金沢観光でオススメしたい「男の妄想さんぽ」半日プラン
「歴史とアートの街」金沢へやってきた、大学院生のヤスとルイ。
ここに来たワケ。
何を隠そう、”最近彼女にフラれてしまったノリ”である。
今回は、そんな2人が過ごした「新しい金沢観光プラン」を皆さんにご紹介させていただきたい。
【AM11:00】
(※写真左からルイ、ヤス)
「いやいや」
「あの子と、この街を観光できたら楽しかっただろうに」
ヤスは静かにつぶやいた。
そして続ける。
「歴史の眠る古都、金沢の美しい街並みを横目に」
「食・アートなど優雅な時間を」
「まだそんなことを言ってるんですか?」
ルイはヤスの不平を遮った。
本日の宿泊先「HATCHI」でテイクアウトしたアイスコーヒーは、すっかり汗をかいている。今にも雨が降りそうな空だが、空気はあたたかい。
(※HATCHIの外観。”おしゃれの権化”ともいえるエントランス)
ルイはヤスに尋ねる。
「”開き直る”という言葉を知っているか?」
「もちろん」
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【ひらきなおる】
( 動ラ五[四] )
急に態度を変えてきびしくなる。覚悟をきめて、ふてぶてしい態度に変わる。いなおる
(引用:weblio辞書より)
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『もしも”あの子”が自分の隣にいたら』
「その妄想をするだけで」
「この旅、きっと楽しくなるのではないか?」
ヤスは覚悟を決めた。開き直った。
「うん、楽しくなるな。全席コンセント付き・快適シートの北陸新幹線で来たから心身ともに充電MAXだ」
(※東京駅から新幹線で2時間半。これが文明の進化だ)
「よし、いこう!」
2人は、重い腰を上げて散歩を始めることにした。
【Step.1】出発の記念撮影
「隣にいるのは・・」
「あの子だ」
ルイは確信に満ちた表情で言った。
ヤスは戸惑ったように続ける。
「そこに、いるのか?」
「逆に、見えないのか?」
「これを『アノコポーズ』と命名します」
正面入り口の脇では、アクセサリーが販売されている。
このあたりに素敵なお姉さんがいるので、何かわからないときは尋ねてみよう。
【Step.2】橋の上でそれっぽい語りをしよう
「いい眺めだな」
ここは、浅野川大橋。
「なんか、はるばる来たなって感じ」
「・・・」
「どういうこと?」
ヤスは尋ねる。
「いや、はるばる感のある景色だなと」
ルイは即答したが、ヤスはいまいち同意しかねた。
「むしろボ●ギノールのCM感がある」
人によって見え方の違う景色、それも一興だ。
「夜、川沿いでしっぽり飲もうぜ」
「いいね。蚊がいそうだけど」
「蚊はいいよ蚊は」
<備考>
*近隣住民の迷惑になるので、夜間の河原での飲酒は控えましょう。
◆日中に行く方:虫よけスプレーを忘れずに。
2人は、ここから歩いて数分の場所にある「ひがし茶屋街」を目指すことにした。
【Step.3】茶屋街をゆく
【AM12:00】
東山菅原神社で参拝を終えた2人。
「とりあえず」
「飲む?」
「それとも・・」
「飲むか」
雰囲気の良い店を探した末に辿り着いたのは、立ち飲みバー「ひがしやま酒楽」。芸能人のサインが並ぶ、茶屋街きっての銘酒が味わえる場所だ。
「やや辛!これは美味い」
日本酒フリークのヤスも、思わず唸る。
3種の違いを舌で感じられる、おすすめのオーダーセット(1,500円)だ。
「この、それぞれが持つほのかな味の違い」
「誰に伝えたいですか?」
その味を口元へ運びながら、ルイは尋ねる。
ヤスは食い気味に答えた。
「あの子です」
「ちょっと待ってくれ」
「”あの子”は急に現れるシステムなのか?」
(※現実の質疑応答)
ヤスは平然と答える。
「妄想するのはこっちの自由だから」
「酒が楽しいのは、そういうとこだよね」
ルイは賛同した。
【Step.4】金箔に包まれた”黄金のソフトクリーム”
続いて2人が訪れたのは、金箔ソフトで有名な「箔一 東山店」。
