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ハンドパン関連リンク②The 3 Hammer Challengeとか

 モルヒネです。まだまだ続くよハンドパン製作リンク。第2弾です。AEtherシリーズのColin FoulkeからRADIXが発表されたので、その関連の動画を紹介紹介します。



最近のハンドパンのミュータント、ボトムノートなどの多音化の流れから一旦原点に立ち返ろう、というスタンスで、最低D3のDingと7〜8つの音というシンプルな構成のハンドパンを発表しています。サイズは20インチ(50.8cm)の小型サイズ。シェルは自前のハイドロフォームではなく、カリフォルニアの工房に依頼して作っているとのこと。また、成型はエアハンマーではなく全て手作業で行っているそうです。男気!

この発想の元になったのが2018年から2019年の2年間にわたり行われてきたThe 3 Hammer Challengeということ。youtubeにもその動画が上がっています。


2-1:How To Make A Handpan- The 3 Hammer Challenge - 2018 
by Colin Foulke

 2019年のTokyo Handpan Festivalで来日し、「Youは何しにNipponへ」で取材されたことでおなじみのColin。2018年から2年連続で「3 Hammer Challenge」という気の狂いそうな企画をやっています。

 youtubeの解説欄にはこうあります。「The 3 Hammer Challenge was an idea that was created to get me back to the roots of this art form. Forget the tools and technology; can I make a handpan using just 3 hammers? 」

 現代ではエアハンマーやらハイドロフォームやらプレス機やら様々な道具を使うハンドパン製作をハンマー3本だけでやろうという骨太な企画です。こういうの大好き。しかも最新のハイドロフォームを開発したColinがこれをやるってのが格好良いですよね。惚れちゃう。

 動画の冒頭で紹介がありますが、ドラム缶からハンドパンを作ろうとする動画に影響を受けて(?)始めたらしい。この元の動画見つからないんですが、どなたかご存知でしょうか。

 結局木製の成形用の大きなハンマー2本とチューニング用のボールピンハンマーを選択してガシガシとシェルを沈めていきますが、もう見てるだけで辛い。しかも1回目のシェルはリム部分が足りなくなっちゃったからもう一回作るわ、ということで2回シェルを成型してます。かわいそう。

 しかしだんだん滑らかに、最終的には「え、これホントにハンマー1本で作ったの?」ってくらい滑らかなシェルができているのは感動しますね。

 面白いのはDimple成型部分で、(楕)円形の鉄パイプの断片みたいなものをあてがってホットメルト系の接着剤で止め、ボールピンハンマーでガシガシDimpleを作っている。意外と無骨な器具を使ってるんですね。あ、手作業だとDimpleってそうやって作るんだ、というのがよくわかります。

スクリーンショット 2020-04-10 0.52.07

 その後も地道に木製ハンマーで Tonefield周りを成型、Colinはここでは窯ではなくバーナーで焼きを行っています。この辺りどういう違いがあるんでしょうか。単純に素材の違い?

 焼いたあとはtuningへ。Dimple成型の時に使っていたボールピンハンマーを使っています。Colinも音の安定のために焼きとチューニングを5回繰り返したと書いています。

 その後ボトムシェルの成型。この辺りとても辛そうなColin。しかしColinがやられる前にカメラが落ちてます。出来上がったボトムシェルはやっぱり超滑らか。凄い。
 あと、前回のNumen Instrumentsの動画でハンドパンの素材にかかる圧力と音の高さの解説があったように、シェルの成型の時にもだんだんと素材が伸びていき(側面からの圧力が低くなり)打音が高くなっているのがわかります(この辺りの理解が正しいのかどうかは正直自信がない)。

 シェルの接着ののち、最後にFine tuningをして完成。最後に試奏動画がありますが、たった3本のハンマーで作っているとは思えない素晴らしい響き。このハンドパンは2018年のクリスマスに抽選でプレゼントされる…とのこと。


2-2:How To Make A Handpan- The 3 Hammer Challenge - 2019 
by Colin Foulke


 2019年も同様のChallengeを行っています。基本は同じ流れですが、「もう去年と同じ轍は踏まないからね」と余裕を持って鉄板を切り出してるところが感慨深い。

 あと面白いのは冒頭のTonefieldの型紙を作成する場面。各noteごとの Tonefield, Dimpleの長/短径を記載した表にしたがってペイントのような描画ソフトで型紙を作っています。普段はマグネットシートの型紙を使うけど今回は型紙作るとこからやってみたんだって。


 ColinのWebサイトではトップに「Youは何しに〜」の動画リンクが貼られてます。今回紹介した3 Hammer Challengeのページもあり、ギブアウェイなどの情報もサイトからチェックできるようです。また、サイトではハイドロフォーム用の機材の詳細までアップされいています。

 また、サイトでは上述したハイドロフォームの機材についても詳細な解説がされています。これで我々もいつでもハイドロフォームできますね(できない)


 確かな経験と技術があってこそですが、ハンマー3本でも素晴らしい音色のハンドパンを作り上げることができる、という過程を見るとハンドパンをもっと身近に感じられるような気がします。危うくボールピンハンマーをAmazonでポチろうとしてしまった。
 2020年もやるんでしょうか、3 Hammer Challenge。2018・2019年の時はその存在すら知らなかったので、今年は注目したい。今から楽しみ。



【おまけ】

 2019のChallengeでColinが使っていたような各noteごとの Tonefield/Dimpleの長/短径のサイズ表ですが、なんとフランスのハンドパンメーカー:ShellopanのWebサイトにてエクセルファイルが無料公開されています。もちろん素材やサイズによって調整の必要はあると思いますが、気になる方もいるのでは。


 前回紹介したSymphonic Steelのページと同様にShellopan のページは非常にオープンにハンドパン製作の概要を説明しており、ここではシェルの成型方法や必要な道具などについて詳しく紹介してくれています。


 また、製作とは全く関係ありませんが、ColinのYoutubeチャンネルではAEther, RADIXシリーズのハンドパンの紹介の他、奏法のハウツーも充実してます。外出自粛中に練習しよう。


こちらはyoutubeにアップされたRADIXの動画。8音モデルですが、まさにPANArtの最後期に作られた到達点ともいえるD integralスケールです。いい音!

流石にシェルの成型は人力では無いですが、The 3 Hammer Challengeの精神を継承したRADIXシリーズ、楽しみです。



 というわけでハンドパン関連リンク集その②でした。ミュータントや多音モデルはやっぱり魅力的ですが、こういう動画を見ているとやはりスタンダードなモデルは格好いいなぁと感じます。とりあえず今年の3 Hammer Challengeが楽しみでなりません。





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