見出し画像

ハンドパンのチューニング狂った話

こんにちはモルヒネです。愛用していたMaru handpan(Viet pan de Maru)のD sabyeのチューニングが狂ってしまったので、それにまつわる話など。

※この記事は私個人の完全な独断と偏見で書かれています。後に紹介するハンドパンへの小細工なども何も根拠の無いものですので、もし試す方は自己責任で…!


チューニング狂った話
僕が利用しているD sabyeですが、先日チューニングが狂ってしまいました。グランピング後にいざ自分のパンを触ると、なんかDingがおかしい…、測ってみると、もともとD3だったDingがC#3まで落ちていました…。グランピングで愛されすぎたんだね、きっと…。

画像1

画像2

那須ハンドパングランピング。本当に全てが最高でした。

今までも、Dingをガシガシ触った後や太陽光の下で練習した後などに微妙に狂うことはありました。ハンドパンはもともとの金属の復原力である程度の狂いは放置しておくことで回復することもあるらしく、今までは1日くらい放置しておくと元に戻っていました。しかし今回は3日ほど開けても戻らず。C#3で安定してしまいました。

画像3


ちょうどTwitterでハンドパンのチューニング方法が話題になっていたこともあり自分でretuneを試してみようとも思ったものの、素人が手を出すと大抵良い方向には向かわないよという話も聞いており手を出せず。

以前Twitterでこんなアンケートをとってみたことがありましたが、チューニング狂った〜というのも無い話では無いと。 

画像4


マグネットでチューニングを落とす
なんとかならないものかと思い、思いつきでDingの裏側に内側からマグネットシートを貼ってみました。NadishanaのHooalungwaという曲で使われているテクニック。

Nadishana先生、超絶技巧に目が行っちゃうけどやっぱりそもそもの曲がめちゃくちゃ好きです。


僕も以前Sunpanにマグネットシートを貼ってチューニングを落として遊んでいたところでした。


で、やってみたところ上手いことチューニングが下がり、マイナーのトニックであるB2までチューニングが落ちた!マグネットシートのサイズや厚さによっても変異量が変わり、薄い/小さいものだと変異量が小さく、逆に厚くするほど大きく変わります。今回はB2に合うよう調節しましたが、2枚重ねて貼ったところなんとF2まで下がっていました。

画像5


画像6


サステインが極端に短くなるものの、強烈な違和感は感じない程度におさまりました。

マグネットによる音高以外の音質変化
もちろんマグネットのボリュームが大きくなるほどサステインや音量は少なくなります。また、マグネットを貼った部分はスラップの音も変化します。

僕はDingがガンガン鳴るハンドパンが割と好みですが、Dingをミュートしながらのビートメイクが得意な人はこういうソリッドな鳴りも許容できるのではと思います。極端にDingのサステインが短く普通に触ってもミュートした状態のため、ビートメイクはしやすい。またショルダーの音もミュートされ、マグネットによって厚みが出ているためにいい感じにスネアみたいな音が出る。

後はハンドパンの中央のDingをミュートしてしまうため、楽器自体の共鳴が少なくなるのも特徴です。ステンレスらしいフワフワフワ〜っとした空気感が失われるという感じ。これもまたパーカッシブなプレイが好きな人にとってはやりやすいかもしれません。


マグネットの厚さや大きさなどの調整によって、ある程度音質は調節できると思います。なぜマグネットでチューニングが落ちるのか理屈は全く理解してないので、マグネットでなくとも振動を調節できるものであればチューニングを調節できるのかも。今は極端にサステインが短い音なので、音高は変えつつサステインを維持するような調節が出来たら面白いですね。この辺りの原理、わかる方がいればぜひ教えて頂きたい…。


Amaraziskaスケール爆誕の話
Sabyeはもともとkurdやcelticのメジャー側の兄弟のような存在ですが、Dingがマイナーのトニックになることでちょうどkurd(annaziska)とceltic(amara)の中間のようなスケールになりました。このスケールを探しても見当たらなかったため、とりあえず間をとってAmaraziskaと呼んでみます。