店の1Fはお土産売り場で、件のソフトクリームは、奥の階段を上がったフロアで販売されているようだ。
周りにはカップルしかいないが、ソフトクリームは美味しい。
「味がいいから、正直これ以上望むものはないな」
ヤスは思わず本音がこぼれた。
しかし、ルイは冷静に答える。
「いや、もっとソフトクリーム美味しくなる」
「なるねえ!」
「妄想が急に現れるシステムすごく便利」
金箔に目が行きがちな本商品だが、ほどよい甘さ・濃さは普段スイーツを食べない男性陣にもぜひオススメしたい味わいである。
【Step.5】街の市場をゆく
【PM 1:00】
金沢きっての、賑わいの場「近江町市場」には
毎日とれたての海鮮が並び、活気ある声が飛び交っている。
ルイとヤスは昼食をとることにした。
1泊2日の旅行の昼飯、とても重要である。
そして、ここで奇遇にも「肉を食べよう」という2人の意見は合致した。混んでいるランチタイムの寿司屋は外し、明日の朝食の楽しみにとっておく作戦だ。
2人が入ったのは、近江町いちば館2Fにある「肉山精肉店 能登牛炙り海鮮丼」。
(2,600円)
「これはおいしそうだな」
「あの子とのやり取りも容易に浮かぶわ」
ヤスは自信ありげにそう言うと、その内容を発表した。
「こういうことでしょ?」
「あの子登場するのちょっと早くない?」
「しかもあの子の丼からウニをかっさらうな」
「”もーらいっ”の図じゃん」
「”モーライッ”ってなんだよ」
ちなみに、ウニ・いくら・ご飯の量は選べるので、”もーらいっ”しなくても味を堪能できる優しさがこのお店のポイントだ。
【Step.6】新鮮な果物でリフレッシュ
満腹になった二人は、ふたたび市場を歩く。
ルイは足を止めて考える。
「こういうとき、”別腹”とか言うんだろうな」
ヤスはすかさず指摘を入れる。
「妄想ベースで行く場所を選ぶパターンもあるのか?」
「とはいえ、うまそうだな」
2人は「フルーツ坂野」でメロン(500円)をいただくことにした。
「これは画的にきついな」
ストローを2本つけていただいた店員さんの優しさは、見事に凶と転じた。
「無駄に身長差あるのもきつい」
「ちなみに、このパターンの場合は」
「身長差はこうありたいね」
「素晴らしい!」
題名のない品評会は続く。
おいしそうにメロンを食べるあの子の写真を撮る、という構図が店の周りで多く見られたので、ルイは妄想だけしておいた。そして、このあと自身のケータイの画像フォルダを見返したが、当然写真は残っていなかった。これが現実との差である。
【Step.7】金沢イチの映えスポット
半日のおでかけプランもいよいよ終盤。
2人は市場近くで、回遊バスの到着を待つ。
【PM 3:00】
美味しいフルーツと豊かな妄想で心がまっさら、といわんばかりの表情をした彼らが向かうのは、「金沢21世紀美術館」。
老若男女問わず”アートを愉しむ”ことが出来る、言わずと知れた、金沢が世界に誇る名スポットである。
「あのプールだ!」
「すげーフカフカだ!」
カーペットの感触すらアート。
大人になった今でも遅くない。あらゆる好奇心を持つことで、きっと日々そのものがアートになるのだと2人は思い知った。
そして、インスタ映えの名スポットへ到着。
その名も「ラビットチェア」。
『これはつまり、椅子と壁』
ヤスは案じていた。
「シンプルってすごいな」
ルイも呼応する。
「映えとて”引き算”なんだね」
「そしてヤスとあの子をシンプルに入れ替えると・・」
「うーん、いいね」
「よすぎる」
「妄想のおかげで楽しみ方が広がった気がするよ」
「次はあの子と来たいね」
「また来たくなったわ、金沢」
こうして男2人はタクシーへ飛び乗り、遅れて合流する仲間との待ち合わせ場所である、リノベーションホテル「KUMU金沢」へ向かう。ノリで遊びに来たつもりが、”妄想”1つ加えるだけで、あっという間の充実した半日プランになっていた。
◆ご紹介した妄想スポット
①ひがし茶屋街
・ひがしやま酒楽
・箔一 東山店
②近江町市場
・肉山精肉店 能登牛炙り海鮮丼
・フルーツ坂野
③金沢美術館
・ラビットチェア
※画像はコチラ