FANZA、Pornhub、Xvideos、俺はモニターに映る大量のエロサムネイルを眺めた。決して歩くことのない道があるように、この世界のエロは人間の寿命では網羅できない。俺は人類の営為の途方もない集積として、エロは都市のようだなと思った。想像可能なものは存在していると言えそうなほど、あらゆるニーズに対して準備が出来ている。どこかで誰かがやっているのだ。
 不意に感情があふれてきて、俺は泣いた。寂しかった。誰かの一番のお気に入りを、俺は一度も見ることなく死んでいく。それが運命で、自由ということだ。涙が頬をつたい顎から落ちて、乾いた音とともにシャツに染みを作った。目が霞んで、エロサムネイルたちが全モザイク処理になった。
 しばらくして、俺がエロ過ぎるだけかもしれないと思った。どっちでもよかった。

 

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