Dingの5度上(この場合はF#3)がトップ側に無いという、通常のハンドパンには無いレイアウトです。しかし王道進行のⅥ→Ⅴ→Ⅳは揃っているので、kurd的な進行は再現できます。また、最高音にC4があるためkurdよりメロディの幅が広がる…という、本当にkurdとcelticの中間的なスケールになっています。

私のsabyeはもともとボトムにE3、F#3を入れていたのですが、これを鑑みると、トップ側・ボトム側共に右下側にサブドミナント、左下側にドミナントが集まるというレイアウト。トップ側とボトム側で、同じ機能のコードでメジャーとマイナーが切り替わるという面白い配置になりました。

画像7


このAmaraziskaはある種ボトムノートありきのレイアウトですが、最初からボトムに低音を入れることを考えていればこういうレイアウトもありかもしれません。ボトムノートやミュータントというハンドパンの進化を考えると、従来のスケールレイアウトを再考するのもまた一興…かもしれません。

まぁそうなるとミュータントのkurdで高音足せばええやんけ、となりますが、やはりミュータントでないパンの音の方が個人的に好み(完全に私見です)。もう数年経ってさらに進化が進むとまた変わりそうですが。

マグネット(もしくは他の素材)での音質変化の可能性 
マグネットシートは今まではマルチプレイの際に不要な音の共鳴を防ぐために付ける例が多く、音質の変化を積極的に使っているのはNadishanaのHooalungwaくらいしか見たことがありません。

Tonefieldでは極端に音質が変わりますが、もともと音のリッチなDingであればマグネットをつけても極端な違和感は生じませんでした。また、ハンドパンの内側にマグネットを貼ることでアタック時の音への影響も低減されます。トップ側のDingだけではなく、ボトム側のApex(凸型の)ノートの音を変えたり、ビートメイクの際のみマグネットを使ったり…というのもありかも。特にメジャー系のスケールであれば、音高を3度下げて一時的にマイナー化する!なんて使い方もできるかもしれません。

私のMaru Handpanは割と薄めのステンレス素材のためマグネットによる影響を強く受けるのかも知れませんが、他の素材やブランドのものでどのように変わるのかも気になるところ。

【Prepared Handpan】という試み
ここまで書いて思いつきましたが、これって要するにPrepared Handpanという試みではないでしょうか。


ピアノくらいしか知らないのですが、ピアノ線に練り消しをつけてミュートしたり、洗濯バサミで留めたり、なんかの缶の蓋を置いたり…と好き放題に色々やって演奏するアレですね。


みんな大好き口琴でもプリペアド口琴、略してP口琴で遊ぶことができます。

どっちもめちゃくちゃ楽しそう!ハンドパンでも、(飛び道具的な使い方ではありますが)色々とプリペアのしがいがあるんじゃないか、という話でした。

峯モトタカオさんの「風の通り道」カバーも言うなればプリペアドハンドパン…?


終わりに

冒頭でも触れましたが、私自身このマグネットシートによる音高変化の理屈を全く理解していません…。磁石つけたらチューニング狂った😭😡、ということにもなりかねませんので、もし試す方も自己責任で…お願いします。正直、特に積極的な理由が無ければ試さない方が良いとも思っています。

後はこれは主に自戒を込めてですが、イベントなどで他の人のハンドパン触る時は気をつけよう…という話でした。特に薄い素材のハンドパンは要注意です。

そして、国内にチューナーがいてくれたらめちゃくちゃありがたいなぁ…とも。以前のJosh Rivera(現Veritas Sound sculpture)のように他社ハンドパンのリチューンしたり、イベントに来て出張チューニングしたりというチューナーがいたら安心だよなぁと夢想しています。


おわり


※追記

このチューニングの狂ったハンドパンですが、お別れする最後に三重県のアトリエマルにてLast Touchを録音していただきました。上の動画とは違いちゃんとした録音環境で録って頂いているので、音質が分かりやすいかと思います。


おわりのおわり




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?