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赤ちゃん、ようこそ!

お隣のへやに赤ちゃんが来た。
正確に言うと、3ヶ月くらいの赤ちゃんを連れた、若夫婦が越してきた。

ぷっくぷくのほっぺた、輪ゴムがはまったような手足、ほわほわの柔らかい髪の毛、信じられないくらい小さな鼻の穴と指。

全ての赤ちゃん属性が可愛い。
両手を広げて
「この世界にようこそ!」
と言いたくなる。

赤ちゃんは、こんなに小さいのに、どうしてあんなに大きな声で泣けるのか不思議だし、全ての赤ちゃんの泣き声が似ているのも不思議。

ちょっと前まで臓器と一緒に人間の腹の中にいたことも不思議だし、さらにその一年ほど前には、全然別の2人の体の中で、それぞれ卵とおたまじゃくしだったことも不思議。

赤ちゃんは不思議の塊なのである。

さてその赤ちゃんを連れたお母さんが、わざわざご挨拶に来てくださり
「子どもの声がうるさいと思いますが、ご迷惑でしたら遠慮なく言ってくださいね」
と言った。

私は思うのだが。
赤ちゃんを産んだことがある母は全て、よその赤ちゃんの泣き声をうるさく思わないよう、脳が書き換えられているのではないだろうか?
どんな至近距離で顔を真っ赤にして泣かれたとて、可愛いなあ、元気だなあとは思っても、うるさいとは思えない。
そういう生き物になってしまった。

だから
「遠慮なくじゃんじゃん聞かせてください」
と応えたら、微妙な笑いで返された。

うーん、まだ、赤ちゃんとの暮らしが浅くて、お分かりではないのかもしれない。
泣く子は、どうやっても泣く。
たとえ誰に「迷惑だ」と言われても、それで泣き止むなら、最初から泣いたりしない。
スーパーのBGMのように、慣れてもらうのが最上の策であり、泣かせないようにしようなんて考えても、時間と労力の無駄なのである。

うちの隣に越してきた、ということは、何かの縁なのだろう。

これからしばらくは
「夕飯作りすぎちゃったの。もらってくださる?」
作戦を実施しようと思う。
当然、洗って返すストレスがないように、容器は使い捨てをえらび、乳腺炎の心配をしなくていいように、あっさり目の和食メインで行く。

あっ、でも明日からしばらく沖縄に行くのだった。
とりあえず、美味しそうなお土産をたくさんチョイスしてこよう。

でも、押しつけになったり負担に思われたりしないよう、顔色をよく見て、対応をこまめに調整しなくてはならない。

ああ、嬉しい。
そういう、私の苦手なもろもろの気遣いも含めて、新しく地球に来た人に関われるのが嬉しい。

よその赤ちゃんは、癒しでしかない。
あんまり早く大きくならないでほしい。

**連続投稿72日目**

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