっています。

今後様々なマイクの比較などもしていけると良いのですが、有名な二機種だけ少し紹介します。

NEUMANN KU-100

KU-100

メジャー且つ、最も高級なダミーヘッドタイプのマイクです。

◎位置移動のある演技がリアルに録れる
◎耳元の超近距離演技がリアル

△慣れているエンジニアでないと取り扱いが難しい
△正面位置の定位が不安定(モノラルマイク同時使用で補正するスタジオもある)

3DIO Free Space ProⅡ

3DIO Free Space ProⅡ

KU100と並ぶくらいの知名度がある、耳型バイノーラルマイクです。

◎耳周りの表現力が優れている(耳に触る音など効果音もリアルに録れる)
◎本体がコンパクトで、KU-100に比べれば格段に安い

△位置移動が多い演技には向かない
△正面演技には向かない。左右耳に特化しているイメージ

②通常の音声データを専用のソフトウェアで加工する

mosoundworksではモノラルで収録された演技・ボイスを、編集でバイノーラル化する事が出来ます。
バイノーラル音声をシミュレートする専用のソフトウェアを使用し、手作業で位置情報を書いていくことで声が移動するような演出も可能です。

例として、声の位置を以下のように調整したりします。
1.キス:正面近距離→超近距離へ声移動
2.ハグ:正面中距離→斜め上超近距離へ声移動
3.身体へのリップ:正面近距離から徐々に下腹部へ声移動

具体的には、場面に応じて以下の3軸パラメーターを設定していくことになります。
X軸:前後左右斜め
Y軸:高さ
Z軸:距離

直近の参考作品

『きみいろカレシ~年下カレシの甘い独占欲 蒼汰編~』

こちらの作品では声優様がモノラルで収録されたデータから、実際にバイノーラル化して位置変化を付ける編集をしています。

一部効果音のバイノーラル化についてはほぼ全ての作品でしています。

メリット/デメリット

わざわざモノラル収録してバイノーラル化するメリット/デメリットについて

■メリット
・宅録でも制作可能
一般的なボイス作品で使えるダミーヘッド型バイノーラルマイクは高級な上にスペース的な問題もあり、収録環境を自宅に用意する事が難しいです。
モノラルマイクでの収録ならぐっとハードルが下がります。

・収録スタジオがすぐ見つかる
バイノーラル収録出来るスタジオは増えてきていますが、まだ予約が混みあっている時も多いようです。

・リテイクが簡単
バイノーラル収録でリテイクする際は、演技だけでなく立ち位置や顔の向きにも注意を払う必要がありますが、モノラルマイクでのリテイクなら声演技に集中出来ます。

・ノイズ処理が簡単
バイノーラルマイクと比べてノイズ処理が楽になります。

■デメリット
・出来る演出が限られる
特に耳元囁きや耳舐めといった、耳周りでの至近距離演出が現状は難しいです。

・演技の幅が限られる
KU100では喋りながら俯いたり、横を向いたりといった演技が出来ますが、モノラルだとそこまでの細かな表現が難しいです。

・編集コストがかかる
後から動きをつけていくので、編集作業のコストが通常よりかかります。

まとめ

モノラル音声収録からのバイノーラル化は、いくつかの条件に当てはまる場合におススメ出来ます。

①シチュエーションボイスに不慣れな声優様の場合
宅録でも可能な為、納得いく演技が出来るまで繰り返し録る事が出来ます。

※舐め演技などのバイノーラル特有のアドリブ経験も積みたい場合は、安価な耳型バイノーラルマイクでの収録も検討した方が良いと思います。

②耳元での演技が必要なく、作品全体にあまり動きを必要としないシナリオの場合
バイノーラルマイク収録ならではの演出が必要な作品の場合は現状難しいです。

③コストを抑えて作品を制作したい場合
宅録にする事も容易で、スタジオ収録でもバイノーラルよりぐっと安価で済ませる事が可能です。

結論としては、

「これからシチュボ頑張っていきたい!」
「まずは作品をこつこつ出して知名度を上げたい!」

という声優様の自主サークルなどには特に適したサービスでは無いかと思います。

なにかあればお気軽にお問合せよりご連絡下さい!

おまけ(効果音/BGM等のバイノーラル化について)

本記事では声に主軸を置いて書いていますが、mosoundworksでは通常の効果音/環境音も必要に応じてバイノーラル化して使用しています。
それにより、演技に適した位置/距離感で馴染むように音を挿入でき、また自然な移動をつけることができます。

例として、
・ピストン音/水音
→バイノーラル化して、高さと距離を調整することで腰の位置で音が鳴っているように近付けられます。
「素材そのままだと目の前で鳴ってしまってリアルじゃない……」といったトラブルを解消出来ます。

・「作中の店内BGM」
→「斜め後ろの天井スピーカーからBGMが流れている」といったリアリティのある演出が出来ます。

折角のバイノーラル作品ですので、よりリアルな没入感を得られるよう効果音なども工夫して配置していければと日夜研鑽しています!

担当作品リリースの告知はtwitterでしていますので、よければフォローをお願いします。


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