草食系男子に教えられたこと

草食系男子に教えられたことは、大きく四つある。

①食べられる美味しい草
②食べられる不味い草
③食べたら死ぬけど美味しい草
④食べたら死ぬうえ不味い草

普段は、①②を食べて暮らし、いよいよ生きていくのが難しくなったら③を食べろ、と彼は言う。

「猛毒で、一瞬で死ねるから」

そんな理由なら、④でもいいのではないかと思うのだが、そこは草食のロマンチシズムで、最後くらいは気持ちよく逝きたい、ということらしい。

「対象が女の場合は、順番がちょっと違う」

彼は言う。
①に巡り合うことは、非常に稀であり、普段はみな、②で我慢している。
そして、いよいよ生きていられなくなったら④を抱け、と。

「なんで？　最後くらいは気持ちよく逝きたいんじゃないの？」

と、尋ねるとお前は馬鹿か？という顔で返された。

「これから死ぬのに、希望なんか持たされてみろ。辛いだけだ。絶望とともに逝くには、絶対④だろ」

なるほど、やはり彼はロマンチストだ。

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